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勇者って何だろう

作者: 海野 雫

 勇者って何だろうと思う今日この頃。勇者とは勇気がある者のことであり、称号である。それをさも当然のように職業のように扱うのはどうなのだろうかと思う。はぁ……



 臆病な勇者とかって矛盾した存在だよね。あと同じく賢者。聖女はまだ許そう。だが、賢者テメェはダメだ。魔法の才能と知識がある者のことじゃないだろ、賢者って!



 魔法以外からきしだから世間知らずのボンボンって感じ。もう愚者だよ、愚者。なんつうか、プライドばっか高くてやんなっちゃうわ〜


 ……え、あ、俺?


 いやあ、俺の職業聞いてもつまんないっつうか、なんつうか、あぁ〜


 あ、さーせん。



 はぁ、マスターには敵わないっすわぁ。俺、ほんとは聞いて欲しかったみたいっすね。


 え、俺、毎回同じこと愚痴ってた?


 ほんと、ごめんなさい。あ、でも聞いて頂けると嬉しいです、はい。


 今日はまだ言うほど酔ってないから、まだ記憶があるうちに愚痴っておきたいなぁって、えへへ……ごめんなさい、迷惑ですね。ほんと、ごめんなさい。


 え、あ、ありがとうございます! ほんとマスターには頭が上がらないですね、ほんと。


 おっと話す前に一杯ッと。



 あぁ、その、まあ俺、その、勇者なんですよね。今更ですね、へへ。


 なんでか今代の勇者は臆病者でしてね。まあ俺なんですが……


 勇者パーティは少数精鋭の暗殺者なんですよ。軍が軍の相手をしている間に、強力な個人を討伐するためのね。あ、勇者がそんな発言してたってのはくれぐれも内密に……



 それで、精鋭ってのはいいんですけれど、どいつもこいつも個性が強いのなんの。まあ何故かみんな魔王討伐に対して異様に意欲が高いのは、まあ、まとまってくれて嬉しいんだけどね、けどね。俺めっちゃ臆病なんだよね。



 ほんとは〜、魔王討伐とかも怖すぎて遠慮したいんだけどぉ〜、なんか勇者になっちゃったしぃ。仕方ないからやってんの! だからぁ、びびんのもしゃあないやん? なんで、そんな責められやなあかんのかわからんわ! 俺らは対魔族の希望やで! 希望! 慎重に慎重を重ねて、重ね過ぎることなんてないやん? それをあいつらは、鼻で笑うわ侮蔑の目でみるわ、苦笑い、溜め息とかざっけんなっ! ちっとも、ゆーこと聞かんしなぁぁあっ!



 おれ、ゆうしゃやで? みんなのきぼうやで? なんでそんなおれが、まわりをきぃつかって、ヘコヘコヘコヘコ、あんまりっちゃう? ほんま、あんまりや……、あん、まりや……ぁあ、うぅ、ぅえっへ、んふ。んああっああっああ、ああああああっあああああ────















 えっ? あうっ、頭痛い。ああ、マスターすみません。また俺、深酒して寝ちゃったんですね。多めにお勘定払っておきます。ほんと、ご迷惑をお掛けしました。ではっ!













 勇者だと言う青年は二日酔いであろう体なのに気丈に振る舞い、店を飛び出していった。彼が何度も単独で行動していることが彼の今の状況を物語っていた。


 そんな彼に言いたい。


「勇者ぇ! そんな愚痴聞かされたら闇討ち出来ないじゃん!? 寝首、掻けないじゃん!?」


 対勇者一行に急場で作られた名ばかりの精鋭部隊、魔人三人衆の搦め手を担当する俺は、勇者相手に自白の魔法薬を盛ったことを後悔したのだった。


 だって……


「ねぇ、いつ殺すの? いついつ? いつ殺す? 今殺す? 刎ねる、刎ねたい、刎ねよう? ねぇ首刎ねよう? ……刎ねるよ? 首」


「まだ、まだなのですか? いつまで時間をかければ済むのですか。これだから下級のゴミは────」


 全く同じ状況だから。これでリーダーは俺なんだから最悪だ。


 あぁ勇者よ、お前だけをこの苦しみからは解放させんぞ!



多分、私は疲れている。

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