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まだ暑くない早朝。畑で農作業を行う。メインは一族内で儀式や仕事で使う術具を作成するための素材を作っている。ぶっちゃけ薬草関係である。
サラリーマンの父が生活に必要な外貨を稼いで母親が畑で薬草関係をつくっている。以前は、無償で行っていたのだが現在は納品した薬草の質によって報酬があるので経済的に余裕がで来はじめてきたのとやる気が出て良質なものが出来はじめている。
元々報酬が出ていたはずのものが出ていないというのをどのような経緯で知ったのかは謎だが、当主が気づき関係者を探ったところ着服しているのがわかったとの事。今まで未払いだったものを分割で払うということで話が決まったらしくうちのように素材を扱っていた家々からは嬉しい声が上がり当主の株は上がった
うちは100坪の畑を3つ有しているので祖母・母がメインの畑を管理している。1つは子供が好きなようにしていい畑としているので好きな野菜や何となく興味があって育ってている野菜や果物を植えている。
兄姉のなかで畑作業をしているのは、家を継ぐ長男と私だけであり10才離れた長男は高校生で継ぐために大学進学をしなくてはいけないので、ほぼ私の畑となっている
昔は良く利用した空間を制御する術に使う為の香料がとれる花や自分が食べたい果物の世話をしながら口ずさむのは豊作を祈る祝詞。祖母の真似をしている風を装い逆行前に使っていたものを唱えている。豊作祈願の行事に覚えたものであるが、特にみそぎを行ったり力を発生させる手順をしていないために効果は微妙である
まあ、お遊びの範疇で行っているものなので誰も気づいていないだろうし、気づいても祖母の真似をしていて意味を理解しているとは思わないだろうから微笑ましい。そう思われるだけだ
7時の鐘がなり家に帰って登校の準備をする。姉たちがぞろぞろ起き出してマイペースで準備をしている
逆行前は、本家で巫女としての修行をしつつ空いた時間で家庭教師がついて勉虚していたので学校というものに新鮮味を感じるし集団で勉強するというのも楽しく感じる。個別勉強はわからないとそこを集中して教えてもらえるが集団だとそうはいかないが、そこら辺は先生に授業後に聞いたりして努力すればいいのだから問題ない。というか、前は基本中の基本しか習っていないので基礎以外の事を学ぶ事が楽しく感じる
体育もあらんかぎりの体力を使って体を使うのも楽しい。昔はこうは出来なかった。巫女としての体裁もあるので静かに動くことを指導されていた
今はそんなことは関係なく好きなように行動できるため自由を満喫する。それにともない怪我をしてしまっても自己責任であるるから問題ない。怪我と言っても擦り傷・打撲という可愛い怪我なので手足には絆創膏がついてない日はない普通の子供である
夏休みになり朝は畑と宿題。昼間は友達とプール午後は昼寝と涼しくなったら畑をチェックというローテーションをするとある日に兄が友人をつれてきた。
ハンカチから香る臭いに目をつけてきた術者の息子から声をかけられたと以前兄がいっていたことがあり、その人がしつこいのでつれてきたと説明してくれる。ポプリに使ってるはなの中には場を浄化したり自分に有効に動かす効果があるのを少し混ぜている。大部分はリラックス効果と悪意が近づかないような効果がある花や薬草を混ぜているのだが
「ふーん。この子がね」見下したようにして言われてしまったのがムカつくが偶然で作ったと思われているのだろう。そう思われていた方がいいのだが、なんかムカつくので兄の後ろに隠れてる
「うん?」といいながら人見知りを発動したと思っている兄
「人見知りでね」と隠してくれながら畑を見せている
「ここは俺らが好きにしていい畑。薬草とか各自興味があるのを植えて育てているんだ」説明している。術者の方は花や精神面で効果が出る薬草を見ている
「やけに特化している場所があるな」といっているのをみて
「ああ。一部は親が試作として育てている場所もあるからな」と軽く流している兄の説明で納得している
「発注をかけることは?」そう聞いてきた術者に
「いっただろお試しだと。発注がかかっても出荷出きるほどつくっていない。そもそも薬草をメインにしているからなうちは。花とかは装束とか接待とかそっち関係だろ」
無理だとはっきりいわれて少し考えているようだ。場を清める為の薬草はこちらの分ではあるが、花となれば違ってくる。育てるノウハウだって違う。
視点んとしては間違っていない。ふんわり薫る匂いで一時的に場を清めたり小さな力で日常的に浄化が出来れば大祓いという面倒な事をしなくてもいい場所が出てくるだろうというか、結構な数ある
そこに着目できるのだがら優秀と言われるだけある。
まあ、協力はしませんが。
朝の鐘がなったのでご飯だ!!と出していた農具を片付けに小屋に向かう私を見送りながら兄は術者となにか話し込んでいる
朝食も一緒にとって夏休みの勉強をしている私たち姉妹と友達が見える範囲でまだ交渉をしているのを見ると切羽詰まっているのか?と思ってしまうが、畑にあるのでは質からみても数からみても漏れ聞こえてくる範囲には到底足りないと思うが・・・
可能性を示す。その程度だけなら十分である
「それほど必要なら花を扱っている家に問い合わせて確認すればいい。多少ならば扱っているだろうし。売れると知れば作付本数も増やしてくれるだろからな」提案をしてみる兄になにかいっているが詳しい話しには興味はないし。勉強を終えたらプールが待っているので勉強に集中したいと思います
日課のドリルを終えて採点をしあい間違ったところをやり直しているとプールの時間である。勉強終わったとテーブルを片付けて兄に声をかけてみんなであそびにいく
プールから帰ってくるとまだ、交渉しているのが見えるが兄にご飯と声をかければ昼御飯を出してくれる
母や祖母も畑から帰ってきたので交渉を中断したのは言うまでもないが、そこまで熱心に交渉してもない袖は降れないのが現状である
ちなみに母にも食後同じような事を言われているが、大人の話しは聞きたくない年頃のようで嫌な顔をしている
迷惑極まれない
そんなことを持っていても体力的に限界なので涼しいところで昼寝タイム。いつもは兄や母にくっついてお昼ねだが、知らない人がいるので隅っこに移動する
分裂した守り神も隅っこに移動して一緒にお昼寝をし始める
ちなみにうちのご神体は蛟でありワンコと蛇さんが一緒に昼寝をしてると見える方には見えるだろうが、ここには見える人がいるわけでもないし私が使役している訳ではないので、気に入った人間についている程度に見えるはずである
2時間ほど寝て起きてもなお交渉中であるが兄は飽き飽きしている様子だ。私が起きたのに気がついて水を渡してくれる。飲み終えたコップを台所においていつも通りに本をもって涼しい場所に座ると
「いい加減にして欲しい」そう言って交渉の場を離れて隣に座る。両親が忙しいので音読の宿題は兄が見てくれるようになているので教科書を持っていくと音読に付き合ってくれる
夏休みは毎日1ページの音読をするようにと宿題が出ているので今日の文を読み始める。わからない漢字を教えてもらいながら音読をゆっくりしている私に付き合いながら何を考えているのだろう。そこまでは読み取れないが、しつこい交渉はうんざりのようだ
音読を終えて術者の存在を無視しながら勉強を始めた兄のそばで自由研究を作り始める。
兄のそばで解体した牛乳パックを半分にカットして三角の形にして組み合わせると椅子になる。上下に蓋をつけて上の部分に座ってもいたくないようにクッションをつけて外壁は使わない布切れを張っていけば完成という時間がかかるが簡単というものだ。
困ったら兄に聞きながらもくもくと作っていく私と時おり状態を見守りながら勉強している兄。その空間に文句も言えないで見ているだけの術者というなんとも言えない状況が出来上がっているが、私的に別にどうでもいい術者だし兄的にはすでに話が終わっているらしく存在すら認識していない。
それを認めて帰っていけばいいのにそうしないのは意地になっているのだろう。引くべき時を知らないというのもどうなんだろとは思うが、そういう状況になった事がないのなら納得できる。
集団生活で身に付くそういう技術を取得できなかったのはかわいそうだが、学生の時分でわかってよかったのではないかと思いつつ兄に右ならえで無視しておく