04 売約済
使い込まれた感のあるお裁縫道具をお借りして、
やたらいっぱいある端切れから、いい感じのを選んで、
後は、
うなれ私の職人魂!
入魂の一作ができあがったのは翌朝。
ハルミスタさんが用意してくれたサンドイッチ風軽食にも手をつけずにめっちゃ集中、良い仕事ができました。
目の前ではその入魂の一作を身につけたハルミスタさんが、鏡の前でうれしそう。
私も、たいへん満足であります。
いつもの私の貧相仕様ではなく、ハルミスタさんご自慢のふたつの丸みを支えている布地のなんと誇らしげなことか。
そりゃあ念入りに採寸しましたからね、目にも手にも脳内にも焼き付けましたともさ。
そんでもってハルミスタさんのお肌がまた、絶品もちぷになんすよ。
「ありがとね」
いえいえこちらこそ、勉強になりました。
まさに得難い体験、黄金の経験でしたよ。
「本当、残念だわ」
そりゃあ私の方は見ての通りの残念ボディですけど、そんなにストレート豪速球しなくったって分かってますよって。
「違うの、契約するの早まったかなって」
ほえ、契約とな。
なんでも、召喚の依頼主とはすでに売買契約済みで、配達日時も決まっちゃってるとか。
そこをなんとか、お姉さま。
「ごめんね、こういう商売って信用を失うのは命に関わるの」
私の方も、そこそこ命懸けっすよ。