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第五章 秘めた力

第五章です。よろしくお願いします!

王都の華やかな部分とは少し離れたところ。周りに住居はなく、広い敷地にそれほど大きくはないが綺麗な教会がポツンとそこにあった。


ギギィッと音を立てて扉を開けると中は元居た世界と同じような様式で静観としていた。両脇に綺麗に並んだ木の長椅子と一番奥の壁のステンドガラスが協会らしさを表現している。


「何か御用かい?」


奥の通路から神官と思われる男が一人、聖書を片手に現れた。


糸のような細い目に優しそうな顔が印象的だ。


「Lvと職業を教えてもらいたいのですが」


「ああ、一人当たり50Gゴールドで教えてあげるよ」


王様から貰った分は1000Gだった。アイテムやGはティティアが管理してくれている。


「ティティア、Gを入れておいた袋を出してほしい」


「はいヴラド様!」


ティティアがその小さな人差し指で指揮者のように空中をなぞると、バスケットボール位の穴が空き中からGを入れた袋がポトリと落ちた。


「ほう、フェアリーを連れた冒険者とは珍しいね。」


この人にも見えるのか。流石神官なだけあるな。


袋から100Gほど取り出し、神官に渡した。


「うん。確かに。そっちの子はいいの?」


神官が魔女の方を一瞥した。


「私は自分のLvも職業も知っていますから…」


魔女がそう答えると神官もそうかいと言ってスタスタと教会奥に消えていった。


「ヴラド様、どうして100Gも渡したんですか??」


ティティアが首を傾げて聞いてきた。


「ああ、僕の分とティティアの分だよ。ティティアも自分の正確なLvは知らないだろう?」


「あ、ティティアもできるのですか」


「わからないけど、受け取ったってことはできるんじゃないかな」


ティティアとの会話のさなか魔女の方を一瞥すると長椅子に座ったままジッとしている。


うーん、出来ればもっと話して仲良くしたいんだけどな…と思わず苦笑いがこぼれる。


「やあやあお待たせ。それじゃあ始めようか」


神官が何やら丸めた洋紙を手に戻ってきた所で魔女も教壇前に集まってきた。


「因みにLv・ステータスに加えてスキルもわかっちゃうプレミアムコース☆ってのがあるんだけどどうだい?」


「プレミアムコース?」


「うん!+10Gで教えてあげるんだけど」


うっ…、この神官優しそうな顔とは裏腹にお金にがめついな…。ホントに神官なのかな。


「…わかりました。お願いします」


「毎度あり♪」


毎度ありって…。


「それじゃあ、今度こそ始めるよ。君、名前は?」


「ヴラドです」


「それではヴラド君、そこに立ったまま動かないでね」


「わかりました」


神官は教壇の前に僕を立たせると右手をこちらに向け目をつぶる。


ポワッっと神官の右手が青く光り反対の手で教壇の上に置いていた洋紙をなぞり始めた。


右手の青い光が輝きを増したかと思った次の瞬間、神官は光を空中に解き放った。


空中に解き放たれた光は文字となって僕のステータスを表した。


黒の騎士ヴラド:剣士Lv2


HP225 MP72 力24 耐久26 魔力8 すばやさ16 状態異常耐性20 運10 魅力3


攻撃力216 防御力234


ユニークスキル

〈黒の呪い〉

スキル

〈剣術Lv2〉〈解析Lv1〉〈ランダムスキル〉


Lv2…この世界に来たばかりとはいえ弱いな…多分。もしただのゲームだったとしたら序盤のうちだから仕方ないのか…。


「…凄いなこれは」


「そんな…私より…全然…」


「凄いですね!ヴラド様!」


「うっ…、そ、そんな皆して言わなくたって…。Lvが低いんだから弱いのは仕方ないじゃか!」


「違うよ…。Lvのわりに強すぎる(・・・・・)。普通こんなステータスは有り得ない、剣士の初期ステータスじゃないよ。」


「っえ??そ…それは一体どうゆうことですか?」


神官は額に汗を書きながら説明した。


「…君はLv2にして低Lvのドラゴンと渡り合えるほどの能力を持っている。下級職業のLv2で…だ。これがこれからLvを上げると思うとぞっとするよ…。これは何て言えばいいのか、生まれながらの才能?なのかな…それとも何か特別なことでもしてるのかい?」


僕が…?これって…強いのか…。でも僕がこの世界でしたことなんてまだあの小さな猪を倒したことくらいしか…。いったいどうしてなんだ?


「…すみません、僕にもわかりません。」


「はは、まあいいさ。でも…君なら魔王を倒せると確信できるよ。」


いや…僕は魔王なんて倒したくないんだけどな…。


何でこんなに初期ステータスが高いんだろう。転生ボーナスか、主人公キャラ補正かスキルか何かか。…考えてもきりがないな。


スキルといえばこの〈黒の呪い〉ってどんな効果なんだっけ?…うーん、まあいいか、そのうち思い出すだろう。


「よしっ、今度はお嬢ちゃんの番だ」


「ハーイ!」


神官がティティアに手をかざし始めた時、後ろから妙な感触が。


ツンツン。


ん?何だ?


「ちょっと…」


振り向くと魔女が杖の先で僕をつついていた。


何?と聞き返すと魔女はスッとかぶっていたとんがり帽子を取った。外にはねた赤茶色の髪がぴょこんと飛び出す。


帽子を深くかぶっていたせいで良く見えなかったが、魔女とは思えない目鼻立ちがはっきりして、可愛らしい顔だった。


「あの…さっきは…セクハラとか変なこと言ってごめんなさい…。」


魔女は申し訳なさそうに答えた。


「いや、僕の方こそいきなり肩をつかんだりして悪かったよ。僕はもう気にしてないから君も許してくれないかな…?」


「…勿論です!。」


よかったー…仲直りできて。


「私はニーファ・タロットといいます…。ヴラドさん、もう一度お願いします。トロールを倒すのを手伝ってください…!あなたの力を…貸してください」


魔女はそう言ってお辞儀をした。


さて…、てことは少なくともこの()は僕ならトロールと対抗できるって判断したわけか。


この世界のNPCは皆意思を持って生活している。だからこの娘の依頼がゲームのシナリオを進めるイベントなのかはわからない…。


断ることもできるわけだけど、そしたらまず仲間にはなってくれないだろうな…。


「わかった、協力するよ。でも、その代わり…終わったら少し僕に魔法を教えてくれないかな?」


「え?は、はい…。そんなことでいいのなら…」


さすがに無料タダでというわけにはいかない。こっちにだって危険はあるわけだし。


でも交換条件として仲間にになってくれとは言えなかった。助けを求めてる相手に足元を見てる気がして。


甘いかな?僕は…。


まあ、魔法のことを知れるのは大きな進歩だ。


「よしっ…!交渉設立だね。」


そう言って右手を前に出した。


「…!よろしくお願いします」


ニーファは少し恥ずかしそうにした後握手に応じてくれた。


こうして僕は、この世界の初 依頼クエストとしてトロール討伐を引き受けることにした。





第六章へ続く





ご愛読ありがとうございます。次回は派手に戦闘したいと思います。次回もよろしくお願いします。

                                            神条紫城

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