第24話:夫人とも仲良くなりました
「とてもよく似合っているわ。レイリスちゃんが着てきたものも素敵だけれど、せっかくなら可愛くて着心地がよいものが良いものね。そもそも貴族だからと言って、家でもピシッとした格好をしていないといけないなんて、おかしいのよ。家はゆったりとくつろげる場所でないと」
「夫人の言う通りですわ。自分の家では、好きな格好をしたらいいのよ。それなのに家のお父様やメイドたちは、口うるさくて。やっぱり高貴な身分の方は、考え方も柔軟なのですね」
夫人の言う通り、家くらいはくつろいでも罰は当たらない。とはいえ、私はどんな場所でもくつろいでいるが。
「確かにサフィーロン公爵夫人やレイリス嬢の言う通りですわ。貴族だからといって、ずっときっちりした格好をしていたら、疲れてしまいます。やはり安心できるお屋敷では、楽な格好をしたらよいと私も思いますわ。サフィーロン公爵夫人、この服をもっと改良して、貴族向けに売り出してはいかがでしょうか?サフィーロン公爵夫人も愛用していると皆が知ったら、こぞって貴族女性たちも取り入れるかと」
「確かにそうね。貴族女性たちも、家位はゆったりとした格好でいたいでしょうし。少し改良を加えれば、貴族女性たちに受けるかもしれないわね」
ちょっと待って、なんだか話が大きくなっている気がするのだが…こんな平民でも着ないような服を、貴族女性たちに売り出すですって!
でも、確かに今着ている服は、おしゃれで可愛い。もちろん、私が最も重視する着心地も最高だ。確かにこれが世に出て貴族女性たちが愛用しだしたら、家の家族もとやかく言わなくなるかもしれないわね。
それになんだかおもしろそうだわ。
「夫人、マダム、そのお話、私も手伝わせてくださいませんでしょうか?」
「ええ、もちろんよ。もともとレイリスちゃんのアイデアなのだから。一緒に売り出しましょう」
早速夫人やマダムたちと色々なアイデアを出していく。正直服なんて楽に着られれば問題ないと思っていたが、こうやってデザインするのも以外と楽しい。
もしこの服が貴族社会で流行したらきっと、お母様もお姉様も目だまが飛び出すくらい驚くだろう。あれほど私の服をバカにしていたのだから、その時はしっかり謝ってもらおう。
「レイリスちゃんのお陰で、素敵な服が出来そうだわ。レイリスちゃんも疲れたでしょう、せっかくだから、お茶にしましょう」
デザイナーとの話し合いが終わり、いくつか試作を作った後は、夫人とティータイムだ。
「実は私も、甘いものに目がないの。だから我が家には、お菓子専門の料理長がいるのよ。レイリスちゃん、このお菓子を食べてみて。異国から取り寄せたお菓子なの。今このお菓子を元に、料理長が改良してくれているのよ」
夫人が進めてくれたのは、花や動物の形をしたケーキだ。正直見た目の可愛さになど興味がない。問題は味だ。とはいえ、天下のサフィーロン公爵夫人が進めるのだから、それなりに美味しいはずだ。
そう思い、花の形をしたケーキを一口。
「このケーキ、生の苺が入っているのですか?苺の甘酸っぱさと生クリームが絶妙ですわ」
とにかく苺とクリームの相性が抜群で美味しいのだ。せっかくなので他のケーキにも手を伸ばす。こっちはオレンジとそれにあうクリームが使われていて、とても美味しい。どうやら使う果物にあわせて、クリームの味も少しずつ変えている様だ。
なんて美味しいお菓子なのかしら?
「レイリスちゃんが気に入ってくれて、よかったわ」
大きな目をクリクリさせて、嬉しそうに話す夫人。やはりこの人、とても可愛らしい。あんな大きな息子がいる様な歳には、とても見えない程無邪気で可愛らしいのだ。
その後夫人と色々な話をした。以外と私の考え方に近かった夫人とは、打ち解けるまでにそう時間はかからなかった。
なぜかすっかり気に入られてしまった私は
「レイリスちゃん、今日はありがとう。また私とも仲良くしてちょうだいね」
満面の笑みでそう言われた。こんな可愛い顔でそんな事を言われたら、断る事なんて出来ない。それに夫人とは話ていて楽しいし、服の事も色々と話したいし、仲良くするのも悪くはない。
「ええ、もちろんですわ。こちらこそ、よろしくお願いします」
この日からすっかり夫人と仲良くなった私は、定期的に夫人とも過ごすようになったのだった。




