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ダンジョンDAYS 召喚師テイマー奮闘記  作者: ディスク
初探索
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餞別と本登録

 「まぁ、気を付けることだな。お前さんは真面目そうだし、仕事も丁寧だ。つまらんことで辞められてもこっちの損だしな」


 少し照れたように嘯くボールドさんに、内心感謝していると、数枚の木札を渡された。


「そいつをギルドの受付に渡せば報酬を受け取れるぞ。初仕事にしちゃ出来すぎなくらいだ。胸張っていけよ」


「はい、これからもよろしくお願いします」


 これから長い付き合いになるだろう。丁寧に頭を下げて解体場を出ようとすると、後ろから声がかかった。


「これは俺からの餞別だ」


 見ると根本から折られたホーンボアの牙が2本差し出されていた。


「ええっと、これは?」


「ゴブリンは倒した魔物の牙で首飾りを作るんだろ?後ろのそいつじゃ言い出しにくいと思ってな」


「そうなの?」


 今まで護衛に徹していたフロイトに向き直る。相変わらず俺が仕事の話をしていると、気配を消して邪魔しないようにしているらしい。

 フロイトはやや躊躇いがちにうなずいた。


「言ってくれてもよかったのに」


「おいおい、お前そりゃ無ぇだろ。そこまで従者然としている奴に、主人が売ろうとしている物が欲しいですなんて言えねぇさ」


「そっか、ごめんなフロイト。今度からはこっちも気にかけるから、何かあったら言ってくれ」


 最初は遠慮していたフロイトだったが、小さく「ハイ」と答えてくれた。


「もう1本はお前にだ。初めて倒した魔物のチャームは幸運のお守りになる。ま、要らねぇならダンジョンにでも捨てちまえ」


 そう言うと踵を返してホーンボアの方に行ってしまった。

 それにしても、振り返って3歩しか歩いてないのに牙を2本も折ってこちらに追い付くなんて、どんな早業なんだろう。ちょっと見てみたいかも。


 解体場を出てすぐ隣の冒険者ギルドに入る。

 中は閑散としていて、朝の喧騒は嘘のようだ。数名が早めの晩御飯を取っているだけでテーブルは空いている。


 今朝受付をしてくれた痩躯の職員が、暇そうに頬杖をついて外を眺めていたので声をかける。


「あの、すいません」


「はい、グラム様。いかがなされましたか」


 一瞬前までの気の抜けたような表情は消し飛び、朝に見た事務的で冷たい表情が張り付いた。声は上擦ってたけど。もしかして俺が来たのに気づかなかったのかな。確かに視界の外だったけど。


「仮登録のクエストが終わったんですが、報告はこちらでいいんでしょうか」


 そう言いながら朝に貰った冒険者証代わりの木片と、さっき解体場で受け取った木札を見せる。


「はい、こちらで承ります」


 差し出された手に木片と木札を渡す。カウンターの裏で何をやっているかは見えないが木が打ち合う小気味いい音が聞こえる。実家にあった算盤みたいな物があるんだろうか。


「確認ができました。この成果を持ちまして、グラム様の冒険者登録が可能となりました。ようこそ、冒険者ギルドへ」


 抑揚の無い声でこちらのクエストクリアを祝ってくる職員。正直今さら取り繕われたって、さっきのぼけっとした表情が素なんだろうとは思ってしまうが。親しみやすくていいけど。


「ありがとうございます」


「つきましては、本登録につき色々と質問をさせていただいてもよろしいですか」


「大丈夫です」


 そこからは自身の出身や使えるスキル、得物にパーティ構成などの必要そうな情報を答えていく。偽証しても分からないが、もし最初の質疑に嘘があれば冒険者ギルドからは追放となると説明された。

 聞き出した情報は指名依頼の選定や、パーティメンバーの斡旋に役立てられるらしい。


 そしてついに冒険者証を手にいれ、晴れて俺もただの家事手伝いから冒険者になった。

 その鉄製のドックタグのような金属板には、自分の名前とギルド側の管理番号が彫られている。

 ホーンボアの売却金は、主に金貨と大銀貨で受け取ることにした。ギルド口座も開設できるが、とりあえずは冒険での初稼ぎなので持って帰って眺めたかった。


 なんだか色々と嬉しくなって、ニヤついたまま冒険者ギルドを後にした。

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