~神に拾われた彼女はハッピーエンドがみたい~
これは彼女がふりまく奇跡の物語。
奇跡の大きさは人により千差万別。にも拘らず人々は決して小さいとは言わないが彼女にとっては小さな奇跡。故に彼女は無邪気にそんな奇跡を今日も振り撒く。
彼女は産まれたときから愛を知らなかった。得られなかった。この世界ではよくあることだった。
娼婦の母から産まれ、何一つ知らないままに彼女は路地裏に捨てられた。そんな彼女が拾われたのは本当に偶然。通りすがりのある男に拾われた。
ここから後に幸福の女神と讃えられるフレア・ベァーティトゥードの物語は始まったのであった。
「いやーまさか、こんなところで赤子を拾うとはなぁー。やになっちゃうね、この世界の現状は。」
「アルス様、このような赤子を拾ってどうなさるので?」
「いや、だってよぉキリーちゃんだって悲しそうな顔してたじゃん。戦場ではあんな無表情でバッタバッタなぎ倒すのにさー。うるうるしてたじゃん?」
「う、うるうるなどしておません!!アルス様といえどもそのような言いがかりはやめてください!」
「あーわぁったわぁった。しっかしどうすっかな。この世界の神に任してもどうせ弱いからだとかいってこのままだしなー。」
アルスとてわかっていた。たかが一人ここで救ったところでなんの根本的な解決にもならないことを。しかし、たまたま視察に来た世界で最初にであってしまったのだ。何らかの対処はしてやりたかった。そこでひらめいた。
「なぁキリーちゃん。」
「はい?なんですかアルス様?」
「確かキリーちゃんのヴァルキリー隊に空き枠が出来なかった?」
「あーこないだの悪神討伐で確かに補充が必要ですが、いいのですか?この子は英雄でもなんでもないですよ?」
「ま、見習いからってことにしたらいいだろ、ヴァルキリー隊の連中なら喜んで世話してくれんだろ。」
「はぁ、かしこまりました。妹たちに連絡しときますよ。そうだ、この子名前はどうしましょうか。」
「そうだなぁ幸福にそだってほしいなぁ。例え俺らの気まぐれだとしてもよ。よし悪神討伐でいなくなっちまったフレイアの名を貰うか。この子はフレアちゃんだ。」
「フレイアが聞いたら喜びそうですね。フレアですか、わかりました。ではフレアをヴァルキリー隊の見習いとして保護しましょう。」
フレアちゃん、生後一日でヴァルキリー隊見習いかに就任である。