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ダンジョンDAYS 召喚師テイマー奮闘記  作者: ディスク
旅立ち
13/105

自家製乗り合い馬車の旅 護衛付き

「で、何でレイモンド兄さんがいるの?」


「どうした、グラム?」


「いや、さっき別れの挨拶したじゃん!」


「いやぁ、隣街に買付があってな」


「えぇ……タイミング良すぎない?」


 家族との別れを済ませ街の西端にある馬車の乗り合い所に向かった。


 ある程度大きな街には必ずある場所で、行商人やキャラバンの休息地になっている。

 ついでに荷台の空いたスペースに移動したい冒険者や旅人を詰め込んで、小銭と護衛を得る場所でもある。


 乗り合い所に着いて俺が見たのは馬車の上から元気に手を降るレイモンド兄さんの姿だった。

 そして先程の会話に繋がる。


「まぁ細かい話は馬車の上でしよう。乗っていくだろ?」


「いやぁ、乗るけどさぁ」


「そうそう、独り立ちするんだから削れる経費は削らないとな」


「ありがとう、兄さん」


「ん?なんの事だ?」


「まぁ、言わないでおくよ」


「そうか」


 グレイ商会は突発的な買い付けなどめったに起きない。

 父の目利きと母の井戸端式情報収集のお陰で、在庫過多も品薄もあまり起きないのだ。


 急に買い付けにいく理由など一つだけだろう。

 餞別だと思ってありがたく便乗しよう。

 

 確かにここは、護衛にもなる乗客を乗せることが、できるが、気を付けなければならないのは、これが正式な冒険者ギルドを通した契約ではないことだ。

 料金の踏み倒しくらいなら可愛いもので、夜寝ている間に護衛の冒険者が盗賊に化けることもある。

 兄さんは慣れたもので、普通そうな男でも何か違和感を感じたのか、同乗を断っていた。


そこにまた別の声がかかる。


「この馬車は何処まで行くんだい?」


 馬車の反対から兄に声がかかる。

 冒険者風の男女が話かけてきた。


「西のソルフの街までいくよ、乗っていくかい?安くするよ」


「有難い話だが幾らだい?」


「一人大銅貨で8かな」


 その言葉を聞いて男の方が怪しみだした。


「破格だがいくらなんでも安すぎる、馬車に銀を出さずに乗るとろくなことがないというぞ?」


「理由ならあるさ、馬車の反対側にね」


 冒険者風の男は、馬車の反対側を覗き込んだ。目があったので思わず会釈をする。


「そっちの駆け出しか?」


「そうそう、まさに駆け出しなのさ、俺のかわいい弟はね」


「なるほどなぁ、話が読めた。護衛と教導か」


「そういうこと、で、乗ってくかい?」


「よし、馬車にもその話にも乗った!」


「はい、毎度あり」


 話が纏まると、男女2人組の冒険者は荷物の確認をしだした。このまま隣街までいくので、万が一忘れ物や、買い忘れがあると、取り返すのは容易でないからだ。

 

 兄と二三話して荷物ごと荷台に乗り込んだので、護衛を確保できたようだ。

 話の流れから移動の間に冒険者のいろはを教えてもらえそうだ。


 冒険者から得た知識はあるが、実地訓練は大事だ。

 特に自分は、まだ魔物の1匹も殺したことのない、完全なルーキーなのだから。


 兄の気遣いにまたやっかいになろう。

 冒険者は、大体30歳ほどに見える男女二人組だ。夫婦かな?

 とりあえず挨拶から始めてみよう。


「こんにちは、今回は宜しくお願いします!

自分はグラムと言います!」


「おう、駆け出しにしちゃあ礼儀ができてんな。この年頃は跳ねっ返りが普通だろうに。特に冒険者になろうってやつはな」

 

 冒険者風の男女は、多少気を緩めたように笑った。

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