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第22話 雌伏の朝

第三位階中位

 



 翌朝。


 その後白い狼が現れる事はなく、その他の獣に気付かれる事もなく、無事全ての死骸を回収出来た。



『それでは本日の報告です』



 朝飯を食いつつ頷く。



『先ず、プチモルムが羽化しました。プチモースー。G級の魔物です』

「ヤッタゼもぐもぐ」

『毒の鱗粉を落とす事が出来る他、プチモームの卵を産む事が可能です』



 生産系か、良いな。


 いや、そう言えば……。



「……進化に多様性があるって聞いてたけど?」

『他の生物に進化する程の因子を取得出来なかったからでしょう』

「ふむ、変な要素がないとスタンダードな進化になるって事か」



 まぁ取り敢えず、G級300体増加。やったぜ!



『次ですが……ジェリーが増殖しました。大量の餌を得た事で1,200匹も増えましたね』

「1,000も増えたのか……すげぇな」



 となると今は1,500か?



『また、最初の100匹が自己進化しました。内訳はプチスライムが20。グミが50。ゲルが30です』

「おお、ほぼ順当だな」



 またG級100増加。やったぜぇ。



『続いて、ペルタですが……』

「待ってた」



 どんだけ増えたんだ?



『5倍増えました』

「ふむふむ……」



 えーと、39,000。いや21,000だったか? それが5倍……40,000、60,000……いっぱい。



「ふーん……ごば、ごばっ」

『落ち着いてください』



 うむうむ…………5倍っ!?



「って事は105,000匹増加!?」

『正確な総数は14万と4千匹になります』

「あっは……!」



 っべぇ、やっベぇ!? H級は千で一だからこれだけで144Pだ。んまいっ。猪肉うまいっ!



「もぐもぐもぐ」

『また、十分なエネルギーを確保した事で、最初の3,000匹が進化しました。内訳は、2,828匹がぺぺルタ。172匹がグァームです』

「もぐもぐっ」



 って事はだ、G級が3,000増えたから、獲得ポイントは30。うーん……H級なら一桁だし、うまいね。



『次に、ピッドですが、1,000体が進化しました』

「良いね!」

『内訳は、820体がピルンド180体がノルメリオです』

「おおー……ノルメリオ100体くらいじゃなかった?」

『獣系の上位個体を捕食した影響が強く出ましたね』



 なーるほど。そう言う要素もあるんだな。


 となると、プチモルムを他のに進化させるには、他の虫の要素を与えれば良いって事だな。納得。



『また、ゴブリンが10体増加しました』

「おお……! ……おお?」



 ……あぁ、増えたんだ。良かったね。



『全ての土の再生は100Pで可能です』

「実行」

『ゴブリンの幼体用と備蓄用に、初級ポーションを買い足しましょう』

「30本。10Pで」

『承りました』



 うーん。全体的に良い報告。素晴らしい朝だ。


 さぁ、今日も張り切ってスキルを磨くとしようか。





 短剣を投げたり回したりしつつ、進化した連中とその解説を聞く。



『プチモースーは飛行能力を持ちます。鱗粉は目視による判別が困難であり、地上型の生命体に大きなアドバンテージがあります』

「ステルスの効いた爆撃機みたいなもんか」



 まぁ確かに、俺も投擲ぐらいしか倒す方法が思いつかない。

 でもまぁ、鳥とか他の肉食昆虫には弱いだろうな。


 イモムシ畑をひらひらと飛ぶ白い虫達。行きたくねぇ。イモムシよりはマシだが。



『普段は豆畑の手伝いをさせましょう。バド・ユレイドに任せるだけよりも効率が上がります』

「じゃあそれで」



 受粉とかだろ? あれ、バド・ユレイド達が手ずからやってたんだな……。


 次にやって来たのは、グミとゲル。



『グミ。見ての通り、硬い粘体生物です。勢い良く跳ねて外敵へ体当たりします』

「……うん」

『また、軟体化も可能で、割れても核が無事なら再融合出来ます』



 楕円形の塊がぴょんぴょん跳ねているその様は、まるで蛆虫の様だ。やめちくり。



『ゲル。此方は核の無い粘体生物です。十分な餌を得る事で肥大化と分裂を繰り返し、数を大きく増加させます』

「増殖系か」

『水中での活動が可能で、複数のゲルが寄り集まる事で何らかの形を得て、大型生物をも取り殺す事が可能です』

「ふむ……? ……判断が難しいが、強いのか?」

『魔力による衝撃に弱いですが、物理的攻撃ではほぼ負けなしかと思われます。数を増やしておく事をおすすめします』



 んー……興味はあるね。



「よし……クマが1匹余ってたな。それをやろう」

『ではゲルを増やす部屋を作りましょう。地底湖に続く道に横穴を開けます。200P程あれば良いかと』

「OK実行」

『完了しました。ゲルにはそちらへ移動して貰います』



 良きかな良きかな。順調な数と戦力の増加。良いねっ。



『続いてペペルタですが……体が2倍程の大きさになり、一度に産める卵の数が増加しています』

「増殖系の強化か」

『グァームが増えた事により、指揮を14万体全てに行き渡らせる事が可能です。差し当たって更なる数の増加の為に、ポーションと餌を投入するのが良いかと』

「実行で」



 ペルタ養殖場も順調だな。



『次にピルンドですが、此方もペペルタ同様繁殖能力が強化されています』

「餌とポーションだろ? 実行で」

『承りました』



 よしよし……なんか良い事ばっかで、悪い事起きそうだな。

 いや、でも順当な結果だし、そんな事無いよな。うん。


 ……こう、慢性的に不安だなぁ。仕方ないだろうが。





 ナイフをぶんぶん振り回し、曲芸じみた事をやりつつ体も鍛えていると、ふっとコアが明滅した。



「なんじゃらほい?」

『……ゴブリンの巣穴の入り口に……別のゴブリンが12体やって来ました。いずれも負傷個体です』

「はー……なんでまた……いや、取り敢えず捕まえられるか?」

『可能です』



 コアは暫くピッコンピッコンと明滅した。


 石を退けたり置いたりしてるんだろう。


 そこら辺どうなってんのか俺は分かってないが……多分ゴブリンの巣穴も此処みたいに通路が長くて、入り口から奥の方を塞いでるとかなんだろうな。

 じゃないと迷宮外になって数を数えられんし。



『完了しました』

「おう、どうだ……?」

『争い合う様子は見られません。おそらく同一の群れの者だったのかと』

「ふんむ……」



 同じ群れの者が同じ様に傷付いてこっちに来てるのか……。



「何かいる、か」

『そうですね。北側で何かが起きているのかと。差し当たってゴブリンに豆を補給します』

「ああ、頼む」



 ……不穏だなぁ。白い狼に大鳴蟻塚。2つもタスク抱えてるから、別の問題抱えたくないんだが……。



「……要警戒って事で」

『北部の地脈から情報が取得出来ないか試みます』

「助かる」



 平穏無事って事はないんだろうなー。



 

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― 新着の感想 ―
[一言] 楽しんで読ませてもらってます。これからもよろしくお願いします。
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