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七神転生~肉体派チート~  作者: 河下ユング
1章 冒険者編
9/23

8話 冒険者登録

「亜人か.....」


  忠勝は宿屋の自分の部屋で先ほどまでの出来事を思い返していた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「タダカツさんは亜人だったんですね。人間かと思ってました」


「...は?」


 忠勝は人間だ。少なくとも忠勝本人はそう思っている。忠勝は亜人と言われ、訳がわからず、つい素っ頓狂な声を出してしまう。


「え?だって変身のスキルをお持ちじゃないですか」


 忠勝は、確かに前にステータスを確認したときにそんなスキルがあったことを思い出す。その時は加護の確認をしただけでスキルの確認まではしていなかった。

 どうやら変身というスキルは人間ではなく亜人の証となるようだ。忠勝はとにかくこの場を誤魔化すために話を合わせることにした。


「あ!はい、ありますね。....実はそうなんですよー」


「.........はぁ、亜人を嫌う人も中にはいますからね。亜人は魔族の仲間だー!神に仇なす者だー!なんて言って...。ですから言いたくない人もいるでしょう。

 ....わかりました。今回は不問にします。ですが!こういった登録などの際に嘘を吐くのはやめてくださいね。問題になりますよ」


「....はい、気をつけます」


 普段は軽口を叩くようなローリーだが、こういった場合にはしっかりと仕事をこなすことができるようだ。忠勝がローリーへの認識を優秀な受付嬢へと変更していると、キャンディが小さく声をかけてきた。


「...タダカツ...亜人..なの?」


「....そうだ、ごめんな黙ってて」


 キャンディが落ち込んだような様子で聞いてきたので、忠勝は本人もよくわからないことを答えるを少し躊躇ってしまう。

 忠勝が肯定すると、キャンディは俯いて黙り込んでしまった。何かを考えているようだ。


「....大丈夫、気にしない」


 しばらくして考えがまとまったのだろう、キャンディが顔を上げてそう言った。

 忠勝はキャンディが考え込んだ真意まではわからないが、自分が亜人であるとわかったとしても気にしないと言ってくれる友がいることを素直に嬉しく感じた。


「..ありがとう」


「..ん」


 忠勝はキャンディに礼を言うとローリーへ向き直った。

 変身のスキルと言われてもどういったものなのかわからない忠勝は、ローリーに聞いてみることにする。


「自分の村の中でしか生活したことがないんですが、亜人はどんな種族でも変身スキルを持ってるものなんですか?」


「いやいや、変身はかなりレアなスキルですよ。えーっと、亜人もたくさんの種族がいますが変身を持っていると確認されてるのは4種族。黒狼族、竜人族、鬼人族そして金狐族だけです。なかでも金狐族のは他の種族とは違い好きな姿に変身できるそうですよ。

 あとは、亜人とは違いますが魔族の中にも変身を使えるものがいるらしいですね」


 ローリーは忠勝が聞いたことに対してスラスラと答えていく。まるでマニュアルでも読んでいるかのようだ。

 忠勝が関心しているとゴトッと何か落ちる音がした。何かと思い忠勝がカウンターの下を覗くと表紙に『これであなたも受付嬢~初心者用~』と書かれた本が落ちていた。忠勝は黙って本を拾い上げローリーに返す。


「....」


「.....質問は以上ですか?」


 聞いてはいるが有無を言わせない威圧感がローリーからは放たれている。忠勝としては「はい」答えるしかなかった。


「ではこれで登録完了です。

 こちら冒険者プレートになります。身分証明書にもなりますので無くさないでくださいね。もし無くすと再発行に金貨1枚が必要になりますし、再発行にも時間がかかりますので」


 手渡されたものを見てみると金属でできたカードのようなものだった。カードの右半分ほどに大きくFと刻まれている。忠勝は冒険者プレートを胸ポケットにしまう。


「タダカツさんは、初回登録なのでFランクからのスタートになります。冒険者ランクの説明は必要ですか?」


「はい、お願いします」


 ローリーの説明によると、

 まず冒険者ランクにはF、E、D、C、B、A、S、SSがあり、それぞれのランクが依頼の難易度に対応していて依頼はランクの前後1つずつまでの難易度のものしか選べない。

 これは、低ランクの人が無理に高難易度に挑まないように、また高ランクの人が低難易度の依頼をとってしまわないようにするためだ。

 特別な例だが、ランクの違う人同士のパーティが依頼を受ける場合は最高ランクの人が受けられるものを受けることが可能となる。


 次に冒険者ランクを上げる方法だ。

 まずDランクまでは依頼をF〜Eの場合は5回という風に所定の数だけこなしていけばランクを上がることでくる。

 だが、Cランクより上にいくには昇格試験を受ける必要がある。試験の内容はその度に変わるためわからないが、討伐だけでなく護衛などの依頼もあるそうだ。

 ちなみにSSランクはこの国どころか世界でも現在存在せず、50年ほど前に最後の1人が引退してから誰も認められた人がいないらしい。なんでも、SSランク冒険者と言うのは魔王を討伐した冒険者パーティが名乗ることを許される特別な称号だそうだ。

 つまり、通常の方法の場合Sランクを最高位と考えるということだった。


「そうなんですか。でもどうせならSSランクを目指したいものですね。俺も男ですから」


 忠勝のこの世界に連れてこられた目的はもともと魔王の討伐だ。それならばついでにSSランク冒険者を目指すのも悪くはないだろう。


「いいますね〜。頑張ってくださいよタダカツさん、応援しますから」


「はい、ありがとうございます」


 美人に応援されるというのは忠勝としても気分がいいことだ。思わず顔がニヤけてしまっていると、


「...やらしい」


 と辛辣な言葉を頂いた。

 忠勝はニヤけ顔を直してローリーに質問すると、


「安い宿を教えてくれませんか?まだ、今日の宿が決まってなくて...」


「それならまんぷく亭というところがオススメですよ。安いし、料理も美味しいんです」


 と、『まんぷく亭』という宿の場所を教えてくれた。忠勝としても料理が美味しいということに惹かれてそこに行こうと決めた。


  ローリーに礼を言い、ギルドをあとにした。

 結局テンプレ的に絡まれることもなく冒険者登録を終えることができた。

 やはり高身長の赤髪というのは威圧感があるのかと、考えたところで忠勝は自分が力を示すことができなかったことを残念に感じていることに気づく。何故、力を示せないことが残念なのか考えるが忠勝にはわからない。


「...タダカツ?早くいこう」


 考えているうちに立ち止まってしまっていたようだ。結局答えは出ないままキャンディに従い『まんぷく亭』に向かった。



「...着いた」


「おー、ここがまんぷく亭か」


  忠勝達の目の前にある建物は大きくはないが、安宿という割に綺麗に掃除された宿屋だった。


「今日はありがとなキャンディ。....よかったら、ご飯一緒に食べて行かないか?」


「......やめておく...遅くなっちゃったから...みんな心配してるだろうし」


 断られる。忠勝としては内心勇気を振り絞って誘っただけにショックが大きい。がそれを表には出さない。


「...そうか。そうだな。それじゃあ、バル達によろしく」


「..ん....また」


「またな」


 キャンディが通りのほうへ歩いていく。それを見送っていると、キャンディが立ち止まり振り返り、


「....タダカツ、助けてくれてありがと」


 と言って走り去っていく。その顔は紅に染まっていた。

 恥じらうような10代の反応を見て、忠勝は年甲斐もなく頬を染める。身体に引っ張られ、精神も若返っているのだろうか?と考えながら忠勝は宿の扉に手をかけた。

  宿の一階は食堂も兼ねているようで、時間もあってか賑わっている。


「いらっしゃい!」


 忙しそうにしながらも元気な声で迎えてくれた。この宿の女将さんだろうか。女性でありながらがっしりとした体格が印象的だ。


「泊まりかい?食事かい?泊まりなら素泊まりで銅貨2枚、朝晩の食事付きで銅貨3枚だよ」


「食事付きの泊まりでお願いします」


 ローリーおすすめの料理が楽しみだった忠勝は迷いなく食事付きを選んだ。


「あいよ!あんた冒険者かい?」


「はい、今日から冒険者になりました」


「そうかい、頑張んなよ!ハンナー!」


「はーい」


 女将がハンナと声をあげると、奥から長めの茶髪を結った目の大きな女の子がでてきた。

 15.6歳だろうか、ローリーさんのようにはっきりとした美人ではないが、素朴な顔立ちで愛嬌があり可愛らしい。胸はそこそこだ。


「このお客さんを部屋に案内しておくれ」


「わかったわ。ではお客さん、部屋は2階ですのでついてきてください」


「はい」


 移動をしながらハンナと呼ばれた女の子が話しかけてくる。


「お客さん、冒険者なんですか?あ、私はこの宿の看板娘ハンナといいます」


 自分で看板娘と言うようなタイプらしい。忠勝はそれを自意識過剰ではなくただ明るいタイプなのだろうと判断し話を続ける。


「はい、今日から冒険者になりました。忠勝と言います」


「タダカツさんは年はいくつなんですか?」


「19ですね」


「あ、じゃあ私の方が年下ですね。私16ですから」


「そうなんですか」


「はい、だから敬語なんてやめてくださいよ。せっかく年も近いんですから」


「そうですか?じゃ...ありがとな。しばらくここに泊まるつもりだからよろしくな」


「はい、よろしくお願いします」


 ハンナと名乗った女の子は確かに明るい性格のようで初対面である忠勝に対してもどんどん話しかけてくる。

 話が得意ではない忠勝も、話に集中するうちに部屋の前にたどり着いていた。


「ここですね。では、鍵を渡しておきます。鍵といってもそれほど丈夫なものではないので貴重品は置いて出ないようにしてくださいね」


「はい、わかりました」


「では、ごゆっくり〜」


  忠勝は鍵を受け取り、中に入る。6畳ほどにベッドが置かれた部屋であった。壁に小さな鏡がかけられているが地球のものほど綺麗には映らない。

 忠勝は扉の鍵を閉めるとベッドに腰掛けるとつぶやいた。


「亜人か...」


今回会話多かったです。

なるべく早めにあげるようにします。


よろしくお願いします。

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