09『貯運』
なんなのさ、あのえろおやじっ。
完成したカードを使っての説明の場で、
一番えらそうで一番えろそうなおっさんにダメ出しされちまった。
モノカさんが最強なのが気に入らないんだとさ。
要望通りにいろいろイジったせいで、
精魂込めて調整したバランスがぐちゃぐちゃだよ。
あーもう、最悪。
改悪調整されたカードたちが、
魔導印刷機とやらで刷られていく哀しみ。
お前ら、必ず仇は取ってやるっ。
私のリベンジはこれからだ!
などと意気込んでみても、一介の小娘としてはいかんともし難いわけで、
ちまたで大人気とか、刷れば刷るだけ爆売れとか、
おっさんたちは祝杯をあげてるけど、
私は、絶賛へこみ中。
おっさんどもからは、早く追加パックを作れと矢の催促、
ハルミスタさんとの約束の期限も迫ってくるし、どうしよう。
確かにハルミスタさんには適当なところで隙を見て脱出って言ったけど、
オタ娘なりのプライドもあるわけで、
なんとかアイツらに一泡吹かせられないかな。
ふと、思い出しました。
忘れていたけど、私の固有スキルは『貯運』
確か、不幸ごとが貯まるほどラッキーなことが起きるはず。
今の私の陰鬱不幸気分だったら、スンゴいラッキーが起きたりして。
発動方法とか全く分からんけど、
とりあえず願ってみるよ。
『あのえろおやじたちにとびっきりの天罰が下って、超スッキリさせてください』
祈りを込めながら、ベッドでふて寝。