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第14話 武装を試そう

第四位階下位

 


 クアンダと、ドールソルジャーが相対する。



 本当に大丈夫なのかとそわそわする中、ソルジャーは盾を前にクアンダへ直進した。


 足場は浅瀬。


 泥の地面はそう良い足場では無いが、滑る岩場と比べれば十分マシだ。



 果たして、クアンダは正面から接近するソルジャーに対し、背中の骨板を光らせた。



 だ、大丈夫なのか?



『水のブレスです』



 コアの報告の次の瞬間、口を開いたクアンダから放たれたのは、大量の水。


 ただし、勢いも大した事なければ、量も微妙だ。


 ばしゃーっと水を被ったソルジャーは、それに対抗して全身を光らせ、盾を前に直進する。



『グランサージの鎧の特殊スキルです。主な効果は身体強化となります。サージブーストですかね』

「お、おう」



 身体能力を強化して、水の勢いを正面から受け止めて駆けるソルジャーは、十分な距離に来ると剣を掲げた。

 生じたのは、サージナイフの3倍はあろうかと言うオーラの巨剣。



『サージソードとでも呼びましょうか』

「おぉぅ」



 そんなコアの言葉が終わり切る前に、振り下ろされた斬撃が、急遽逃亡にシフトしたクアンダの首を落とし、胴体にも斬撃を刻んだ。


 先ず間違いなくD級を殺傷せしめる威力だ。


 対してクアンダの水ブレスは、鉄砲水というには些か弱い。

 おそらく本来の威力は鉄砲水なのだろうが、それにしてもおそらく、盾を持ったサージブーストを突破出来る威力では無い。


 正しく圧勝だった。



 何だ、案外何とかなるな。色々な心配はいらぬ心配だったらしい。





 次の獲物に襲い掛かったのはランクス一式のドール。


 流石にF級で盾も鉄の大盾のみ。今度こそ心配すべきかと思ったのも束の間、ドールは全身から光を放った。



『ランクスブーストですね』



 そんなコアの言葉の間に、よろよろクアンダは水ブレスを放ち、ドールはそれを正面から受け止める。

 ぐっと前進速度が遅くなり、しかし水圧に負ける事もなくドールは前に進む。


 振り上げた刃は、元の2倍程の巨大な剣へと変じ、振り下ろされた。



『ランクスソードです』

「さよか」



 血飛沫が途中で消えるのを見届けて、頷く。


 体感的には水ブレスはD-級の威力はありそうだし、俺をぶっ飛ばしたなんとなく猪タックル並みの威力はある筈だが、流石は職人の作った100万の鎧と言う訳だ。



 その後の都合7回の戦闘は、皆同じ結果に終わった。



 ……多分なんだが、水ブレス放ってる時のクアンダ、前が殆ど見えてないな。

 経験上水ブレスを放っておけば大体の外敵はどうしようも無くなると言うのもあるだろう。


 一番最初のクアンダが逃げに転じたのは、剣があまりにもデカくて、何かヤバそうな光が視界に入ったからだろう。





 そして最後。


 今度こそ、F級にF級の1万の鎧、100万の盾だから心配だ。


 そんな思いで見ていると、クアンダが正面のドールに水ブレスを放つ。


 対するドールは、またも全身を光らせた。



『シェイアスパワーですかね』

「おいおい、流石にか?」



 クアンダの放つ水ブレスと、盾持つドールが拮抗する。

 流石にパワー不足かと思った次の瞬間、横に回り込んでいた2体目のドールがクアンダに盾を向けた。


 刹那、生じたのは、巨大な牙を持つ猪のオーラ。


 それは勢い良く突進し、クアンダをぶっ飛ばした。



「おお」

『デミガンドライアスですね』



 吹っ飛ばされたクアンダは、暫しもがくと起き上がり、逃走にシフトした。


 流石に逃げられたら不味いだろうと思うも、即座に動いたのはカースドドール。


 出現したダークチェインが自在に動き、クアンダの前足を引っ掛ける。

 だが、流石はクアンダもD級か、元が2足歩行だったりする為、ややつんのめりながらも2足になって逃げるのを再開する。


 そこへクロが指を差し、生じたシャドーバインドがクアンダの足を掴むや、クアンダは激しく転倒した。


 ダークチェインのせいで受け身も取れず、地面でのたうつクアンダに、再度デミガンドライアスが放たれ、派手に吹き飛ぶ。


 それでも、クアンダは生きている。


 ——流石はD級。


 と言うよりも、デミガンドライアスの威力がそう強い物では無いのだろう。

 デカい図体をぶっ飛ばすのは当然中々の威力だが、殺傷力と言う点ではもう一歩足りていない。


 既に内臓がやられたか、血を吐いてもがくクアンダに、再度盾を向けたのは、ソルジャー。


 生じたのは、先のデミガンドライアスと同じ猪だが、牙がエグい。


 刺々しい刃が幾つも付いた大牙。



『ガンドライアスですね』

「だな」



 件のガンドライアスは、クアンダの腹に突撃し、牙を突き刺すや、大きく首を振るった。


 大量の血が噴出し、クアンダが断末魔の悲鳴をあげて絶命、消失する。


 辺りに残ったのは、大量の血だ。



『亜竜の血は特殊な力を持っているので、極力浴びるなり吸収するなりしましょう』



 コアがそう言うや、クロが地面に広がって、血を余さず回収する。


 それをドール達に順繰り塗りたくって行く様は、いつだかのリザードマン達を彷彿とさせた。



『これで威力の確認は終わりですね』

「あぁ」



 コアの言葉に俺は頷く。


 D級に通じそうなのは、グランサージ一式とランクス一式。

 デミガンドライアスはD-級の威力で、ガンドライアスはおそらくD級に通じるくらい。


 何気にブースト系と言う思いもよらない強化があったのは大きい。

 後はデミガンドライアスくらいの盾さえ用意出来れば、ランクス一式も万全になるだろう。



『それからマスター、提案ですが。余っていたクアンダの血をドール達の強化に使うのはどうでしょうか? 暫く血生臭くなりますが』

「多少の苦労は付きものだろ。実行で」

『はい、では随時』



 その後、ドール達を帰還させ、最後のクアンダ3匹をカースドドールに狩らせて、第三拠点に帰還した。


 これで、クアンダの殲滅は終了だ。


 次は、F、Eに加えて、クアンダ以外のD級がいるらしいので、それを狩る必要がある。

 とは言え、最後のD級は1体のみとの事なので、焦る必要は無い。



 血生臭い第三拠点で、俺は心持ちゆっくりと昼食を摂った。



 

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