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ダンジョンDAYS 召喚師テイマー奮闘記  作者: ディスク
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命の値段

 兄の馬車が遠ざかっていく。

 その後ろ姿を見えなくなるまで眺めていた。


 いつも走り込みに付き合ってくれていた兄は、ずっとあんな不安を抱えていたのだろうか。


 それを表に出さず、内に秘めたまま今日という日を迎え、思わず感情が爆発してしまったかのようだった。

 もう会えないかもしれない、ここで引き止めないと死なせてしまうかもしれないという恐怖が伝わってきた。


 待っているという言葉には、絶対に生きて帰ってこいという、願いにも似た意志が籠められていた。


 踵を返して街の中を進む。


 こうなったら、もう死ねない。

 なんとしても五体満足で帰らなければならない。


 そのためにもまずは、冒険者ギルドだ。あそこで依頼が出ているか確認するのだ。

 安全を優先できない冒険者は最初に死ぬが、金の無い冒険者が次に死ぬ。


 この世には、金で買えない物も多い。

 それは愛や友情の話ではなく、権利やら安全やらの話だ。


 しかし確かに、それら全てに値段を付けることは出来る。人が持ちうる財産を全て擲っても足りないだけで。


 真実の愛を誓う恋人達の心を奪うのには、一体どれ程の黄金が必要か。


 血と杯に誓った友情の破綻には、幾らの貨幣がかかるのか。


 人が人であることの値段は?


 お前は自分の命に幾ら払える?


 きっと、何処かに値段はあるのだろう。

 それを払うことが出来ないだけで。

 しかし、だからこそ命までは奪われぬよう、金貨の鎧を着込むのだ。

 死神の刃が、命に届かぬように。

 冥府の船頭への賄賂として。

 

 だからこそ銅貨1枚でも多く金を稼いで、装備を更新し、薬を買い揃え、まともな宿で英気を養う必要がある。

 こつこつ稼いでいこう。


 感情が昂っていたせいか、気がつくと冒険者ギルドの前に着いていた。フロイトが少し息を荒げて立っている。

 いつの間にか走り出していたようだ。


 ギルドの中は早朝ということもあって、閑散としているかと思いきや、思ったよりも人がいる。

 その多くは壁際の掲示板に群がっている。


 理由はすぐに分かった。

 色の黒い木の板、おそらく黒板のようなものであろうそれに、今出されている依頼が書き出されていた。


 状態の良いホーンボアの皮、血抜きがされていない牙兎肉、欠けのない5等級の魔石を20個などの、偶発的には入手しづらい魔物素材を、相場より高く買う旨を乗せて掲示している。


 人垣を縫って掲示板の前に躍り出る。

 身長が足らず、ガタイのいい冒険者たちの後ろからは覗けなかったのだ。


 今回行きたい森は多くの魔物がいるわけでも、高価なものが有るわけでもないので、あまり冒険者が足を踏み入れない不人気な場所だ。


 それ故に、初心者の俺でも出来るような簡単な依頼が書かれていないか、端から見ていく。


 親切なことに、大きな黒板は依頼された物があるエリアごとに分けて書かれていて、更に右端から簡単な順に記載されているようだ。


 やはり薬草系の採取依頼が多い。実家で扱っていたものなら知識として形状は分かるが、特別な採取手段が必要なものは冒険者の口伝てで聞いただけなので、不安が残る。

 そもそも今の時期に生えているのだろうか。

 土地勘か経験がないと難しいかもしれない。

 今回はあくまでテイムが目的なので、やめておこう。



 かといって討伐系、具体的に言うと熊狩りだが、これは3人では難易度が高く感じる。

 動物達も冬明けで餓えているかも知れず、遭遇戦は覚悟の上だが、自分から探しに行って仕留めて回るのはリスクの方が大きく感じる。


 結局、森の小川で砥石になる石を拾ってきて欲しいという依頼があったのでこれを受けてみることにした。

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