表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/115

第29話 引っ越し傍

第三位階中位

 



 万が一の場合逃げる時間を作る為、拠点の移動を行なった。


 コアに曰く、D級ともなるとネズミや小魚は捕食対象に在らず、影を認識出来るかは不明ですが即退避出来る様にすれば問題は無い。

 虫は勿論木も動かなければ問題ないでしょうとの事で、俺だけの引越しだ。


 場所は、地底湖。


 自分が暮らすってなって初めてあれやこれや気になったりしたが、換気とか耐久性とかずっと暗闇にいる事の健康影響とかはデフォルト機能として処理されているんだとか。


 そりゃぁな。飯食わんでも良いらしいし、トイレも必要無ければチビ共の糞尿処理も必要ない。何だったら食事も草食肉食関係なく分解出来る始末。

 マヂデ神だな。神だし。神だったわ。


 我らがコア様を通して神に五体投地したが、ネタ的な気質を察知されたか祈っているとは思われず、早く家具設置を行なってくださいと言われてしまった。


 ベットは例の高級品。木工用に木製の作業台を設置。後は食事用のテーブルと椅子を置いて、コアも部屋に移動させ、最後に嵌め込みの扉を付けて、完了だ。



 新しく設置した罠は、大量にある岩を使った吊り天井トラップ。

 広間に入ってきた大型魔獣へドカンと落とし、動きが止まればコアによる追い落石を食らわせられる。


 これにより三重水路を埋め直し、ジェリーやシャドー達、ハムネズミ用の横穴を増やした。



 結局エリアボスは来なかったけどな。


 お陰様で瞑想が捗り、多分500体のピグマリオン達の進化が早まった筈だ。



 そんな訳で、今日の報告を聞いていこう。


 手慰みにシャドーハイカーの宿った手でナイフをくるくる回しつつ、話を聞く。



『本日の報告は4つです』

「悪い報告からで」

『では先ずは、袋小路の森の主についてですが……その行方は不明です』

「だろうな」

『その勢力もまた不明ですが、主な縄張りは森の北西。南西が荒野である事、迷宮への大型の獣の襲撃に異変がない事から、サジェカント戦後に帰還した物と考えられます』



 まぁ、とりあえずは一安心と言ったところか。



 念の為確認したい所だが、エリアボスが暴れてんなら相当な変化がある筈だ。襲撃に異変が無いなら問題はないだろう。



『次の報告ですが、昨夜から現在に掛けて行われた元大鳴蟻塚の掃討により、崩落から免れたおよそ20万の卵と10万の蛹を駆除。DPを18,000獲得しました』

「やったな」



 ノーリスクで18,000も得られたか。

 ……実際は戦利品だったからノーリスクって訳じゃないが、最難関の大ボスと戦ってないからラッキーだったな。



『また、付近に放置されていた死骸の回収が完了。多くはダメになっていましたが、小型個体の素材を12,000。大型個体の素材を3,000。統率個体の牙のみを5つに、最上位個体の牙を1つ回収しました』

「魔石は喰われたか」

『胴体が残っていなかった為、おそらくは……』



 となると、エリアボスがその分強くなったって事だろう。


 迷宮産の魔物はそこら辺力を取り込みやすい様にメイキングされてるらしいが、他所の魔物はそうじゃない筈で、パッと強くなる事はないだろうが……それでも少しは強くなってると考えるべきだ。


 軽く首を振り、怯みそうな心を叱咤して、意図して軽い調子で話す。



「こりゃぁ厄介だぜ……こっちも強くならんとな」

『はい。それに関連して3つ目の報告です』

「待ってた」



 餌と増殖の件だろ?



『サジェカントの卵と蛹、それから内臓類、その他の肉をジェリー達に与えた結果、ジェリーが4倍増えて14,000に増加。その内1,400が自然進化し、プチスライムが280、ゲルが420、グミが700増えました。また、各種上位個体も増加し、プチスライムが合計で361体。ゲルが780体。グミが850体になりました』

「ふむふむ」



 つまりジェリーが12,600匹で12P。他が1991匹で19P。合計31P。

 30万+αを食らって1万程度増えたと考えると少ない様にも感じるが……29万分のエネルギーは18,000Pに変わったから実質28,000匹分。


 実際の所卵はH級にも満たないエネルギーしか保有していないらしいし、評価としては不満は無い。嬉しい。



『続けて、ピッドが5,356匹増加、現在は9,030匹です』

「また大幅に増えたな」

『ピルンドの出産による物ですね。プチスライム等の様に上位個体が増えないのは、下位個体を生成する方が素早く数を増やせるからです』

「成る程」



 確かに数は力だからな。ポイント的には上位個体が増えて欲しいが、餌代が掛からず時間経過で進化してくれる事を考えると、下位個体が増える方が後々に得だ。



『続けて、プチモースーが新たに増えたバド・ユレイドに卵を産みつけました』

「キモイ」

『100体が5個ずつ産み、合計500体分。産まなかった200体は豆の世話をしています』

「ヨクガンバッタ」



 つい本音が漏れてしまったのでそれを隠す。ごめんな、俺、虫、苦手なんだ。



「とりあえずバド・アードの実でもあげるか?」

『10体につき1つ程度で良いかと。30個配布しますか?』

「それであげちゃって」



 皆大切なお仕事ダカラネ。



『完了しました。続けて、シャドーウォーカー1,000体がシャドーハイカーに進化しました』

「素直にめでてぇ」

『また、シャドーハイカー1,000体が蟻の影からエネルギーを獲得し、魔石を与える事で増殖可能な状態になっています』

「OK、どのくらい?」

『卵から採取した屑魔石で10個ずつ程度有れば良いかと』

「実行」

『完了しました』



 良し、これで便利なシャドーウォーカーが増えた。頭数的にはハイカー2,001。ウォーカー3,000。合計で23Pだ。



『最後ですが……』

「マジでワクワク」

『なんと……』

「……」

『ペルタが719,140匹増えて952,280匹になりました』

「おぉーぉぼぼばば……ば、ばかな……」



 きゅーじゅーごまん? 増えすぎちゃうか?



『E級相当である大熊や熊の肉を惜しみなく与え、生命エネルギーを補給する初級ポーションを数本注ぎ込んだ結果でしょう。本来であれば消化や産卵に体力を使いますが、生命力に転換しやすいポーションをあげたのが良かったですね』

「うむ……ポーションを継ぎ足そう。ポーション教に入信して人生を変えよう」

『邪教に入信するのは不許可です。我等が神以外を神と崇めるのは禁忌です。それはそうと、ペルタ3,000匹が大熊の肉を捕食した影響で進化しました。内訳はペペルタ2,542。グァーム458です』



 となると、ペルタ系だけで……1,000Pくらい? やったなおい!? 毎日寿司食ってもお釣りが来るぞ!


 やっぱり増殖極振りのペルタは違うな。桁が2つも違うなんて相当だぞ。

 地底湖の拡張工事も考えないとな。



『最後の報告ですが……』

「……何か懸念が?」



 テンション的に進化とか魔物関連では無い。珍しくはっきりとしない歯切れの悪さだ。



『先ず、森の北東にゴブリンの巣窟がある事が分かりました』

「ふむ」

『その詳細は不明ですが、おそらく捕獲した個体の元の群れであると考えられます』

「妥当だな」



 北部から流れてきてる様だったし。



『件の捕獲した個体ですが、最初の13体に新しく生まれた7体、そして新たに捕まえた12体。これらは、現在繁殖行動を行なっていません』

「ふむ?」

『また幼体に対して教育らしき行動を行なっている他、後から捕獲された12体が交代で歩哨の様に動く姿が見られる等、知能の高さが伺えます』

「ふむふむ」

『これは野生下では、キング等の上位統率個体が発生した際に稀に見られる行動であり、統率個体のいない群れではあり得ません。この事から、極めて高い知能が伺えます』

「成る程」



 つまり、上位個体が居る。もしくは居た可能性がある……いやでもそれだとその旨の情報が既に入っているだろうから……。



「……まさか、ゴブリンじゃない……?」

『……もしくはゴブリンから知能的に進化した特異種。またはゴブリン以外の高知能種族が関わっている可能性も考えられます』

「……確かに、ゴブリンを支配する者がゴブリンであるとは限らないか」

『ええ。ですので……ゴブリンの巣窟を支配下に置き調査する際は、覚悟をしていた方が良いかと』



 ……成る程。俺の心労を考慮されていると言うことか。



「OKOK。それじゃあガバッと行こう。幾ら?」

『距離がある他、その他懸念事項も含め……4,000程度あれば足りるかと』

「へぇ。取り敢えず実行だな」

『はい……完了しました。支配領域を拡大した事で、地脈から吸収出来るDPが176から218まで上昇しました。420Pで拡張可能です』

「実行」

『完了しました。新たな支配領域の調査を開始します』



 よしよし。良い情報来てくれよー?



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ