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七神転生~肉体派チート~  作者: 河下ユング
1章 冒険者編
13/23

10話 初依頼

「この依頼を頼む」

「買取を頼みたい」

「こっちも頼む」

「おーい、早くしてくれー」

 ......


 朝から冒険者ギルドは騒がしい。

 その喧騒を避けるように、忠勝は依頼の張り出された掲示板の端から自分でも受けられる依頼を探す。


「俺の受けられるのは難易度F.Eか。....Fは街でのお使いや手伝いばかりだな。Eは....薬草探しに、ゴブリン退治か。どうするか...」


 忠勝ははやく街の外の冒険に出たかったため難易度Fのものは除外し、難易度Eの薬草探しかゴブリン退治で悩んでいると後ろから声をかけられる。


「タダカツさんじゃん」


 振り向くとそこには、


「アッシュとギルダーか。おはよう」


 アッシュとギルダーの2人がいた。忠勝が挨拶をすると2人も挨拶を返してくる。

 2人に何をしに来たのかと聞くと、どうやら昨晩は遅くまで皆で飲んでいたようでバルとキャンディは二日酔いらしい。そこで2人で適当な依頼を受けようということになり、ギルドに足を運んだということだった。


「あぁ、そうなのか」


「そうだ!タダカツさんもよかったら一緒に行こうぜ」


「え?それじゃあ2人が受ける依頼の難易度が低くなるぞ?」


「別にいいぜ?なぁ、ギルダー」


「ああ、構わないぞ。どうせ俺たちじゃ大した依頼は受けれないからな」

 ハッハッハッ


 世知辛いことを言って笑う2人に苦笑いする。しかし、この申し入れは素人の忠勝にとっては素直にありがたい。


「じゃあ、この薬草の依頼でいいですか?」


「ん?タダカツならゴブリン退治でも余裕だろ。....ま、冒険者として薬草の場所とかを知っといても損はないか」


 ギルダーはすぐに忠勝の意図を察したようだ。忠勝としても、自分ならゴブリン程度余裕を持って倒せるだろうと考えている。だが、だからこそ先輩冒険者と一緒依頼に行く今回は薬草などについて知る良い機会だと考えた。


「俺もいいぜ」


「ありがとな。じゃあ、依頼書をカウンターに持っていってくる」


「それは常駐依頼だから、いちいち受けなくても、薬草を取ってくるだけで達成できるぞ」


「そうなのか?」


「そうだぜ。今日は先輩として冒険者としてのノウハウを教えてやるよ」


 ありがたい限りだ。

 忠勝が礼を言おうとすると、


「アッシュ、調子に乗るんじゃねえ」


「乗ってねえよ!」


「だいたい、お前はいつも...」


 ギルダーがアッシュに注意し、言い合いをはじめた。忠勝はなんとか2人を宥めてギルドを出る。


 さぁ、冒険の始まりだ!


「そういえばタダカツさん、そのかっこで行くの?」


「え?」


 まだ、冒険には早いらしい。


「だってタダカツさんその変わった服しか着てないじゃん。タダカツさんが強いのはわかるけどさすがに防具は揃えないと...」


「あー、でもお金が....」


「ならちょうどいいじゃねえか。ルーデウスさんとこに行こうや」


「あー、タダカツさんにまた礼がしたいって言ってたしな」


「え?でも悪「そうと決まったら行こぜ!」


 2人のタカリ屋に連れられてルーデウスの店に行くことになった。


 ランタナの街には幾つかの大通りが通っており、道沿いには多数の店が開かれている。それらは、屋台や小さな商店など形は様々だ。だがそこに一軒、多数の商店が並ぶ大通りに於いても一際大きな店があった。

 ーールーデウス商店

 忠勝たちはその前に立っていた。

 西洋風の建物に大きくルーデウス商店と書かれた看板が掛かっている。


「え⁈ここ?」


「そうだぜ。いつ来てもデケーよな」


「そうだな。さ、入ろうぜ」


 忠勝は完全にルーデウスのことを舐めていた。雑貨を扱う街の小商店くらいに思っていた。まさかこんな大商店を経営していたとは思っていなかった。


 カランカランッ

「ルーデウスさんいるかー?」


「おや?ギルダーさん、いらっしゃいま....おー、タダカツさんではありませんか。よく来てくださいました」


「..お邪魔します」


 ルーデウスを大商店の経営者と知って萎縮してしまう。忠勝はそれを知った上でこんな態度をとるアッシュとギルダーはアホなのか?と思えた。


「ルーデウスさん、実はタダカツが今日から初めて依頼に行こうとしてるんだが防具とかがなくてな」


「.....!わかりました、タダカツさんのためにこちらで見繕いましょう。お任せください」


「ありがたい」

「ありがとうございます」

「ありがとうございます」


 ギルダーの言葉から防具が必要であると読み取ったのだろう、ルーデウスは


「少々お時間いただきたいので、そちらの商品を見てお待ちください」


「はい」


 と言って店の奥へと消えていく。ルーデウスはお人好しのようだ。このお人好しの性格が、この大商店に結びついているのかと忠勝は思った。


「 いろいろな物がありますね」


「そうだな。あっちの棚なんて俺達の収入じゃ手が出ねえよ」


「全くだ」


 忠勝は前にバルが自分たちはCランクのパーティだと言っていたことを思い出す。どうやらあっちの棚のものはCランクでは手の届かないほどの値段らしい。壊さないようにしよう...


「CとBじゃ報酬も難易度も段違いだからな。Bランクからは国外でも有名になってくるから指名依頼なんてのも来ることもあるしな」


「そうなんですか」


 会話をしつつ様々なアイテムを物色し時間を潰す。そうしているうちにルーデウスが戻ってきた。


「お待たせしました」


「いえ、大丈夫です」


「こちらを用意させていただきました。おーい、持ってきて」


「はい、ただいま」


 店員であろう男が防具一式と袋を運んでくる。あまり重そうではない、革鎧のようだ。


「ん?こりゃ初めての防具には豪華すぎねえか?」


「はい、ですがタダカツさんの実力はすでに初心者の域ではありませんし、タダカツさんには命の恩がありますしね」


 どうやら、この防具はかなり高価なもののようだ。忠勝は自分の実力を認められたことを嬉しく思い、ありがたく受け取る。


「おー、よかったなタダカツさん!」


「はい!ルーデウスさんありがとうございます」


「いえいえ、それとこちらの袋にポーションとマジックポーション、それにエナジーポーションを入れてますのでお使いください」


「ありがとうございます」


「いえ、これも優秀な冒険者さんとの繋がり作りのためですよ。また贔屓にしてくださいね」


 ルーデウスとしても思惑があるようだが、忠勝の中のルーデウスの評価は変わらない。ルーデウスに礼を告げて店を出る。

 とうとう冒険の始まりだ!


「ほんとよかったなタダカツさん。その防具なんて買おうと思ったら金貨5枚は必要だし、ポーションだって消耗品としては高価で安いのでも銀貨1枚はするもんな」


「そうだな、羨ましいくらいだ」


 どうやらこのポーションは安くとも1万円はするらしい。忠勝は大事に使おうと心に決めた。

はい、初依頼にはまだ行きませんでした。

次回いきます


よろしくお願いします

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