第39話:いい加減にしろ!
「いい加減にしなさい!体調が悪い令嬢に向かって、あなたは何を言っているの?昨日の子もそうよ。体調が悪い令嬢に、よくそんな非道な事が出来るわね!」
このアホ、黙ってい聞いていれば好き勝手言って。もう私の我慢も限界だわ。そんな思いで、王太子を怒鳴りつけた。
「君こそなんなんだ!ちょっとアドレアに好かれているからって、調子に乗るなよ。アドレアに見せつけるために、君を僕ちゃんの婚約者にしてやろうと思っていたのに」
「はぁ?誰があなたみたいな愚か者と婚約何てするものですか。私はね、レアと婚約して公爵家で暮すのよ。レアともそう約束しているのだから。それをあなたが変に予定を早めたせいで、婚約が出来なかったのよ。どうしてくれるのよ!」
そうよ、私はレアと結婚する予定だったのよ。それをこの男が!
「レア?よくわからないが、君は僕ちゃんと結婚するんだよ。僕ちゃんは誰よりもいい男なんだ。皆が僕ちゃんと結婚したくてたまらないと思っているんだよ。君だって、アドレアではなく僕ちゃんと結婚したいはずだ」
こいつ、頭大丈夫なの?私の話を聞いていなかったの?ダメだわ、増々頭が痛くなってきた。
「あなた、言葉の理解力もないの?私はあなたが大嫌いなの。愚かで我が儘でどうしようもないあなたと、少し鬱陶しいところはあるし、私より強くてムカつくところはあるけれど、それでも私を大切にしてくれるレア。どう考えても、レアと結婚したいに決まっているわ。レアとあなたを比べること自体、レアに失礼よ!」
そうよ、レアはいつも私の傍に寄り添ってくれていた。私を甘やかしてくれた。それに…
レアを思い出した瞬間、一気に涙が溢れそうになるのを必死に堪えた。
バチィィィーン
えっ?
頬に激痛が走ったかと思うと、衝撃でその場に倒れ込んでしまった。一体何が起きたの?
さらに腹部に激痛が走る。
「うるちゃい!僕ちゃんの方がいい男だ。黙れ、黙れ!」
そう、王太子が私を殴り、さらに蹴り倒していたのだ。どこまでも腐っている男ね。
「無抵抗な令嬢を殴って楽しいの?レアは絶対にそんな卑劣な事はしない。あなたなんて、レアに一生勝てないわ!」
殴りたければ殴ればいい、殺したければ殺せばいい。こんな男に媚をうって生きるくらいなら、好き勝手して生涯の幕を下ろした方がいい。
ただ…やられっぱなしではやっぱり腹が立つ。一発位やり返してやろう。そう思った時だった。
「殿下、どうかもうお止めください。本当にレイリス様が死んでしまいますわ」
なんと隣にいた令嬢が、私たちの間に入って止めたのだ。さらに他の令嬢たちも、私を庇う様にして立っている。この子達、昨日会ったばかりの子も多いのに…
「何なんだ、お前たち。僕ちゃんにさからうのか?こいつらを全員投獄しろ」
近くにいた護衛たちに叫ぶ王太子。護衛たちがすぐに駆けつけてきた。
「彼女達に触れたら、私が許さないわ!」
この子達は私を守ろうとしてくれた。これでも私は血の通った人間だ。助けてくれた人を見捨てるほど愚かではない。
ゆっくり立ち上がる。体はボロボロ、顔からも血が出ているし、何より体中が痛い。でも、今は、彼女たちを守らないと!




