第1話 私は・・・
第一話
「ハァ・・・一応は天使だっつーのに、こんなクッソ忙しいの何とかなんねーのかよ・・・」
「まぁまぁ、この頃は少し忙しいですけど、いつもはこんなに忙しくないですから、確かに天使になって早々にコレはキツいですけど、少しすればおさまりますし、慣れればこんなの大丈夫ですし、少しの辛抱ですよ」
エリスが励ましてくれるが、最早そんなの嘘としか思えなかった
え?何故かって?馬鹿なことを聞くな、こんな忙しいのがもう3週間も続いてるんだ、信じられるはずが無いだろう?
「ハァ・・・」
俯いて再び溜息をつくと視界に見慣れた靴が見えた
「おや、奇遇ですね、こんなところで会うなんて、どうですか?天使の仕事は。」
“天使“私は運命使い。運命使いの事をここでは天使というのだ。
天使と言ったって、天界にいる訳でもなければ、頭上に光の輪ができるなんて事は有るはずが無い。
運命使いという名の通り、人々の運命を指示通りにたどらせているだけ。
私たちには報酬も何も無い。ただ有るのは虚無感だけ。運命使いなんてそういうものだ。
じゃあ何でそんなつまらないことをしているのか。
簡単な事。私には他に行く場所が無いから。
「大変ですけど、別に大丈夫ですよ、私には他に居場所が無いんですから。」
ニッコリ笑って本心を悟られないよう言葉を続ける
「今日の仕事はもう終わりですか?」
「はい、もう今日は終わりだと思いますよ、今のところはね。」
この人もまあ性格の悪い者だ。まあ私の言えることではないが。
「そうですか、ありがとうございます。それでは」
そういうとすぐさま寮に向かって足を運ぶ。
部屋に着くと、大きく伸びをして窓の外に目を向けた
「はぁ、もうそろそろ日にちが変わるよ・・・どんだけ仕事多いんだよ」
「お疲れ様です。明日も頑張りましょうね」
ベットに寝転がり、目をつむる
いつのまにか私は深い眠りに落ちていた