よくあるシーンでいきなりクライマックス
わたし、華僑令嬢マイケル24才。
恋愛スポットを、お遍路していたら
次元大師に強制スカウトされて、
異世界トリップしてしまった!
元の世界に戻る為、大師が設定した
調整条件をこなして、転移門を
目指すしかないの?!
お城って入れないよ!なら、
成り上がって、城の地下牢にある
転移門に絶対辿り着くしかない!!
本当は恋愛体験したいのに、
ジョブチェンしまくって進め?
華僑の令嬢 マイケル・楊 24才は、
調整世界で、
マイーケ・ルゥ・ホァングァンに
なって、
カフカス王領国 の
テュルク・ラア・カフカス王将軍
26才に恋して、投獄、斬首される。
すでに異世界で 成り上がったわたしが斬首されるところからこの話は始まるわけで。
「マイーケ・ルゥ・ヤァングア嬢
お前は一体何を企んでいる!!
大公令嬢への不敬罪で、地下牢に
繋がれているはずの お前が、
地下牢の最奥で 古代魔法陣を
発動させるとは
何をするつもりだ!!
我自ら、再び拘束する!」
そう言いながら、
テュルク王将軍は銀月色の髪を
颯爽と なびかせて、
マイケルの白い首筋に 研ぎ
澄ました白い刃を当てる。
テュルク・ラゥ・カフカス。
あー、本当に好きになりかけて
いたんだけどなあ、、
マイケルは
当てられた白い刃の冷たい
感触と、
目の前に相対する
冬の月が如くに冴えた瞳の
冷たさを、どこか他人事に思うと
視線を地下牢の床に落として、
自分の首に、
押し付けられた その白い刃を
両の手で そっと持つ。
もう、丁度いいや。
投げやりにマイケルは思う。
片やテュルク。
当てられた刃を押しやって尚
この女は、己が腕枷から
逃げるつもりなのか?
そうは させるか!と、
刃を持つ利き腕に力を
入れる。同時に、
「ごめんな、さ、い。」
テュルクの腕枷の中から
マイケルの吐息が
テュルクの耳を撫で、
マイケルの瞳に一瞬の光が
宿った。
とたん、
テュルクがハッキリと感じていた
己が手の反発が
フッと、急に解けて
テュルクの白い刃の切っ先から
真っ赤な鮮血の飛沫が飛んだ。
テュルクが見れば、
マイケルのうっとりとした様な
表情が
声に成らない言葉を
語っている。
マイケルは、理解しつつあった。
ああ、好きかもしれない人の
刃に薙ぎ斬られた この稀有な
感じ。
そして、
自分は『何』をやってきたのか、、
深淵に落ちる刹那、
もしかしたら、このままこの
銀月の髪を持つ王将軍に
斬首の介添えまで、
されるのだろうか
なんだか、それは悲しーな。
とかetc.につらつら走馬灯
しちゃったり。
マイケルは目を見開いて何かを
叫ぶテュルクの様子を
やはり他人事のように 眺めて、
テュルクに片手をフルフルと
差し出し、
そのまま暗い処へ意識を
落とした。
マイーケ・ルゥ・ヤァング嬢。
推定22才、カフカス王領国
ウーリューウ藩島城にて
王将軍自らの討伐により消滅。
ウーリューウ藩島に於ける、
改革を推進した功績から
宰相補佐女官の役につき、
テュルク王将軍の寵愛を受けた
元平民は、不敬罪の末 獄中にて
討伐されたと、カフカス王領国史実に残された。
って!
これ、あんまりじゃない?!
全然、報われなーい!!馬鹿馬鹿
馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬
鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿
マイケルは、魂の深淵に
落ちながら、思いっきり
罵倒した。誰にか、わかんない!
けどねー!!
Down down, Down downって、
どこまで意識落ちるのーーーー!