隣の家のお化け屋敷
となり街の一軒家には、よく人がやってくる。
「あ...また、入っていた」
「うん。だね」
僕と、君は不思議な家を見つめている。どこにでもあるような一軒家だが、不思議なことに表札がなくて...草なんか、放置しっぱなしで...それなのに
「あ...また人が入っていったね?」
「うん...不思議だね」
この一軒家は、僕のとなりの家なのでよく目に入る。そして...場所も場所なため...そろそろ、手入れをして欲しいと言いに行こうと思う。
「千里...一緒に来てくれるよね?」
「えぇ?私も?無理だよぉ」
僕達は、中学生...俗に言う思春期に入り始めたころである。
「さては、怖いんだな?千里」
「怖くないもん!!そんなこと言って、裕也も怖いんでしょ?」
「なんでそうなるんだよっ!!千里の話だっただろ!!」
「ふーん、どうせ私がいないとなんもできないもんねぇ。今日だって、隣の家が怖いぃ!!って大騒ぎして、うちを家に呼んだんだもんね」
「うっ...で、でも、千里も怖いって思ってるのも本当のことだろ」
「そんなことないもんっ!」
そういって、そっぽを向こうとして、隣の家を見えしまって、ひえっ!!っと声を出す千里....
「はっ、怖いんじゃねぇか」
「.....怖いけど....だからっ!一人で行って来てよっ」
「はぁ?一緒に行くだろ」
「だから!!私が行く意味がないんだって!!」
「あぁもう!!今度、好きな漫画二冊買ってあげるからっ!!」
「ほんとう!?!」
うぉ...近い近い...お金で、釣れちゃうなんてチョロいもんだなぁ...
うん。とにこやかに顔を振ってあげる。
「じゃあ、行ってあげる」
「よしっ!!」
そして、僕達はとなりの家に声をかけに行くことにした。
「薄気味悪いねぇ...毎度思うけど」
「車もないし、マジでなんのためにあるのか分からねぇ...」
何人か家に行くのを見ていたので、大丈夫だろう。という気持はあるのだけれど...それでも、一言言っておきたいんだ。
ピンポーンという、家の雰囲気とは違ったなんというか...最新の?音がなった。いや、おばあちゃんちとか、ブーっていうインターホンだから、ねっ!!
「出てこないね...」
「...う、うん。」
こっそりと、僕に耳打ちする千里...あやうく、胸が飛び出でるか思った。けど、強がって冷静な感じで答えられた。と思う...
「中...入っちゃう?」
「それは、ダメでしょっ!!絶対なんか言われるって!!」
「んー...確かに」
いや、ほんと悪魔の囁きだからそれ...中に人がいるはずなのに...誰も出る様子がない。
「でもさ...こういうのって...事件...とか、あったりするよね」
「変な事言うなよっ!!はぁ...じゃあ中入るか?」
「あ...え....うん....」
「なんだよ。はっきりしねぇなっ!」
僕は、階段を一つ一つ慎重に登っていく。ぐっと、扉を握って開く。鍵はついてないようで、普通に開いてしまった。
「あ...開いてるね」
「い、いやいや、これ以上はご近所関係にトラブルがっ!!」
「人の家の扉を勝手に開いてる人に言われたくありません。」
「いや、だってよぉ....」
チラッと中を覗いてみる。至って普通の家という感じだ。だけど、どこか...そう。人が住んでるような感じがしない。綺麗すぎるというか....
「やっぱこの家おかしいよっ!!」
「へぇ...どこがおかしいの?」
「それは、その....なんか、おかしい」
「それじゃ、わかんないよぉ....」
そういって、僕の近くへと寄ってくる千里...そっと、中を覗いて見た。
「う、うん...確かに、どこか違和感のあるよね。」
「そう。新築って訳じゃないのに...」
「この際だから、入って聞いちゃお?」
「うぇ....」
でも、中に入るなんて...不法侵入だし...でも、なにか殺人でも起きてたら、それは言わなきゃなんないし...えぇっと...どうすればいいんだっ!!
「とぉっ!!」
「あ、バカっ!!」
足を踏み出した千里は、そのまま中へと入っていく。
そんな勢い良く、入っていかれても...
「もう、待てよっ」
「お邪魔しまーす」
小声で言われても分からないだろうが!!まぁ、不法侵入だからな。罪悪感はあるけど....
「ふふふ、侵入成功だね」
「そうじゃないからっ!!全く」
千里の後に続いていく。大丈夫、あと理由を説明すればいいはず....
「んー、誰かいないんですかぁ?」
「すげぇ...全部新品だ...」
どこか...普通じゃない場所へと迷い込んだ感覚がある。これが、人が引き付けられるのも無理はないなぁ...
「でも...人が入ってるわりに、綺麗なものばかりっていうのも、変だよね...それに、新築ってわけじゃないから、草生えまくりなわけだし」
「だねぇ...あっ...」
「お、どうした?」
「いや...外に人影が見えたような...」
白いカーテンで隠された庭の方をじっと見つめる千里...おいおい、冗談よしてくれよ?
「それに、なんだか...ずっと見られているような気がする」
「はぁ?そんなわけ...」
「いやいや、嘘じゃないと思う。私自分でいうのもなんだけど...結構綺麗じゃん?」
「うん...美人ではあるよね」
大人になるのが、ひそかな楽しみではある。僕は、冴えない顔してるけど...
つまり、綺麗だから...よく人の目にさらされているからそういうのに敏感だと言いたいんだろう。
「でも...そんなの分かるわけないじゃん!!」
「女の勘だよ」
「そんなところで、女の勘を使われても...」
不法侵入してるわけだし...圧倒的に僕達が悪いんだ。どこかから、誰かが覗いていてもおかしくはないと思う...
「んー...でも、毎日五、六人の人が入っていて..誰も出てきてないんだぜ?」
「うーん...」
「なにかが起きているとしか思えないだろ...」
「助けてぇええ!!」
「ひっ!?」
「なにっ!?」
この声は、外から...僕は、千里の顔を見る。いや、変な人だよ。絶対...こんなの触れない方がいいって
手で戻ろうとする意志を伝える。指で出口を指したのを見て千里は、うんと首を縦に振った。そうして、振り返った瞬間...
「おい...君たちなにをしている」
うわ...めっちゃ怖いおっさんだぁ...見たことない人だ...いや、そんなことより、声がしたのは庭の方。おっさんは、背後に立っている。
「千里っ!!逃げようっ!!」
「ええ...えぇ、そうねっ!!」
「待てっ!!逃がすかっ!!」
僕は、出口まで走る。ひたすら、ガムシャラに外へと向かった。
ドアを開けて...外へとで出た時、既に何人かの人で包囲されてることを知った。チャラそうな男の人や、髪をきちんと整わせている女の人までいる。
「離してぇ!!離してよっ!!」
「おい。大人しくしろっ!!いきなり逃げようとするからだろ」
千里も捕まってしまった。僕と、千里は大人しく大人たちに連れられることとなった。
手早く、お茶を作ってくれているあのおっさんの顔をじっと見つめながら、僕と千里は大人しくソファで座っていた。
「はぁ...変なカットが挟むことになっちまったなぁ...」
「いやいや、いいじゃないですか...あれは、あれで」
「誰が、少女の叫び声が入ったものなんて見たがるんだ」
「ははは...まぁ、それはそうね」
「あの....」
「お前たちは、どうして無断で家に侵入したんだ?」
「いや、そもそも鍵をかけてないのが悪いと思うんすけど...」
「それにしてもでしょ」
「僕達は、家の外の草や木が荒れ放題だったので、一言言おうと来ました。」
「それと...人がなかなか出てこないので、怖いものみたさというか...」
「おいっ、千里変な事言うなよっ!!」
「あ...あははは...私は、初めから包み隠さず言っちゃった方がいいと思ってるから」
「そういうことです...」
全員が、じっと僕達を見つめている。流石に、大人たちに囲まれたりするのは初めてだから...なんて、言ったらいいか
「ぅっ...ごめんな...さい...」
「あ、千里泣くなよぉ」
「あぁ...」
ガシガシと頭をかいたおっさんは、バツが悪そうな顔で僕たちを見ていた。
ふっ...と、肩を落とした女の人や、やれやれ...と言った風に手を振っているチャラそうな人
空気が、少し重たく感じた。
「全く、君たちは中学生か、小学生の後半くらいか?」
「中学生です...」
「そうだな...君は、となりの家の子か?」
「はい...」
「それで、女の子の方は、お友達?」
「はぃ....」
「そうだね。答え合わせをしようか...君は、毎日八時あたりはなにをしている?」
「勉強をしているか、食事をしています。」
「だろうね。俺たちはその時間に毎日帰っているんだ。となりの家が気になってはいるけど...きちんと見ていない。ということは、消えているように見えてもおかしくないよね?」
「で、でも、毎日、人が変わって入っていきます」
「うん。そりゃそうだ。僕達はテレビを撮っているんだ。ここ三年間」
「さんねっ....」
どれだけの年月をかけてやってるんだ。三年間って...それは、もう...頭のおかしな部類だぞ
「君の考えたことは、わかる。まぁ...ずっと同じものを使ってるわけじゃない。俺たちは、セットで撮るより実際の場所で撮った方がずっといいと思ってるんだんだ。」
「そ...れぇ...じゃあ、刺さるような視線は...」
「あー...ここら辺をいい感じに取れる小型カメラが付いている。あそことか...小さく光っているのが、分かるだろう?」
「そうですね...」
「新品のものが多い理由は!?」
「言うても、三年だぜ?しかも、ほとんど足を踏み入れていないと言っても過言じゃない。新品同然に見えるのも無理はない」
ぐっ...確かに...じゃあ...
「外の木とか、枝とか...そういうのは、切らないでいいんですか?」
「そういう、コンセプト...と言っては語弊があるね。木を切らなかったのは、純粋にそこまで手を回せなかった。それが、ここまで発展してしまったのは、俺たちの責任だ。申し訳なかった。」
「いや...いいんですよ」
流石に、これ以上言うのは....
「君たちは、勇気があるね。ただ、人の家に勝手に入るのは納得行かないなぁ」
「ぐっ...」
「はい...」
「今度から気をつけるように!!シーンカット、始まるからちょっと見ていくかい?」
「いいんですか?」
「もちろん」
それで、話は終わりになった...庭で人影が叫んでたのも演出らしい。でも、ちょっと痛い気がする。
いつも、僕は窓から入口ばかり見ていた。帰ってくる時も玄関から入ってくる人ばかり見ていた。だから、気づかなかった。裏ではこんなことがあったなんて、そして、勝手な憶測で中に入ってしまったので、色々迷惑をかけてしまったと思う。
「おお....すごい...」
「だろう?」
「あの機材なんだろう!?」
「あれはねぇ...」
丁寧に説明してくれるおっさんの顔は、柔らかくなっていた。きっと、見えないところに、事実はあるんだ。視野が狭いから...僕達は恐ろしくなってたんだ。
「今日一日ありがとうございました。」
「いいんだよ」
「凄かったね。裕也」
「うん。」
「どんなものが作り上がるんだろうね?」
「楽しみだな。」
でも...規模が違ったように思える。どうしても、五・六人の話じゃない。何十人と入っていたように思える。
「また来てねっ」
はっと、僕は後ろを振り向いた。そこは、僕達が出てきた玄関で...誰かがいるようには、思えなかった。
「どうしたの?裕也」
「い....いや、気のせいだよ...きっと」
演技が得意な人でもいたのだろう。うん...きっと...そうだ。でも、僕は思う。
これだけのこだわりのある作品がなぜ人に評価されないのだろうか...いや、偶然?それは、もしかしたら、必然かもしれない。
ご視聴ありがとうございます。
おっさんが、全部答えを教えんのかよっ!!推理じゃないよっ!こんなのっ!!って、書き終わってから思った。春の推理小説で出したかったのにぃ...期限すぎてるけどwホラーに寄ってしまう...w




