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ダンジョンDAYS 召喚師テイマー奮闘記  作者: ディスク
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砥石納品 3

「グロウさんで良かったかしら。改めて初めまして、中級冒険者のソフィアよ」


「おう、名前は知ってるみてぇだが、一応名乗るか。グロウ武具店の店主、グロウだ。そんで、さっきから黙りだったが急にどうした?」


 ソフィアさんはこの店に入ったときから後ろに控えていて、こちらの遣り取りを見守っていてくれているようだった。

 フロイトが好きな武具に囲まれて気も漫ろになっている中でも、後ろから感じていたソフィアさんの視線は逸らされることはなかった。


「いえ、ちょっとしたことよ。その砥石の原石の内、どれを受け取るつもりなのか気になってね」


「どういうことだ? ここに出したのが依頼品だろう?」


 会話の雰囲気から何か自分がミスをして、それをソフィアさんがフォローしてくれているのは感じていたが、今の遣り取りで自分のミスに気付いた。


「もしかして、値段交渉とかしても良かったのか?」


 俺のか細い呟きは、グロウさんとソフィアさんに届いたようで、それぞれが方向性は違うが優しげな視線に戻り会話を続ける。


「やっと気付いたか。お前さん、そこの姉ちゃんがいなけりゃ大損こいてたぞ。あのまま割符を受け取ったら勉強代として砥石は貰っちまうつもりだったんだがな」


「悪ぶるのは良くないわ。あんなに分かりやすく念を押すんですもの、あの後注意するつもりだったんでしょう?」


「どうだかなぁ」


「あの、でも俺が受けたのは個数の書いていない砥石の納品で、金額ももう決まっている依頼だったんですが」


 冒険者ギルトで受けた依頼は金額が決まっていたし、砥石の個数は書いていなかったというのが記憶にあり、この場合は依頼主が良いという分量を納品するのが基本だと考えていた。

 商売としてはどうかと思うが、採れる量が分からない貴重な品を少しでも集めたい時などに使われる形式だ。


 今回は採れる量というより、運べる重さを鑑みてこの形式の依頼としたんだろう。


「ああ、お前さんは商会の生まれだからな。その感性から言えば契約後の値段交渉は論外か」

「はい、納品量の書いていない依頼を受けた以上、こちらの能力に見合っただけの量を納めるのが、誠実な取引だと考えていました」

「これが、背負って森の中を運べる重さの石が2、3個だったなら、多少の誤差で受け取ってたけどよ。こりゃ多すぎだな」


 そう言ってごろごろと転がる岩を一瞥する。端に寄せたとはいえ、その量は一般的な馬車に乗せれば車輪のシャフトがへし折れそうな重量感を醸し出していた。


 それを、道の無い森の中から運び出して来る労力を考えれば、とてもではないが背負って持って帰れる量の砥石と同じ値段というわけにはいかないというのが、グロウさんの主張だ。


「とりあえず、依頼はその中でも1番でかい奴で達成として、それ以外の奴らの値段交渉がしたい」


 そう言って割符をこちらに渡してくるグロウさんの手元を見て、一瞬ソフィアさんの反応を伺いたくなったが、これはあくまでも俺が受けた依頼なので、自分で判断して受け取ることにする。


「分かりました。では依頼は完了と言うことで」

「おう。そんで、他の砥石の値段なんだがな‥‥」


 その後の交渉はそれほど長くは続かなかったが、1つにつき依頼品の6割程度で買い取って貰うことになった。


 もともとそれほど量が必要になるようなものでもなく、需要としても鍛冶屋と少量の家庭用に限定される物のためグロウさんとしてもそこまで多くを抱えることが出来ず、他の武具店に分けるとしてもこの値段が限界だったようだ。


 グロウさんに挨拶をして店を出る。


 ソフィアさんはこちらにヒントを与えた後は、また傍観に徹していたので暇をさせてしまったかも知れない。お詫びではないが改めて夕食に誘おう。話したいこともあるし。

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