表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/115

第6話 未だその時では無い

第三位階中位

 



 最初にやる事は決まっている。



「ジェリーはこっちに集まってくれ」

『ジェリーは集合してください』



 そう呼び掛けると、ジェリー達がのろのろと集まって来る。


 よし、コレで良い……集まんのに時間かかるからな……。


 少し場所を変え、改めて声をかける。



「シャドーウォーカーはこっちに集まってくれ」



 呼び掛けるや、畑や池やネズミ穴からわらわら現れたシャドーウォーカー達。

 彼等は思い思いの場所で止まり、此方を見上げて来る。



「……シャドーウォーカーに出来る事」

『体は変幻自在であり、物の影を食べる事で力を増して増殖する他、合体して強くなる事も可能です』

「じゃあ先ずは変幻自在とやらを見せて貰おうか?」



 とは言え、何が出来る? 変幻自在だからなんでも出来るんだろうが。取り敢えずは、隙間さえあれば何処にでも入れるってのを確かめるか。



「えーと……平べったくなって見てくれ」



 そう声を掛けると、全員が地面に沈む様に消滅し、床が真っ黒になった。


 すげぇなコレ、ペンキをぶちまけたみたいになってるぞ。



「次は……ジェリー」



 床から黒い饅頭が現れた。ジェリーだ。黒いジェリーに見えるぞ。



「次、ピグマリオン」



 黒ジェリーがニョキッと立ち上がり、黒ピグマリオンが現れた。

 ただし……。



『体積以上の大きさにはなりません』

「だよなぁ」



 そりゃそうだ……いや、待てよ?



「中空洞にしたらどうだ?」

『耐久力も攻撃力も落ちてハリボテになりますね』

「駄目か」



 まぁ、体積の範囲内なら何にでもなれるって事が分かったし、無茶をするのは無理だって事も分かった。


 次は合体を見せて貰おうじゃないか。



「合体してみてくれ」



 どんな風になるのやら。


 期待しながら見ていると、シャドーウォーカー達は3人で集まり、合体して大きくなった。


 単純な体積は3倍。身長はおよそ2倍。



「おお……この状態で変形は出来るか?」



 それが出来ればやれる事も増える訳だが……。


 シャドーウォーカー達は暫くむぐむぐと蠢いた後、どぱーっと分かたれてころころ転がった。



「無理かー」

『でしょうね』



 その後も幾らか検証してみたが、結局合体状態では平面になる事しか出来なかった。

 その平面になるにしたって、そもそも分かたれて平面になり、立ち上がると同時に合体している様な物だったので、実質人型にしかなれないと言う事だ。


 人型時の能力はピグマリオンに勝る。やはり、シャドーウォーカーは使える魔物だった……夜か暗い所でしか活動出来ないのが難点だが。



 次に確認したのは、取り憑いて強化する奴。


 結論から言うと、1匹までは取り憑けた。2匹以上は難しい様だった。

 どの生物にも取り憑いて強化する事が可能な様で、ピグマリオンに憑いたり、ピッドに憑いたりして力を底上げさせる事が出来た。


 不死系と傀儡系の間の子みたいな感じに言ってたし、やっぱりお化けよろしく憑依する感じなんだろうな。



 最後に、物の影を食べるとか言うのがどんな物か見る為、コアを光源に1DP5個のりんごの影を喰わしてみた。

 本当に影が消え、コア曰く、本体は味と生命力が劣化しているでしょうとの事。


 増殖する事を期待し、100DPでリンゴを500個用意した。好きに食ってくれ。



 次は、ジェリーがまだ集まっていないのでピグマリオン。



「ヘイコア、ピグマリオンの出来る事」

『生体では無いので疲労せず、見た目よりパワーがある為土木工事に向いています。戦闘に運用するのであれば、武器を持たせて訓練させる事をお勧めします』

「じゃあそれで」

『ピグマリオン用の剣を購入すると良いでしょう。1DPで5本購入可能です』

「じゃあそれで」



 リンゴと同じ値段の剣は、小指位の大きさの小さな剣だった。


 ジャラジャラと出てきたそれを、1人につき1つずつ持たせ、ピグマリオン達の素振りが始まった。

 500体のピグマリオン達が、よろよろと剣を振り、その横ではシャドーウォーカー達がリンゴの影を喰い、その近くではジェリー達がよたよた集まって来ている。


 ——異様な光景だった。


 コレで強くなるんかね? なるんだろうね。



「さて、気を取り直して次、ペルタは?」

『特にマスターが期待する戦力はありません』

「だろうね。プチモームは?」

『特にマスターが期待する戦力はありません』

「ですよね……ジェリーは?」

『少しの戦闘力を持つので、集まってから調べたら良いでしょう』

「OKOK」



 ……無駄にならなくて良かったわ。



「じゃあ、バド・ユレイドは?」

『多少の拘束力と防御力を持ちます。防御性能は武器を持ったピグマリオンが上手く核を砕ければ倒せる程度。拘束力はピッドを捕まえておける程度でしょう』

「イマイチって事な」



 幼児程度のパワーで武器を振って上手く行けば倒せる程度。

 それなら俺が振れば一撃だろうな。


 機動力も無いから、あくまでも捕まえておける程度で、捕まえる事は出来ないだろう。ロープと同じだ。


 まぁ、最初に言われた通り、畑の肥やし役に専念して貰うのが良いだろうな。



「次、ピッド。何が出来る?」

『器用な戦闘は出来ません。多少の瞬発力がある為逃走は得意ですが、攻撃時は精々噛み付く程度。特殊な力は持ちません』



 歯が立つ奴には数で押せるが歯が立たなければ逃げるしか無いって事だな。



「最後、ジェリー」

『溶解能力を持ちます』



 勢揃いするのに掛かった時間から、機動力が無い事は明らか。

 最初の説明からも、実際の戦闘力が無い事は分かっている。



「……他には?」

『核が破壊されなければ死にません』

「?」



 ……つまり、核を守る檻みたいな防具を作ってやれば無敵って事か?



『あまり体から離れ過ぎてもまともに動けないですし、消化中は肉体全てが分解性質を持つ為、マスターが考えている事を実行する場合はDP消費が高く付くでしょう』

「これ……集まった意味、無い?」

『シャドーウォーカー達が食べ終わったリンゴを消化させましょう。十分なエネルギーを獲得すればやがて分裂して増えます』



 そう言う事ね。



 じゃあ、結論だが……戦力的にはシャドーウォーカー&ピグマリオンに期待し、警戒はピッドの群れ。


 ジェリーはゴミ処理に専念して増えて貰い、ペルタは迷宮からのエネルギー補給で増えて貰う。


 プチモームは進化に期待するとして、バド・ユレイドはそのプチモームの給餌係になって貰う。


 コアは特に戦闘出来る訳じゃなくて、俺はスキルとやらを2つ得て少し強くなりましたと。



「うむ。戦える状況じゃねー」

『最初はそんな物です。その為の『数日間はほぼ確定的に安全な配置』ですから』



 ……何度も、そして詳しく確認してしまうのは、不安だからだな。

 やっぱり俺も小心者って事だ。



「……なんかやる事ねぇの?」

『ナイフの素振りなり筋力トレーニングなりやっていてください。疲れたらボードゲームでも如何です?』



 未だ動く時では無いと言う事か。



 

 



〜1日目・夜〜



「寝れん」

『子守唄でも如何ですか?』

「いや、そう言うんじゃなくてさ」



 大方、興奮とか不安とか、そう言った生体にありがちな感覚が睡魔を邪魔しているのでしょう。


 気持ちはわかります。私も高揚しているのは間違いない。



「……なんか話をしようぜ」

『どうぞ』



 マスターは身を捩り、少し考えている様子。


 話をしていなければ不安なのでしょう。何かをしていなければ不安なのでしょう。


 ですがそれも試練です。


 神の与えたもうた、選ばれし者にのみ許される、神の御慈悲。


 どうぞ、乗り越えなさいませ、私の主マイ・マスター



 暫しの時間を経て、マスターは考えを纏めた様で、金糸雀色の・・・・・瞳を此方へ向けた。



「……そういや凄い汗かいたのに全然臭くないんだけど、なんで?」

『清浄化のおかげでは?』

「あぁ、そんなのあったな。便利……トイレ行きたいってなんねぇのは?」

『マスターの体は特別性ですから。生成された魔物達も迷宮の庇護下にいる間は排泄は不要ですよ』

「そっか、楽だな」



 腹の中にジェリーでも入ってんのか? とでも言いたそうな顔ですね。

 そう言う点も含めて、主の御慈悲なのですよ。



「D級ってどんなもんなんかね?」



 雑談と同じくらい些細な事。そう言うかの様に、マスターは問うてくる。


 私はそれに正直に答えます。



『簡単な相手ではありません。どんな相手でもマスター10人程度の力を有しています』

「うへー、まぢか」

『勿論得手不得手がありますから、詳しい情報を集めて入念に準備すれば討伐は案外容易いでしょうね』

「……そんなもんかねー」



 ……逆説的にD級くらい強くなっても格下にやられかねないのでは? とか思ってそうですね。



亜人・・ならともかく獣には大した知恵はありません。D級程度なら罠にかけるのは容易いでしょう』

「そっか……ふぁ……じゃあゴブリンとかはどうなんだ?」

『人為的に育成されれば相応の知恵を得られるでしょうが、野生下なら精々棍を振るうか石を投げる程度。多少知恵が回っても、見え見えの落とし穴を掘るくらいが限界です』



 マスターが眠りにつくまで雑談は続き、ゆっくりと夜は更けていく。


 仄暖かい夜風が吹き込み、マスターの黒髪が揺れた。

 ……扉を作る様に提案してみましょうか?





《1日目》



【出費】


竹槍式落とし穴×2 104DP

ギロチントラップ 18DP

岩除外 180DP

池 100DP

畑用土 11DP

ナイフ 1DP

ベッド 3DP

リンゴ×500 100DP

小剣×500 100DP

昼食 1DP

夕飯 1DP


ペルタ×3001 3001DP

バド・ユレイド×101 101DP

プチモーム×301 301DP

ピッド×1001 1001DP

ジェリー×101 101DP

シャドーウォーカー×1001 1001DP

ピグマリオン×501 501DP


短剣術 150P

隠密 120P


視覚共有 1DP

短距離転移 100P

活心 100P

吸収量増加 80P



合計:7,177P




【収入】


御慈悲 10,000P


地脈吸収 108P

生産量 7P


蛇?(大) 8P

蛇?(中)×2 12P

鼠?(黒)×4 8P

蟻?×53 10.6P


その他

小虫?×78 7.8P

鼠?×8 6.4P



合計:10,167.8P



所持DP:2,990.8P



【所持アイテム】


石塊(中)×150

石屑


蛇?(大)の牙

蛇?(大)の皮

蛇?(大)の骨

蛇?(大)の肉

蛇?(大)の魔石


蛇?(中)の牙×2

蛇?(中)の皮×2

蛇?(中)の骨×2

蛇?(中)の肉×2

蛇?(中)の魔石×2


鼠?(黒)の歯×4

鼠?(黒)の毛皮×4

鼠?(黒)の魔石×4


蟻?の牙×53

蟻?の魔石×53


鼠?の毛皮×8



 その他素材はジェリーやピッド達が美味しく頂きました。



 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ