新生活の朝がきた
足先を撫でる肌寒さに目が覚める。寝起きはいい方なのでさっさと服を着替えると、ベットを整える。
かなり寝心地のいいベットだった。
前世のようにスプリング入りで低反発とはいかないが清潔で柔らかい寝床は気分がいい。
フロイトも起こそうとするが俺の生活音でもう目が覚めていたようで、朝の挨拶をして一階に降りる。
「おはようございます、朝も日替わりでいいですか?」
昨日のウェイトレスのお姉さんだ。夜も働いていたが大丈夫なのだろうか?そんな怪訝な表情を読まれたのかお姉さんが笑って言う。
「この店のマスターの娘なのよ私。それにそこまで遅くまでは働いていないので大丈夫よ?明日はお休みだしね」
「顔に出てましたか、すいません。あ、日替わり二人分でお願いします」
「ふふ、心配してくれるのは嬉しいわ。二人分ならすぐにできるからテーブルで待っていてね」
フロイトと二人で空いているテーブルに座る。
昨日の喧騒が嘘のように食事をとる人は疎らで、ゆっくりと食事が出来そうだ。夜は酒場で客が来るが、朝は2階の宿部分に泊まった宿泊者が食事を摂るぐらいなのだろう。
「お待たせしました、今日の日替わりです。ごゆっくりどうぞ」
そう言って朝食のプレートを置いていってくれたのは、さっきのお姉さんではなく昨日バーカウンターの主だったマスターさんだ。
プレートを覗けばご機嫌な朝飯が乗っている。ターンオーバーで焼かれた目玉焼きが3つに長くて分厚いベーコンステーキ、生野菜のサラダにオニオンスープだ。今朝焼かれたのかパンもほんのり温かい。
さっそく攻略にかかる。
この国の食糧事情は非常に豊かだ。
元々が豊かな穀倉地帯になる平野に国を興したのが始まりのこの国は、国土を三分割する大河による水運と、外輪山脈と呼ばれる国土を囲う大山脈に守られた堅牢かつ富める700年続いた王国だった。
大山脈を越えた先に国土を持っても旨味が少ないし、山は魔物のテリトリーでもあるので管理も難しい。
大陸から半島のように突き出た国土は広大で海運ですら自然の良港が複数存在する。実際の国家で言えばアルプスに囲まれたローマ帝国くらい強い。
多分ハンニバルでも外交努力に走ると思う。
恵まれた国力と地政学的位置で外征派の貴族派閥もそれなりに生まれていたようだが、この度に中央の王権派が諌めるということを繰り返していたようだ。
だが、記録によれば300年前に世界が変わった。
神の介入があった。
ダンジョンの出現である。




