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ダンジョンDAYS 召喚師テイマー奮闘記  作者: ディスク
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既視感ある落ち込みよう

 その後宿に戻るとフロイトが大分回復していたので、鎧を着込み連れだって宿を出る。

 暴走した冒険者に襲いかかられたことは隠さずに伝えることにした。このまま黙っていて後から拗れて伝われば今伝える以上に面倒くさい事になること請け合いだからだ。


「アルジドノ、モウシワケアリマセン……」


「あまり気にするなよ、フロイト。二日酔いは今回が初めてだろう? 次からは自分の限界を見極めて呑めばいいさ」


「デスガ……」


「それに、俺だって冒険者なんだから自分の身くらいは守れるぞ。どこぞの姫様でもないんだからそこまで護衛に徹しなくても大丈夫だ」


「ハイ……」



 フロイトは肩が落ちるんじゃないかというほど意気消沈していた。

 この落ち込みようは既視感がある。前世の後輩くんが大ポカをやらかしたときの姿にそっくりだ。


 前世の俺の職場は、ほぼほぼ工業高卒のおじさんで構成されていて、1人大卒として配属された後輩くんは、将来の管理職候補ということもありナチュラルに周りを見下し天狗になっていた。

 今やっている仕事も次へのステップアップへの経験(笑)にすぎないという態度だったが、ちょっとした操作ミスで大量のスクラップを産み出し、500万ほどの赤字を叩き出した事がある。


 ミスの原因は上司からの指示の反復を怠り、憶測で作業にあたったのが原因だが、研修終わりから数えてまだ半年だったことと、周りも監督不行届きだったとして特にお咎めもなく、会社自体も500万少々の赤字では小揺るぎもしない大身だった。

 だが本人の落ち込みようは心配になるほどで、下手をすればそのまま引き籠ってしまいそうなほど塞ぎこんでいた。


 俺は彼と同い年だったが、高卒で就職した俺の方が先輩という扱いで、話すことも多かった。

 そんな俺に上司は彼を励ましてやってくれと依頼してきた。どうも気分転換に呑みに誘ったが返事が芳しくないので、同年代の俺に白羽の矢がたったようだ。


 彼は今の若者らしく上司や同僚との飲み会がリフレッシュに繋がるとは感じないようなので、オススメのラーメン屋に連れていって腹一杯食わせたものだ。

 人間は腹一杯になってぐっすり寝れば、大抵の嫌なことは忘れられるものだというのが俺の持論で、実際俺に愚痴ったのが良かったのか、奢りのラーメンが旨かったのかは分からんが、翌週からは元気に働いていたので間違ってはいないだろう。


 俺の死後、彼は元気にしているだろうかと望郷の念にかられたが、ともあれ今はフロイトの事である。


「そんなに落ち込むなって。この通り怪我も無いんだからさ。次の機会によろしく頼むよ」


「ハイ……」


「じゃあ、昼飯にしよう! つってもソフィアさん達と合流してからだけどな」


「ワカリマシタ」


 なんとか落ち込んだフロイトを励ましながら街を歩く。

 昼前の喧騒は職人連中の昼飯を買いに出たとおぼしき使い走りの小僧が山ほどのパンを抱えながら走っていったり、街の外からきたらしい荷物満載のロバっぽい生き物(ただし後ろ脚に蹴爪がある)の手綱を引く農夫風の男だったりが行き交っている。


 そんな賑やかな通りなので、ゴブリンと狼2頭を連れだって歩いていてもそこまで忌避されるような感じはしない。

 初日に感じたあの疎外感は、自分の不安の裏返しだったのかもしれないと思いながら歩いていくと、ギルドの前で佇む幾人かの中に、見覚えのある2人組を見つけた。


「すいません、お待たせしましたか?」


「いや、俺らも来たのはついさっきだ。予定の昼までは時間があるし、遅刻でもねぇよ」


「そうね、ところで二日酔いは大丈夫かしら? グラムくんはともかく、そっちのフロイトくんはかなり呑んでいたようだったけど」


 ロベルトさんとソフィアさん親子は先に冒険者ギルドに着いていたようで、俺とモンスター一行を出迎える形になった。

 

「ええ、朝は酷そうだったけど、休ませていたら大分回復したみたいです」


「そう、今日はダンジョンとかには行かない予定だけど、翌日に探索がある日はほど程にしてね?」


「ハイ、キヲツケマス……」


 俺がフロイトの痛飲を止めなかったのは、自分の限界量を知って欲しいということと、今日はダンジョンに行かずに今後の予定を話し合うつもりだったからだ。


「良いじゃねえか、探索大酒二日酔いは冒険者の嗜みみてぇなもんだぞ」


「そのせいで何度大きな仕事を逃したんだっけ?」


「いやいや、そらバルトの野郎が悪いわ。あいつが寝込まなければ俺は行けたんだよ!」


「いくら上級冒険者といえども、二日酔いの体調不良で仕事なんか受けられるわけないでしょ? バルトおじさんは論外だけど、お父さんも大概よ」


「まぁまぁ、積もる話は飯でも食べながら聞かせてくださいよ。俺、ギルドの食事に興味があったんですよ」


 何故か言い争いを始めてしまった二人の背中を押して、これからの事を話し合うべく俺達は、食堂のあるギルドの中に入っていった。

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