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第2話 神に祈りを

第三位階中位

 



『邪教徒ですね。滅ぼしましょう』

「冗談は置いとこうぜ」



 マジに聞こえるが冗談だろ多分。それよりも建設的な話をしようぜ。



『そうですね……その他の動物や同じ亜人である所のゴブリン等ではなく同族を刺し殺したとなると、他種族を同じ様に生け贄に捧げる文化はない物と考えられます』

「ふむ?」



 つまり……リザードマンを殺す事が奴等にとって大切な事なのか。



『リザードマンと言う種は往々にして、より高次の蜥蜴や竜等を信仰の対象にします。おそらく近傍に信仰の対象となる魔物が生息しているのでしょう。そう言った亜竜等の血は、浴びる事で竜化が進み肉体が強化される事から、同種を殺害しその血を浴びる事で強くなると信じている可能性があります』

「成る程」



 お手軽に強い力を得る為の同族殺しって訳だ。

 コアの感じだと、多分効果は無い。精々他の生物を殺す程度にしか強くならないだろうな。


 血を抜いたら病気が治るみたいなとんでも民間療法みたいな話だぜ。



『また、殺害された個体は痩せていたとの事ですが、おそらく罪人、または間引きを兼ねた生け贄用の弱個体。或いは病気の個体であったと推測されます』

「成る程……」



 それはつまり、マジで狂ってる様に見えて案外合理的って事か。

 処刑か間引きを兼ねてるならただの狂信者って訳でもないだろうしな。信仰を利用してる奴がいる。またはいたのだろう。



『牛型魔物に殲滅された事から、牛型魔物はリザードマン達にとって慣れた相手ではない事が分かります。この事から、生け贄は特別な戦いのみで捧げられるのだと推測します』

「確かに、戦う毎に生け贄なんかしてたらそれだけで全滅するだろうな」



 うーん……また亜人の文化に触れちまったなぁ。人がいない世界だからなんだって話だよな。



『差し当たり暫くは情報収集に当てましょう』

「良し、頼んだ」



 正直狂ってるとは思うが、同胞を殺す事に何の覚悟もないとは思わない。

 それほどの覚悟と決意を持ったリザードマン達が全滅するって事は、牛達は俺が思ってるより強い。


 安全第一で行こうぜ。





 少し北に寄り道し、ゴーレムを目視して来た。


 素手で洞窟を掘っている様だったが、それだけだ。

 特に変な部分があればコアが言うだろうし、俺から見てもおかしな事はしていない。放置で良いだろう。


 その後、コアナビに従い森を真っ直ぐ駆け抜け、思っていたより早く迷宮に帰還した。



 さてさて、DPは無いがやれる事はある。それをガンガン進めて行こうか。


 先ずは土地の利用だ。


 100%安全とは言い切れないが、地上の南東部には今殆ど生き物がいない。

 これを利用しない手は無いので、早速大量の石を設置し、南東部を隔離した。


 まぁ、石が大量にあったとは言え、完全に隔離出来る程では無いので高さは精々2メートル。厚さ50センチ程度の柔な壁だ。

 崩壊した迷宮上層部、元大鳴蟻塚、元小鬼達の採掘場の石も加工して使ったが、残念ながら山の方は隔離しきれていない。


 加工費は合計で500P。なけなしのDPが減っていくが、投資なので全く問題はない。


 続けて同じく500Pを使い、迷宮前の木々を伐採、加工出来る様に処理を施し、更に500Pで南東部の山側に植樹。

 拓かれた土地を200Pで畑に加工した。


 ここでは豆を育てる予定だ。


 それに伴い、早速木材の加工を始める。


 作る物は3種。畑用の小さな柵。罠用の杭。石壁の周りに設置する逆茂木。


 俺1人だと手間なので、ピグマリオンやシャドー達に手伝って貰う。

 ……木工工具の購入に300Pかかったが、木材は大事な戦略物資。それを加工する道具を渋る事は出来ない。





 日が出てる間は基本的に暇で遊んでいるシャドー達の補助を受け、ピグマリオン達は高速で木工を進める。

 その横でひたすらに逆茂木を作り続け、時折ナイフを振り回してストレス発散、それと並行して、コアの報告を聞いた。



『勇猛大平原は中心にやや太く流れの緩やかな川があり、2体のエリアボスは東西それぞれを支配している様です』

「ふむ、同士討ちさせるのは難しい、か」



 いやまてよ……東西にエリアボスがいて、お互い知らない訳がないのだから、ここには均衡する様な何かがあるって事か……?



「……川の深さは?」

『不明です。が大型魔獣に分類される牛型魔物であれば、水棲魔獣に襲われなければ通過可能な深さであると考えられます』



 ……そりゃそうか。東西両方に同じ種類の牛がいるなら、行き来出来て当然だろう。



『袋小路の森から勇猛大平原へ川が流れているのはご存知ですね?』

「あぁ、そこそこ流れが早い川だな」

『それが中央の川と合流している為でしょう。勇猛大平原北東部はエリアボスの支配範囲でありながら、その想定消耗率は1.05倍です』

「ほう?」



 自負と畏怖からエリアが決まると言う事は、つまり北東部は自負も無いし畏怖も少ないって事か。



『それに伴ってかは不明ですが、北西部の想定消耗率はおよそ2倍に抑えられています』

「まぁ、手札の一つにはなりそうだな」



 覚えておこう。


 現状やれる事と言えば……防備を整える事と俺が偵察に行く事。スキルを鍛える事。


 防備を整えるのは一応ピグマリオン達でも出来るし、偵察は明日、情報がもう少し来ないか待って行けば良い。

 つまり、やる事は実質一つ。スキルを鍛える事のみ。


 程々に休憩を入れつつ、あれこれ細々とやって行こうじゃねぇか。


 気合いを入れて鉈を振るった所で、コアが明滅した。



「なにがあった?」

『……ま、マスター…………』



 ちょっと初めての反応だな。声質的に慌ててないし、敵が来た訳じゃないのか? シンプルに驚いてる感じだ。

 或いは驚く程の進化でもあったか?


 一体何があった?



『……招待状が届きました』

「招待状……?」



 手紙……あぁ、データか? ……誰から? いや神か。



「……え? マヂデ?」



 あ、もしかして邪女神様って言ったのがバレて、呼び出し来てる?


 第二ライフ終了のお知らせ?



 

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