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ダンジョンDAYS 召喚師テイマー奮闘記  作者: ディスク
初探索
38/105

ファーストキルは鉄の味

 それは、猛然と洞窟の奥から駆けてきた。洞窟の底面を蹴り飛ばし、一心不乱に外敵へと殺意を乗せた体躯を運ぶ。

 洞窟内を大きなホーンボアが突進してくるのは、響く蹄の音で察知して身構えていても胆が冷える。


「シルト、受け止めろ」


 そう声をかけて、魔力を練り始める。発現させたのは風の刃だ。

 牽制目的だが、脚に当てれば転倒を狙えるだろう。

 

「いくぞ、『ウィンドエッジ』!」


 大声で魔法名を叫ぶ。突進の軌道を予測して放った風の刃が、ホーンボアの右前肢に吸い込まれる。

 切り飛ばせはしなかったが、かなりの傷だろう。バランスを崩し、転倒したままこちらに転がってくる。

 それに合わせてシルトが動いた。受け止める体制を解き、右手を振り上げて転がってくるホーンボアに合わせて叩きつける。

 生木をへし折るような湿った破砕音が響く。シルトの振るった腕は肋に食い込み、ホーンボアの胸部を陥没させた。


「フロイト、首だ!」


 致命傷をおい、それでもなお暴れるホーンボアの首筋にフロイトのグレイブが叩き込まれる。拙いながらも切先をたてて振り下ろされた分厚い鈍刃がホーンボアの首に埋まる。

 引き抜かれると同時に鮮血が吹き出し、辺り一面に飛び散る。顔にまでかかったその血の生臭さと鉄の味を感じながら、命が終わるのを眺めていた。


 放心から戻るのにどれ程かかっただろう。

 はっとして辺りを確認すると、シルトとフロイトが辺りを警戒してくれていた。

 今までだって命を奪って生きてきたし、冒険者になる以上は敵を殺す覚悟を決めていたつもりだったけど、かなり動揺してしまった。

 正直気分は良くないが、このまま突っ立ってるわけにもいかない。ホーンボアを簡単に捌く。


 血抜きは首の傷で充分だろう。内臓を下ろすことにする。横倒しになっているホーンボアの腹にナイフを宛がう。内臓を傷つけないように腹を裂き、肛門周りは周囲の肉ごと切り取る。

 ダンジョン内の魔物は基本的に、何も食べていないはずなのでそこまで気にしなくてもいいが、胆のうや胃などを傷付ければ出た胆汁や胃液で肉がダメになってしまうので慎重に行う。


 思った以上にやりにくい。今後のためにと故郷の街で豚を捌く手伝いをさせてもらった時は、机の上か吊るされた状態で2人で捌いていた。地面に横倒しのまま、一人でやるのはやはり無理があるかもしれない。

 かといってシルトに脚を持って吊り下げてもらったり、フロイトに手伝ってもらって解体するのは、見張りが減ることを容認することになり難しい。


 やはり最低でももう1体はサモンモンスターか、テイムモンスターを増やしたいところだ。


 心臓の傍に魔石を見つけた。ホーンボアの魔石は7等級で、ソイルゴーレムであるシルトの魔石の1段階下にあたる。

 これを集めて錬金術師に持ち込めば、召喚用の魔石を作ることが出来るが、ホーンボアは正直今のメンバーとは相性が良くない。


 攻撃は突進と牙での掬い上げがあるが、あまり機動力がないシルトとフロイトとは展開のスピードが違いすぎて、連携が取り辛そうだ。

 遊撃という手もあるが、このダンジョンの中では、今倒したホーンボアのように長い距離を助走して初めて攻撃力が高まる突進も使いづらいだろうし。


 少々荒いが解体を終えて、獲物を聖人の腰袋にしまう。

 初戦闘の所感は、危なげなく勝てたといったところだ。


 初撃の風魔法は牽制で、突進のスピードを多少削げたらといった意図があったが、予想以上に上手く決まってくれた。もし外れてもシルトなら危なげなく受け止められただろうし。

 フロイトもグレイブを上手く扱えているようだし、このままの作戦でとりあえず探索を続けることにして、ダンジョンを奥へと進んでいく。

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