3 響き渡る号哭
加筆修正しました。アンドロイドのHMR-002が、1人の少女として確立し始めます。
「うウッ…ハァッ、ハァ…!グっ…」
涙???
ワタシの身体ニ、何ガ起こっテいるノ?氷室博士を助けナいといケないのに、身体が上手ク動カない……理解不能理解不能理解不能理解不能_こんな痛み、シラナイ!苦しさ、ワカラナイ!機械ノ奥かラ熱い何かが込み上げてくル!
「うわあァああアーーーーーッ!!ぎゃァああああッ!!!」
ワタシはもう耐えられずに、声にならない声で叫んだ。流れないはずの涙について考えることすらできず、ただただ胸の痛みに悶えることしかできなかった。
☆☆☆☆☆☆
はぁ、ハァ…ふぅ。
ワタシが堰を切ったように泣き続けて、数時間が経った。胸の痛みも苦しさも、やっとおさまった気がする。胸の痛みは振動に、その振動は、脈打つ鼓動に変わっていた。
「ワタシ」……。
どんな姿なのかを確認するためアイライトで、まだ夜も明けない真っ暗な研究所を照らした。床に反射した少女のような顔が見える。ワタシ…わたし、私…生きてるんだ…!
よく見ると泣き疲れたせいか、目の周りが若干赤味がかっているように見える。少し落ち着いて、私はとんでもない事をしでかしてしまったと気がついた。
あの落雷事故でショートし金属の塊になった私に、たった5分の記憶と引き換えに奇跡が起きた。また動けるようになった代償として、私は__アンドロイド、なのに、「私」という自我を、持ってしまっている…?
だからさっきまであんなに苦しい目にあったんだ。今はとにかく、この状況を整理するために博士を捜さないといけない。
よし、生体反応あり。博士は擦り傷程度の軽傷。さすが我ながら最新技術を備えているのは安心できる。
私は博士をアイライトで照らしながらゆっくりと近づいた。そうだ、声は出る様になったのかな?
「は……か…せ…」
あっ、声が出た…!博士が気がつくまで、もう少し練習しよう。完璧なはずのアンドロイドなのに、練習だなんて言葉を使うのはどうかと思ったけれど…私は嬉しい、と思った。