転生しても性別は変わらんだろ
―――「俺を最強にしてくれ!!」―――
そこでは、人が想像できる限界をはるかに超えた
美しい女性に、どこにでもいそうな
平凡な男子高校生が最後の願いを言っていた。
(あいつら悲しんでくれてるかな。)
(ハーレム作って楽しもう。)
など願いが言い終わった直後に俺は光の渦に
飲まれながら死んだ後のことや、これからの
ことを考えていた。
ふと見えた彼女の口元が少しにやけた。
何かをたくらんでいる少年のようだ。
少しだけ不安になりながらも意識は渦の中に
飲まれていった。
「かわいくしときますね!フフッ」
時間は数十分遡り俺は学校から友達数人と
一緒に帰っていた。
横断歩道を渡ろうとしたら勢いよくトラックが
迫ってきた。
間一髪で友達に手をひかれぎりぎり助かった。
隣で怒鳴っている声が聞こえながら走りさっていく
トラックを見た。
よそ見したせいだろうか、段差で俺はつまずいて
しまっていた。
コンクリートの角が見えた。
気づいた時にはなにもない空間にいた。
死んだということは何となくすぐ分かった。
その空間には小さな丸型の机の上に呼び鈴だけが
おかれていた。
勇気を出して押してみた。
聞いたこともない不思議な音がなりながら彼女は
姿を表した。
「願いを2つ言え、お前は異世界に行く。
今私はおやつタイムなんだはやくしろ!!!」
彼女の姿にみとれる前に早口で言ってきた
背中には白く、美しいはねが見え、
彼女が天使だと一目で言わせた。
いきなり「願いを言え」だなんてことを言われたが
思考は冷静に回っていた。
(漫画やアニメは見る方だから分かるが、
これはかなり重要だな。って言うか異世界ということ
は、魔法とか使えたりエルフとかいるのかな~?)
そんなことを考えていたら答えは返ってきた。
「魔法は使えるようになるし、エルフなどの
人間以外もいるぞ。」
「はい、1かーい。次ラストね。」
せんべいをくわえながら彼女はいった。
これは無駄なことに使わないようにさっさと
言っとこう。
普段から考えていた妄想が役に立った。
「魔法が使えると言っていた。でも一般的に
だろうな。よし。魔法系のチート能力を
俺にくれ。」
「俺を最強にしてくれ!!」
そして今に至る。
何もない平原に彼女はいた。
(普通転生モノって言ったら性別変わんねーだろ。)
「俺、女じゃねーか!?」
叫んでいる彼女。
そう。俺は転生したら女になっていた。