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七神転生~肉体派チート~  作者: 河下ユング
2章 戦の転移者編
20/23

16話 緊急依頼

 ーーゴブリンキング

 図書室で忠勝が以前読んだ本には乗っていなかった魔物だ。普通ならこのあたりに生息する魔物ではないのだろう。


「なぁ、ギルダー。ゴブリンキングってそんなに危ない魔物なのか?」


 ローリーの声に反応したギルド職員がギルドの奥へと走り去った後、忠勝はギルダーに向けて声をかけた。


「ああ、単体でもBランクの魔物だからな。今回は少なくともゴブリンの大群を率いてるだろうからそれ以上だろうな」


 ギルダーが質問に答えるが、忠勝にランクで強さを表してもピンとこない。だが、他の冒険者の表情を見ると、事態が緊迫しているこどが忠勝にも伝わる。


「....強いのか?」


「そりゃあな。BランクのゴブリンキングにはAランク冒険者か、Bランク冒険者パーティが万全の準備をしてやっとって強さだ」


 ギルダーの話から考えるに、魔物のランクは冒険者のランクと、概ね同程度かそれ以上と考えるということだろう。つまりは、Cランクの『黒の炎』ではゴブリンキングの討伐は難しいということらしい。


「この街には今Aランク以上の冒険者はいない、Bランクパーティが3組いるだけだ」


「ならそいつらがいれば...」


 勝てるんじゃないかと忠勝が続けようとすると、ギルダーが首を横に振る。


「言ったろ?今回はゴブリンキングだけじゃねえ。大群なんだ、とても万全の状態でゴブリンキングに向かわせることは....厳しくなるぞ」


 いつになく真剣な表情でそう述べるギルダー、相当に厳しい状況のようだ。

 そうしているうちに、ギルドの2階から髭を蓄えた老人が降りてきた。


「静かに‼︎.......調査班からの報告によると、トナリの森にゴブリンキングが出現したらしい。しかもゴブリン共をまとめて集落を作っとる。それを受けて緊急依頼だ!」


 ざわざわ

「「「「「「!....」」」」」」


 ギルドマスターの登場に静まっていた場が、緊急依頼という言葉に一気にざわつき始める。


「内容はゴブリンの集落の壊滅、報酬は参加報酬として金貨5枚、達成後に金貨5枚、合計金貨10枚。また貢献度によって、別途で報酬をだす。

 この依頼は命をかけてもらうことになる!強制はせん!よく考えて参加を決めてくれ」


 ギルドに集まっていた冒険者達がどよめく。


「どうする?」

「俺はやるぞ!金貨10枚はデカイぜ」

「俺もだ!」

「ちょっと待ってくれ!ゴブリン共の数は?何匹くらいいるんだ?」


 冒険者の1人がギルドマスターに質問する。確かに、敵の数もわからない内に決めるのは愚行だろう。皆がギルドマスターに注目する中、ギルドマスターはその質問に、返答に詰まりつつ答える。


「....ゴブリン共の数は正確にはわからんが、報告によると300匹以上は確実らしい」


「300⁉︎」


 桁違いの数だ。忠勝が昨日森で囲まれたときでさえ総数20匹程だったことを考えると相当な数だろう。


「やれるのか?」

「やめようかな」

「俺はやるぞ!金がいるんだ!」

「やめとけ、やめとけ」

 ....


「参加する者は明日の朝5時に大門前に集合してくれ!では、解散とする」


 ギルドマスターの声に、冒険者達が散らばっていく。その後ろ姿はどこか震えているようだった。

 こんな状態で集まるやつなんているのか?と思いながら忠勝はバル達に声をかける。


「みんなはどうするんだ?」


「私達は一応Cランクパーティだからね。参加するよ」


「だな、負けたらどうせ街がやばいしな」

「ああ、参加だな」

「...街守る!」


 と言って、皆笑って戦うと宣言した。バル達『黒の炎』は街を守るために参加するようだ。性根からお人好しなのだろう。


「タダカツは?」


「俺ももちろん参加する、名を上げるチャンスだからな」


 忠勝も依頼への参加を告げる。


「すごい自信だね」


「明日は頑張ろうな、それじゃ俺は明日の準備があるから帰るよ」


 と言って忠勝は、ギルドから出ると、ルーデウスの店に向かって走り出した。


(やばい....防具ないわ...)


 ルーデウスの店に着くと、忠勝は店に入り声をかける。


「ルーデウスさん、すいません!」


「タダカツさん?慌ててどうしましたか?」


 ルーデウスは今朝と同じように、突然現れた忠勝に驚いたようだが、すぐに対応に入る。


「実は明日緊急依頼があって、朝5時までに防具が必要なんです」


「おお、緊急依頼のことは聞いておりますが、あなたも参加されるのですか。.....わかりました。では、明日の集合される前にここに来てください。店を開けておきましょう」


「ありがとうございます。それとポーションを幾つか買っておきたいんです」


 忠勝は明日は激戦になると聞いて、緊急用にポーションを買っておこうと思い、ルーデウスに注文する。


「ああ、そうですな。...これなんてどうですか?かなり上質なもので深手であっても一瞬で治せますよ」


「いくらですか?」


「小金貨5枚です」


「⁉︎....ひとつお願いします」


 忠勝はこのひと月でそこそこのお金を貯めている。貯めてはいたが、提示された額は財布の中身ギリギリだった。

(このおっさん、いくら持ってるかわかってんじゃないだろな?)と思いながらも、念のため買っておく。

 忠勝はファイトモンキーの件で戦闘での油断は死につながると知った。そのため、高くとも回復手段は持っておくべきだと考えてのことだ。


「かしこまりました。ではどうぞ」


「ありがとうございます。じゃまた明日きますね」


 忠勝は店を出て宿に帰り、食事をとると、すぐにベッドに入った。


(明日はいよいよテンプレ展開『街の危機に無双』だ。早く寝なくては....)


いくら油断しないと決めたとはいえ、平和な日本で生活してきた忠勝、当然戦争に出たこともなく、ケンカをした経験すら殆どない。

 結果、頭の中は自分が活躍するイメージで埋め尽くされ、大した覚悟をすることなく眠ることになった...

緊急依頼発生となりました。

そろそろ戦闘開始です。


よろしくお願いします

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