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腕を組み、壁際に設置されていた本棚に凭れ掛かりながらこちらを伺い見る、茶髪でオールバックの無表情なイケメン。
聖母のような微笑みを浮かべながら、来客用のソファに腰掛ける、白いシンプルなドレスを身に纏ったハニーブロンドの天使みたいな美女。
ニヤニヤと、どこか不敵な笑みを浮かべながら楽しそうに執務机の私のソファでふんぞり返っている、黒髪黒ずくめの怪しいバンドマン風イケオジ。
執務机の前の若干空いたスペースで、一心不乱に片手腕立て伏せをしている、赤髪イケメン。
何故か来客用のテーブルに腰掛け、優雅にハタハタと扇子をゆっくり仰ぐ、青髪の中華服オカッパ美女。
そして、先程元気に帰還の挨拶をして来たのは、その前まで楽しげにちょこちょこ動き回っていた、薄緑のワンピースを翻す緑髪ツインテール美幼女である。
......うん、いや、うん。
凄くリアクションに困る。
だってこれってさ、多分また私にしか見えてないよね?
その証拠に、こんだけ人口密度高い部屋になってるにも関わらず執事さんは無反応。
ただ隠密さんは少し違和感を感じてるのか、なんか居心地が悪そうに辺りを見回していた。
『風の王よ、どうせ奴らには妾等の姿も声も聞こえておらなんだ、故に、おかえり、などと言っても意味は無いぞ?』
『そうだけどさー、一応言いたくなるじゃん?』
青髪の中華服オカッパ美女が優雅に微笑みながら、緑髪ツインテール美幼女に語り掛けると、当の幼女はあっけらかんとした適当さで無邪気な返答をした。
青いお姉さんの口調が古風な感じなのは、性格故になのか、それとも長い年月存在していたからなのか。
まあ、とても似合っているから良いと思います。
いやいやそうじゃないだろ私、落ち着け。
うん、えっと何これ、どうしよう、どうしたらいいかな。
よし、とりあえず知識見てみるか。
・精霊王
光、闇、炎、水、大地、風、各属性の精霊を束ねる王であり、このルナミリア王国では国神である女神ルナミリアと仲が良かったとの伝承から信仰の対象ですらある。
だが、精霊さえ見る事が出来ない者が多く、存在するかどうかも疑わしいとの見方も多い。
大陸のあちこちに各属性の神殿が建てられており、そこに祀られているが、ルナミリア王国以外最近は余り信仰されていない。
うん、なんか、辞書かなんかで一瞬だけ読んだんだな、って事が良く分かる文章が出て来たよ何これ。
オーギュストさんのスペックについては、もう考えるのもめんどくさいのでそういうもんなんだと割り切る事にしようと思います。
いや、たまに気にしちゃうかもだけど、その時はその時だ。
会場では何も考えないようにしてたけど多分、予想が当たってるなら彼等が精霊王なんだろうと思う。
自分で言ってたしね。
それはともかく、この知識から考えると、今更ながら一つの仮説が成り立つ。
私はあの時ハッキリ姿が見えたから、うわ、コイツら本物か、って分かったけど、会場に居た人達からすれば、光が浮いてただけで真偽不明。
つまり、あれが真実だと思ってる人はそんなに多くないんじゃないか、って事だ。
もしかして、そこまで大騒ぎにはなってないんじゃないだろうか。
魔力とやらだって分かる人は少ないらしいし、たったあれだけの事で私が賢人だ、なんて完全に信じた人は少ないと見た。
結果としては若干微妙だけど、それでも少しの光明が見えた気がする。
めんどくさい事はめんどくさいだろうけど、それが少ないならそれに越した事は無いんですよね!
私の事を疑う人がめっちゃいるかもしれない事はこの際考えないよ!精神衛生上悪いからね!
絶対裏があるとか考えて警戒する人が多いと思うけど、そこはもうスルーしてやる。
『あ、ねぇねぇ水の!、これで今、あの時みたいに光浮かべたら、さすがの賢人も驚くんじゃない?』
『そうじゃのう、先程は予想されていたのか、全く驚かなんだし、良いかもしれんのう』
そんな相談をする二人の精霊王は、楽しそうにクスクスと笑っている。
あ、うん、ごめん、丸見えな上に丸聞こえです。
...えぇーと、どうしよう、どういう対応が正解なのコレ?
聞こえないし見えてない、ってフリするべき?
だってコレさ、彼等が見えるってかなり規格外だよね?
言動的にも知識的にもそうだよね?絶対そうだよね?
いや、そんな事より何しに来たのこの人達。
「ねぇ旦那サマ、この部屋、なんかおかしくない?」
ふと、確かめるかのように辺りを見回しながら、隠密さんが私に尋ねる。
うん、私にとってはおかしい事だらけだよ、なんて彼に言える訳が無いので、とりあえず釣られたように私も辺りを見回しておく。
『ほぉ、こやつは少し勘付いたようであるな』
黒いオッサンがドヤ顔で偉そうに言い放った。
うん、ドヤ顔やめろ。
『ふぅむ、なるほど、この男、どうやら向こうの大陸人の血が混ざっておるようじゃ』
青いお姉さんは軽く目を細め、思案するような仕草で隠密さんを眺めた。
そんな事が何故分かるんだろう、という疑問よりも、その仕草を超美人がやると迫力がある、何これ不思議、という感情が先立った。
以前の私も美人だったけど、やっぱり日本の美人と外国の美人だとかなりの差があるんだろう。
やっぱ派手さが違うよね、雰囲気とか。
他国の映画もまあまあ見てたし、他国のそれなりの美人は日本でもよく見てた。
ついでに最近の芸能界はハーフも増えてたけど、本場外国系の美人はやっぱり違うって事なんだろう。
『あー、向こうのヒト達の血なら仕方ないねー』
つらつらと考えている私に気付く事も無く、きゃはっ、なんて、幼女以外がやれば腹立つだろう笑い声を無邪気に上げながら、緑色の幼女が首を傾げた。
その様子に、私も思考を切り替える。
えっと、大陸人ってアレか、日本で言う外国人的なやつか。
こっちにもそういう文化あるんだなぁ。
...切り替えてこれかよ、って今自分でも思ったけど、平和過ぎる現代日本国で育った私としては、仕方ないで済ませてしまいたいと思います。
「......ふむ、旦那様は何か感じますか?」
『それに引き換えこの執事は駄目だな、精霊達からも余り好かれてないようだ』
執事さんが若干不思議そうな声音で私に問い掛けた瞬間、なんか突然鬱陶しそうな雰囲気を醸し出しながら黒いオッサンが断言した。
...うん?
『神経質そうだもんねー、ワタシも無理かなー』
『俺もヒョロっちいのは好かんな』
困ったように笑う緑の幼女と、まだ腕立て伏せしている赤いお兄さんが続けるように答えた。
はあ?いやいや、おい、ちょっと待て、なんか好き勝手言ってんなこの野郎共。
なんで君達にウチの部下をそんな風に言われなきゃならんのさ。
確かに神経質そうで細いけど、でも凄く有能なんだぞウチの執事さん!
「......旦那様?どうされました?」
「旦那サマ?」
『おい、賢人の様子、なんか変じゃねぇか?』
『あれ、なんかワタシ達を見てるような...?』
そんな風に一気に自分へ視線が集中してしまって、内心だけで軽く焦った。
いかんいかん、落ち着け私。
ちょっとイラッとしただけですぐに違和感を感じられてしまうなんて演者失格だ。
「気にするな」
とりあえずそれだけを告げて気持ちを落ち着けた。
まだまだ私も未熟である。
何もかも全て覆い隠してまるでそれが真実であるかのように演じるのが、演者としては最良。
今の私では、もっとがんばりましょうの判子が押されてしまう。
精進あるのみ、である。
そうやってすぐに気持ちを落ち着けたからか、精霊王達は気にした様子もなく笑った。
『偶然ではないかえ?のう、闇の王』
『そうであるぞ、我等が見える者など最古の賢人くらいなものだ』
『まあそりゃそっかー、ね、光のはどう思う?』
明るく笑いながら、話を聖母のような白い彼女へと持って行く緑の幼女。
突然話を振られた彼女は何故か、はっとして、不思議そうに辺りを見回した後、こてり、と首を傾げた。
『え?なんです~?聞いてませんでした~』
『なんで聞いてないのさ!』
うん、緑の子ナイスツッコミ。
『あら~...、ごめんなさい、執事と影の者と賢人と、誰が受けで誰が攻めか想像してたら~なんだか止まらなくなっちゃって~』
『うわ、また?、止めてよ、マジ気持ち悪い』
おっとりと間延びした口調で頬に手を添えながら、うふふ、と笑う白い彼女の、緑の幼女へと向けて言った言葉は、全く理解出来なかった。
眉間に皺を寄せ、うげぇ、と盛大な拒否反応を示す緑の幼女。
『この楽しさが分からないなんて、貴方も可哀想よね~』
『分かりたくないよ、そんなの。』
...うん、えっと、なんだって?
『あまねく生命はね~、すべからく愛に満ちるべきなの~、男同士は特に~』
うふふふふふ、と聖母の微笑みを浮かべながら、薄く頬を染め、さらりとそんな事を言い放つ。
その時、それに異を唱える者が居た。
『何を言うかと思えば、寧ろ推奨されるべきなのは女同士じゃろうに』
これだからまったく、等と漏らし盛大な溜息を吐く青いお姉さん。
..................はい?
『いいえ!男同士であるべきです~!』
『男同士なぞむさ苦しい!女同士こそが至高!』
きゃんきゃんと犬の喧嘩の如く言い合う女性二人。
ごめんどっちも意味分かんない。
周りの精霊王達も私と同じ感覚なのか、そんな二人に向けて冷めきった視線を送っていた。
『その考え、いつも思うが全く理解出来ん』
『ワタシも』
『俺も。筋肉の方が至高だろ』
いやちょっと筋肉て。
『いや、炎のも大概意味不明だからね、分かんないから』
『我も分からん』
黒、緑、赤、それぞれが思い思いに会話する中、ふと緑の幼女が本棚に寄りかかったまま傍観に徹していた茶髪の男性に顔を向けた。
『ねー、大地もそう思うよね!』
その言葉で精霊王達へと向けた彼は、たっぷり五秒掛けて言葉を吟味し、口を開く。
『...幼子以外、興味無い』
ええええええ。
『そういや大地のも大概意味不明だったわ、聞くんじゃなかった』
いやいやいやいや、ちょっと待って、何これ。
落ち着け私、ビークールビークール。
とりあえず整理しよう。
赤、筋肉馬鹿
青、女性カップル推奨派
茶、幼児好き
白、男性カップル推奨派
黒、既に見た目がヤバイ
緑、唯一マトモそうだけど多分まだなんかある
「ロクな奴が居ない...!」
思わず口からそんな言葉が飛び出してしまったが仕方ないと思う。
そんな私を、緑の幼女が指差しながら呆れたように告げる。
『ほら、賢人にまで言われてるよ』
『え?』
精霊王達の視線が一気に私へ集まり、どの人へ目を向けても視線が合ってしまって、それにも気付いた王達がぱちくりと目を瞬かせた。
そして、暫くの沈黙の後、え?という王達の呟きが綺麗にハモった。
「......旦那様?」
次いで、怪訝そうに私を見る執事さんに、自分がやらかした事に気付く。
あ、やべ。
五分くらい黙り込んだ挙句突然なんか妙な事呟いたように見えたんだろう。
不審者である。
えっと、うん、よし、こういう時はスルーだ!
「......仕方ない。アルフレード、茶菓子を六人前用意しろ」
「...理由をお伺いしても宜しいでしょうか?」
怪訝そうに尋ねる執事さんの視線が痛い。
デスヨネー。
まあ今はとりあえず、簡単に説明しておこう。
「...精霊の王が来訪されている」
「なんと...!畏まりました、すぐにご用意致します」
言った途端に納得されてしまうこの虚しさは一体どうしたら良いんだろうか。
そんな私の感情はさておき、執事さんは慌てた様子もなく、しかし素早く、執務室から去って行った。
「なるほど、それで俺は圧迫感を感じた訳か。納得ー」
「む、シンザ、どこへ行く?」
なんか突然、空気と化していた隠密さんが移動を開始しようとしたので慌てて止める。
出来れば一人にして欲しくないんで、一緒に居てくださいお願いします。
「旦那サマに害は無いみたいだから、とりあえず今日は持ち場に戻りまーす」
私の気持ちなど察する事も無く、なんの問題も無いよね!とでも言いそうな声音と雰囲気で、隠密さんはキッパリと断言した。
...あ、ダメだこれ、行く気満々だ。
私完全に丸投げされてる。
いや、うん、まあ隠密さんが、自分此処に居てもしゃーないやろ、と判断しても仕方ない。
だって相手は精霊王だし見えないし。
...うん、仕方ないね。
「...そうか、ではまた明日」
「はーい、またねー」
一瞬で遠くなって行く隠密さんの気配に物悲しさを感じながら、そっと視線を精霊王達へと戻すと、緑の幼女がツカツカと詰め寄って来た。
『.........ねぇ賢人、もしかして、ずっと見えてたし聞こえてたの?』
『見て見ぬフリとは悪趣味だな』
次いで不愉快そうに黒いオッサンが呟く。
「...申し訳ない、どういった対応が正解なのか、思案している間に口を挟めなくなってしまってね。
やはり見えないフリをするべきだっただろうか」
とりあえずでそんなセリフを口にしながら、顎を掴むように右手を当て、緩く頭を横へ傾ける事で思案しているような仕草を見せた。
『いやいやいやいや、ちょっと待って、なんで見えてるの?』
「それについても申し訳ないのだが、私には分かりかねる」
焦る幼女に、キッパリとそれだけを返す。
理由なんてこっちが聞きたいよ!
ていうか、今この幼女を目の前にして気付いたんだけどさ。
「ふむ、不躾な問いなら申し訳ないのだが、貴殿は何故少女の格好をしているんだね?」
『ぅえっ!?なんでワタシがオスだって分かったの!?』
効果音を付けるなら、ガーン!だろうか。
そんな音がしそうな程、幼女、いや、彼は驚いた様子を見せた。
............うわあ、マジで男の子だった。
賢人の鋭過ぎる勘からそんな感じがするなあと確認の為聞いてみただけだったけど、うん、鋭過ぎるよコレ。
なんで当たるんだよ、当たって欲しくなかったわ。
「強いて言うなら骨格、だな。何故少年のものなのか、聞いても?」
何となくでーす!なんて言える訳も無いので、とりあえず無難な返答を返す。
『ワタシ達精霊は、服装や髪型は自由自在だけど、生まれた時の容姿からは変えられないの。
ワタシは残念ながら少年型で発生しちゃったのよね』
簡単にそんな説明をした後、彼は、心底残念、といった様子で溜息を吐いた。
「...なるほど、それは確かに残念だな」
別の意味でも色々と残念だ。
絶対美少年だろうに何故女装に目覚めてしまったのか。
いや、うん、世の中の女装家さんを悪く言うつもりは無い。
だってそれは個人の趣味であって、私がどうこう言って良いものじゃない。
ただ一言だけ言うとしたら、
『でしょー!?まあ、ワタシがオスでもこれだけカワイイし、似合ってるからオッケーかなって!』
「そうかね、納得したよ」
キャラクター濃ゆ過ぎだろ、このメンツ。
赤、筋肉馬鹿
青、女性カップル推奨派
茶、幼児好き
白、男性カップル推奨派
黒、既に見た目がヤバイ
緑、女装男子 ←new!
.........何これ、どうしたらいいの、マジで。
キャピっ★なんて効果音がしそうな程カワイコぶる緑の彼を眺めながら、そんな事を考えた。
『今までの賢人でも誰にもバレなかったのになー、キミ凄いね!』
『よーし!じゃあ賢人!筋肉比べ合おうぜ!』
『フハハハハ!この我が挨拶に来てやったのだ!有り難く思え!』
『のう、賢人、お前の周りに可愛らしい女子は居らんのかえ?』
『あの~、賢人さん、貴方は受け、攻め、どっちです~?、わたくし的には是非リバーシブルをオススメしたいんです。だって二度美味しいんですよ~!』
うん、とりあえず、一個良いかな。
「すまないが、どこから応えていいか分からん」
緑の子はともかく、赤いの脱ぐな暑苦しい、黒いのはちょっと黙ってて音量でっかい。
青いお姉さんもちょっと黙ってようか、何を真顔で獲物を探してるんだ、本人もソッチなのか分からんが止めろ。
白いお姉さんは、ごめんちょっと何言ってるか分からない。
うけ、とか、せめ、とか言われても野球詳しくないんだよね、私。
いや、言動から考えても絶対野球関係無いだろうけどな!
なんだっけ、こういう人、あ、ダメだ、思い出そうとして麩菓子しか出て来なかった。
現実逃避だね!
とりあえず、なんか私の勘がめっちゃ必死に、考えるのやめとけ!って言ってるから考えない!
「旦那様お待たせ致しました、紅茶とフィナンシェで御座います」
執事さんナイスタイミング!
「ご苦労、テーブルへ」
「は、畏まりました」
執事さんがセッティングしていく様子を眺めながら、ふと気付いた。
「...ふむ、このままでは私が独り言を喋る道化の様相を呈してしまうな...アルフレード」
「畏まりました、わたくしは御前を失礼させて頂きます、何かあればベルを」
「...あぁ」
個人的には変な奴になるけど気にしないでね!って言いたかったんだけど、どうやらそれは察して貰えなかったらしい。
出来れば一人にしないで欲しかった。
でも今更訂正するのもなんかアレなので、仕方無く諦めようと思います。
頑張れ私。
「さて、茶と菓子を用意させて頂いた。摘みながら歓談と行こう」
『わーい!こういうの食べてみたかったんだよね!』
『おぉー、これが菓子か』
『甘くて美味いと聞いておるぞ!』
嬉しそうな王様達が思い思いにお菓子を摘む様子を眺めながら、自分も来客用のソファーへと腰掛けた。
そんな感じに茶菓子で釣った精霊王達が言うに、勝手に部屋に上がり込んでいた理由なんて特に無かったようです。
強いて挙げるとするなら、私の魔力が隠蔽されているようだったから、上限は一体どの位なのか、とか、そういった事が気になったらしい。
うん、隠蔽してるつもりとか無かったけど、どうやら隠蔽してたらしいです、私。
「すまないね、私自身も己の魔力がどの位なのか、余り理解出来ていないのだよ」
『そりゃそうだよねー、なんだっけ、勇者が持つ技能で、鑑定、だっけ?相手の力量とかそういうの調べるのがあるんだけど、ソレ持ってたら少し違うんじゃないかな』
「ふむ、なるほど」
色々気になる事があるけど、とりあえず一個言いたい。
勇者とかいるの、この世界。
『しっかし、隠蔽してそれって、アンタものスゲェ魔力総量なんだろうなぁ!力比べしてぇ!』
「それに関しては、相応の場を用意する必要があるな。今は無理だ」
『くっそー!なんでニンゲンの国ってこんな脆くて面倒くさいんだ!』
『仕方ないだろう、炎の。
賢人とはヒトの営みの中より生まれ、それを見守る存在なのだ。
我等のようで、我等とは違う、まぁ我程に特別な存在では無いがな!クククッ、ふははっ、ハァーっハッハッハ!』
『はいはい、闇のはうるさいからもう少し自重してよね。』
見事な笑い声三段活用を見た。
暫くそんな風に和やかに歓談し、茶菓子を堪能した精霊王達は、各々好き勝手になんか言いながら消えていった。
内容はまた来る!とかそんなんばっかりで全く中身が無かったから覚えてない。
いや、検索したら全部の会話思い出せるんだろうけどしないよ。
.........なんだったんだろうね。
まあ、精霊の王様なんだからと、とりあえず敵対はしないようにした方が良いよね、と判断して頑張って持て成した結果、まあ、なんかよく分からないけど適度に気に入られたような、多分そんな感じになった事は理解出来た。
だがしかし、明日にもパーティが控えてるのに、余計に気疲れしてしまった気がする。
ホントは寝る前に書類の続きしたかったんだけど、なんかもうそんな気も起きないし、とりあえず、寝ようと思います。
そして私は執事さんに後片付けを指示し、寝室へと向かったのだった。
うん、なんか疲れた。
ロクな奴がいないお!