表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

第七章 魔将軍バロネット

久々の戦闘&スキルです。戦闘は書いてても読んでても面白いですね!

 青白い肌に腰に届きそうな白髪をゆらせ、魔人は不敵な笑みを浮かべている。

 

「人間風情が盗み聞ぎとはいい度胸だ」


「クッソ…!最悪だ…!」


背中に背負った大剣を構え、臨戦態勢を取る。


ニーファもあわてたように杖を両手で構えた。


〈解析〉を試みるも(不明)。トロール討伐から一変しての未知の敵との遭遇には正直動揺を隠せなかった。


この世界での死はどうなるのだろう。魔法で復活できるのか、スタート地点からやり直せるのか、それとも、もしかしたら現実世界に戻れるかもしれないのか。


そして…この世界での死は現実世界での死につながるのか。


わからない以上試すことはできない。


魔人と対峙してから今ここで死んでしまっても大丈夫なのか、保険を探してそんなことばかりが頭を巡っていた。


「人間が二匹と…フェアリー…?フェアリーは戦力にはならんか、いらんな」


通常の魔物とは違って言葉を話すほどの知性がある…会話が可能な相手なのか…?


「…君は何者なんだ?あそこで何を…」


「今際の言葉はそれでいいのか?」


そう言い放った魔人は一瞬にして姿を眩ます。


「なっ……上か!!」


魔人の鋭い手刀を咄嗟に大剣で受ける!ビキビキと体に悲鳴が走る。


「クッ…ソ!」


重い…!まともに当たっていたら死んでいたかもしれない。


一旦距離を取り、また手刀で切り刻もうと魔人は突っ込む構えを見せる。


「ヴラド様!」


「ティティア!危ないから離れろ!」


ティティアを遠ざけつつ魔人の攻撃を受ける、受ける!


〈剣術Lv2〉のおかげで何とか耐えしのいでいる状況だ…!


ニーファの動向まで気にする余裕はないが何か魔法での援護が欲しい…!


「…光魔法!電気衝撃エレクトリックショック


突如空中に現れた魔方陣から電気の帯びた光が一直線に魔人に飛んで行く。


「ガッ…!」


ナイスタイミング!ニーファの放った魔法で一瞬だけ動きが止まった!今だ!


「くらえええええ!!」


魔人の脇腹に大剣を思い切りめり込ませ、足を踏ん張り、そのまま数メートル先へ吹っ飛ばす。


「グハッ…!!」


渾身の一撃を食らった魔人はそのまま強く木にたたきつけられドサッと地面に落ちた。


「ハァ…ハァ!」


「ヴラドさん…!大丈夫ですか…!?」


「待って…!気を抜いちゃいけない!あいつはまだ生きてる」


駆け寄ろうとするニーファとティティアを片手で制止させ、剣は構えたまま呼吸を整える。


手ごたえはあった…!でも剣に血は一滴もついていない…。人間の硬さじゃない。


ヒラヒラと踊り子のような衣服で青白い肌を出しているあたり、鎧のような物は見受けられない。


「フハハハ!やるじゃないか!」


相手が遥か格下と分かっていることを前提とした言葉。爽快に笑った魔人は何事もなかったかのように起き上がる。


「うう…ヴラド様…」


ティティア…そんなわかりやすい顔をしないで…。


僕が何とかしなくちゃ…あいつの攻撃を受け止められるのは僕だけだ。


そう覚悟を決めグッと剣を握るこぶしに力を入れる。


「貴様…、人間にしては強すぎるな。…ん?何だ、貴様もこちら側ではないか?」


魔人の言葉に思わず耳を傾ける。


こちら側?どうゆう意味だ?


「何を言っているのかわからないな。大人しく去るのなら見逃してやるぞ」


とか言う僕が虚勢なのは言わずもがな。


相手が未知なのはあちら側も同じはずだ。はったりが有効な相手とも思えないけど…。


「なんだ貴様、自覚がないのか?フン…まあいい。いずれ気づくだろう」


魔人はそう言って臨戦態勢を解き話し始めた。


「未来の同士よ。ワタシの名はバロネット。モルドヘッド様が率いる魔将軍が一人だ。近いうちに魔王軍による人間領への大規模侵攻が始まる。今はその戦力を集めている時だ。いずれにせよ人間領にはいられなくなるだろう。その秘めた力に目覚めた時はワタシの名を頼るがいい…」


魔将軍バロネット?恐ろしいな…こんな序盤で。おそらくRPGでは中ボス級…。


しかも魔王軍による大規模侵攻だって?この世界ゲームそうゆう設定だったのか!


てことはそれを防ぐのが主人公の目的か…。


「ヴラドさん…?同士って…」


ニーファが不安そうに声を漏らして聞いてきた。


「違うよ。僕は正真正銘の人間だ。大丈夫、ニーファの味方だよ」


「フッ…。まあいい。これ以上の戦闘は無意味だ、さらばだ人間。」


バロネットはそう言い残すと、目の前に大きな次元空間を出現させ、そのままその中へ消えていった。


「帰った…?のか?」


ふううううう、死ぬかと思った…。


「ヴラドさまぁぁぁー!!」


そう言ってティティアが引っ付いてきた。


「ふえーん…!死ぬかと思いましたようぅ…!」


あらら…泣いちゃって。無理もない…。


本当に危なかった…。こんな序盤で戦っていい相手じゃないだろ…!HARDを選んでしまったからなのか…?


いや…難易度で変わるのはシナリオとかではなく敵キャラのパラメーターくらいだ。


そもそもこれがストーリーに沿ったイベントなのかすら分からない。自分の行動に制約はないみたいだし、たまたま運が悪かったのかな…。


(Lvが上がりました。新たにスキルを習得しました。)


久しぶりに頭に響く声。


Lvアップか…、倒しきっていなくても経験値が手に入ったのはあいつを撃退したってことになったのかな?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

黒の騎士ヴラド 剣士Lv2→5

HP225→299

MP72→90

力24→30

耐久26→32

魔力8→10

すばやさ16→20

状態異常20→24

運10→12

魅力3→4


攻撃力216→270 防御力234→288


獲得スキル

UP↑〈剣術〉Lv4 NEW〈カウンター〉Lv1 

UP↑〈解析〉Lv3 NEW〈恐怖体制〉Lv1→Lv4↑                            

NEW〈HPアップ〉Lv1 NEW〈攻撃力アップ〉Lv1 NEW〈防御力アップ〉Lv1


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


おお…。結構上がったな…。


正直疲れてしまってそれどころじゃない。後でゆっくり確認してみよう。


「Lvアップですね!ヴラド様!」


もう元気になってるよティティア…。ハハハ。


「さて…トロール達はいないし、何とか生き残れた。とりあえず王都に戻ろうか、魔王軍のことも王様に知らせた方がいいかもしれない」


「………はい」


ニーファはどことなく元気がないな…。そりゃそうか…、こっちの反応のほうが普通だよな。


「おかしいとは思っていたけど…、まさかホントに魔人…?イヤ、恩人に失礼…」


「ん?何か言った?」


「いえ…。なんでもありません」





 この時の僕はまだユニークスキル〈黒の呪い〉がどうゆう物だったか忘れていた。そして仲間が全くできないRPGの世界ゲームの過酷さも。



第八章へ続く




毎度ご愛読ありがとうございます。皆さんの感想がいつも励みになってます。これからもよろしくお願いします!

                                           神条紫城  

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ