脱出
「馬鹿か君は!それでなんの解決になる!」
「全く馬鹿げています。なんなんですかハルカワさんといい。なんで昔の人はこう簡単にすぐに死のうとするんですか、それで責任を全うしたつもりですか?
いいですか、死後の世界も生まれ変わりも断じてありません。だから自殺なんて論外です」
「どうしてここに?」
「あぁ、私は少し前に来ていましたよ。でも、止める術がないから見ていました。」
「私は恋歌の天技でだ、いや、ほんと便利な天技だよね。」
「ざけんな、さすがに、こんな距離の瞬間移動は、むちゃくちゃだ。頭もぐるぐる、体も最悪なくらい痛いぜ。」
「でも、やればできたじゃないか」
「愛の力だ。おい、レッカ、お前、私の面倒死ぬまで見るんだろ!勝手に死のうとするんじゃねぇ!」
「あ、あなたたち何を!いい、私が死なないと、この船は、」
その時だ、船の周りに貼られたバリアが消失し、急に風が流れ込んでくる
「冷っ!」
「まぁ、この高度ですからね、動力炉が力を失えば当然こうなりますわね。」
「動力炉、どうして?」
「少年の吉備団子は結構前に使ったんだけどね。どうも効きが悪くてね。」
「おそらく予備電源に切り替わったんだろ思います。この規模の宇宙船ですからね。
遺跡で奥までウイルスが効かなかったのと同じ理由だと思います。」
「で、今その予備電力がつきかけていると」
「はい、ですからまもなく落ちますよ。」
葵は軽いノリで言うが、これはまずい状況だ。
「とりあえず、説教はかえってからだ少年。バイクもさっきの瞬間移動でおいてきた。走って脱出するぞ。」
「全く、君たちは本当に頼りになるね。」
「だろ、ほら、あんたも、」
恋歌はサクヤに手を差し伸べる。
「私は、」
「いいから早く、あんたは恋敵になるかもしれないけど今はとりあえず、脱出するぞ。」「でも、」
「うるさい!あんたに死なれるとレッカが落ち込むからな、」
「そうだね、いっつも寝言で君の名前を読んでいるからね、ちょっとした病気さ、」
「な、俺はそんなこと言った覚えは」
「私も聴いてるぞ、そりゃ寝言だから本人は覚えていなだろうよ。ま、そのうち私の名前に変えるけどな。」
「とにかく今は脱出するぞ。」
「あのーお気の毒ですけど、たぶん電源も切れているでしょうし、推察される落下時刻を考えると、おそらく飛行機の場所まで間に合いません。」
「マジかよ。」
「恋歌どうだい、もう一回くらい行けるか天技」
「いや、あれはあくまでレッカがここにいたから出来ただけで、地上に飛ぶのは無理だ」
「というわけで。さっき急ごしらえで作ってきました、これです!」
そういって葵は、到底大丈夫とは思えない背中にしょったものから、質量が合わない翼付きのエンジンを展開する。
「何これ?」
「飛行機簡易版です。着地のことはあんまり考えてませんけど何よりましかと。」
「これで5人分の体重を支えられるのかい?」
「さぁ、実験していないのでなんとも。とりあえず、まずはやってみようで、」
「ま、迷っている時間ないし、とりあえず、そんときは何とかするかね。」
レッカは少し笑いサクヤの手を取りながば強制的に引っ張っていく
「ちょ、ちょっと」
「大丈夫、ピンチなのはいつものことだよ」
「ほら恋歌、私たちも、」
「仕切るな、私が内側だ。」
双葉と恋歌も、葵の出した持ち手をレッカとは反対側を掴む
「まぁ、重さ的にもバランスがいいかと」
「おい、ちょと待て、メガネちゃん。今どういう計算をしたどう考えても少年が一番重いだろ。」
「まぁまぁ、そこらへんは、おっと、」
そんなことをしているうちに今度は下に落ちている感覚が襲う。
「とりあえず、今がどこら辺にいるかわかりませんけど、下が落ちても大丈夫な場所であることを祈りましょう!」
5人は葵の掛け声とともに宙に飛び出す。
大丈夫だから、絶対に離さないから安心して。
レッカはサクヤに嬉しそうに語りかける。




