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天使化計画  作者: 竹白恵
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一章

 一章


「は、は、……はっ」

「はくしょん?」

 言葉に詰まっているレオンに、少女は首を傾げながらそう言った。

 紫色の瞳に見上げられている。

 近い。

 またぼっと顔が赤くなるのを感じた。

 そりゃそうだ。レオンは少女をしっかりと腕に抱きとめていたのだから、レオンよりも背が低いこの少女はこうやって見上げるしかないわけで。

 頭を沸騰させつつレオンはぶんぶんと首を振って少女をやや引き離し、少女の華奢な肩に手を置いて先ほどの言葉を否定した。

「違うっ、そうじゃなくて! 羽だよ羽。――きみの背中の翼はいったいなんなんだっ?」

「翼?」

 少女が眉をひそめる。

「わたし、翼なんか生えてない」

「え、でも今確かに――」

 背中に、とレオンは言いかけて、少女のそこに翼などないことに気が付いた。

 改めてよく見てみれば、どこか少女の格好は普通ではなかい様子だった。大昔の人々が着ていたような粗末な麻の服に、伸ばしっぱなしの結っていない髪。一応汚れがないよう小奇麗にはしてあるものの、服はぼろぼろの破れるままにしてあった。

 人体実験、という言葉がレオンの頭の中をよぎる。

 そうだ。

 この少女は転送陣から出てきたのだ。魔法使いたちが研究の不要物を廃棄するための、魔方陣。そこから出てきたこの少女が普通の女の子であるはずがない。

 足は裸足。

 そしてその後ろには真っ白な羽がこんもりと盛られている。

「――いや待った待った待ったっ! ななな、なんでこんなところに大量の羽がっ」

 少女の足元を指差して奇声を上げるレオンに釣られて、少女もそちらへ目を向ける。それからしばらく首を傾げ、言う。

「消えた鳥の死体事件? プチグロテスク的な?」

「いや違うだろ、鳥なんか死んでないってっ。やっぱり、きみに翼が生えてたんだろ。それが抜け落ちてこんなふうになってるんだ」

 言いながら、やはりこれは普通の羽ではない、とレオンは気が付いた。

 魔力を感じる。

 どこか懐かしい力。

 これは天使の羽なのだと、レオンには分かった。

「きみは……いったい何者なんだ? どうしておれの名前を知ってるんだ?」

 少女は答えた。

「ミレーナ」

 記憶にない名だ。というより、こんなに印象深い人物と会ったことがあるなら記憶に残らないほうがおかしい。

(いや、でもありえるかも)

 レオンは思った。

 実を言えばレオンには三年より前の記憶がない。行商で各地を回ってきたレオンだが、失われた記憶は何一つ思い出せないし、自分の知り合いとも出会ったことがない。

 こうやって各地を行商しているのは、自分の過去を知りたいから――ではなく、ただ単に日々の食事に食いっぱぐれるのが嫌だから、なのだが、過去を知る手立てがあるならばみすみす逃したくはない。

 もしやこの少女――ミレーナは自分の過去を知っているのではないかと思ったのだが。

「でもわたしあなたのことなんか知らない」

 ばっさりと言い捨てられた。

「さっきおれのことをレオンって呼んだじゃないか」

 少女がまた首を傾げる。

「レオンは昔わたしの家で飼っていた犬の名前……」

「犬かよ!」

「あなたはどちら様?」

「おれもレオンだっ」

 ……どうやらこの少女とは関わらないほうが良さそうだ、とレオンは思った。

 魔法使い関連の人物だし、特にレオンの知り合いというわけでもないらしい。さすがにこの少女を魔法使いの「廃棄物」として売り渡すわけにもいかないから、レオンにとって得はない。

 レオンはため息をついて、きびすを返した。

 少女の足元に落ちている羽をきっちりと拾うのも忘れずに。

「レオン」

 ともかく日が暮れる。今日の野宿の場所を探さなくてはいけない。広範囲に渡って建物の瓦礫が落ちているので、この付近では落ち着いて眠れそうにもない。もう少し先まで歩かなくてはならないな、とレオンは思った。

「レーオーンー」

 まあしかし、天使の羽が得られたのは幸いだ。どうせまがい物だと思われて買い叩かれるだろうが、魔力は籠もっているようだからそれなりの値で売れるだろう。盗んできたと思われたら厄介だが、そのときは、転送陣から出てきた物だ、と意味ありげな顔をして囁けば、好き勝手に解釈してくれるだろう。

「痛っ」

 後ろで声が上がった。

 レオンは思わず振り向き、裸足のミレーナが石片を踏んづけて血を流しているのを目にしてしまった。しかもだらだらと血を流しながらもレオンのあとをついてこようとしている。

 深く深くため息をつく。

「……どうしてそんな足でなんのためらいもなくついてくるんだ。せめて足元ちゃんと見ろよ足元っ。そこ動くなっ、今手当てしてやるから!」

 引き返してミレーナを座らせ、傷の具合を見た。

 傷はそれほど深くはないようだが、砂粒が傷口に残っていそうだった。

「水で洗わないと駄目だな。水は――」

 ミレーナはぶんぶんと首を振る。

「そんなものはございません」

「……だろうな」

 レオンは荷物から山で汲んできた水を取り出し、傷口を洗った。それから、このまま歩かれたのではまた怪我をするのは目に見えているので、靴を与えてやって履かせた。

 出所不明ではあるが一応ミレーナからは天使の羽を得ているので、このくらいのことは安いものだと思うことにする。

 しかしこれからどうするか――。

 人体実験を受けていたらしきミレーナ。裸足でのこのこと初対面のレオンについて来ようとしているところを見ると、常識というものは持ち合わせていないらしい。

「おまえ――いや、きみは、魔法使いどもにどんなことをさせられてたんだ?」

「家で飼われてた」

「飼わっ……?」

 ミレーナは施設で「天使化計画」の実験を受け、背中に天使の羽を移植されたことを話した。多くの仲間が死んでいったが、自分だけは天使の羽が定着しなかったため生き延びてきたことも。

 首にかけられた鉄輪と、ぼろぼろの服の背から覗く移植の痕を見て、その魔法使いたちが本気で天使を作ろうとしていたことが分かった。

「家って……、研究施設のことかよ」

 レオンは頭を抱えた。

 聞いたところ、ミレーナは自分の生まれ故郷を覚えていないらしいことが分かった。

「他人の身体をさんざんいじくり回したあげく、廃棄物として捨てるのか、あいつら魔法使いはっ」

 レオンは魔法使いのやり方に怒りを覚えた。

 三年よりも前の記憶がないレオン。

 その理由を、レオンが魔法使いの研究に使われていた実験体だからだろう、と、レオンを発見して助けてくれた恩人は話した。ミレーナのように跡に残るような傷はどこにもなかったが、自分の人生を弄ばれたということが腹立たしかった。

 しかし。

 ミレーナはレオンの言葉に首を傾げて言った。

「捨てられたわけじゃない。わたしは自分で逃げてきたのです」

「え、でもおま――きみ、転送陣から出てきただろ? あれって一人で組めるような魔方陣じゃないんじゃ――」

「知ってる。ちょっと難しかった」

 こともなげに言う。

 しかるべき場所で学べば、とてつもない魔法使いに育つのではないか、と思った。

「……ミレーナはこれからどうするつもりなんだ?」

 レオンは尋ねた。

「考えてない」

 即答。

 それから――。

「レオンがわたしに、おれについて来いとかと頼もしく言ってくれるのを期待しているところです」

 えっへんと両手を腰に当て、漂々とそう言った。

「言うと思った……」

 少々呆れ気味にレオンは呟く。

 どうやらレオンについて来たがっているらしいが、しかしレオンにはミレーナを養うだけの余裕もマゾっ気も持ち合わせていない。だから先ほどもミレーナを置いて立ち去ろうとしたのだし、正直言うと今も早く会話を切り上げてさっさと寝床を確保したい。

「決めた」

 レオンは言った。

「明日、街へ行っておれを拾ってくれた人にミレーナを会わせることにする」

「おれについて来いではなく?」

「……そこまでお人好しじゃねえよ」

 しかしとりあえずミレーナはそれで納得してくれたらしく、ありがとう、と小声で呟いて、ふわっと顔を寄せてきた。

 ほっぺに軽くちゅー。

「な、ななな、えっ、……ええええっ?」

 激しく動揺するレオン。

 全身が沸騰する勢いで身体を血が駆け巡った。何か言わなくてはいけないような気がするのだが、言葉が出てこない。片手でキスされた頬を押さえつつ口をぱくぱくさせて、わなわなと震えながらもう片方の手でミレーナのことを指差す。

 ミレーナには何故レオンがこれほどまでに戸惑っているのか分からないようで、しきりに首を傾げながらレオンの顔を見つめていた。

 レオンは叫ぶ。

「ミレーナっ! うかつに人にちゅーしてはいけませんっ」

「……? 嬉しいときはこうするって教わった――」

「誤情報ですっ」

 子供に教え込むようにびしっと人差し指を突き出して、レオンは言った。

 おそらくはこれも施設で魔法使いに刷り込まれたのだろう。軽い冗談だったのか、あるいは本気でミレーナにキスしてほしかったのか――その意図は不明だが、街で他の誰かにやったりしないで本当に良かった。街には大いに勘違いしてくる輩もいるので、そういう期待をさせる行動は控えさせなければならない。

 ……実は少し嬉しかった、ということはミレーナには内緒にしておいた。


 ***


 自分の分と、ミレーナの分の寝床を探してやって、その夜はぐっすりと寝た。

 夜が明けてからミレーナを揺り起こし、街へ向かった。山を歩くのは慣れていないだろうに、ミレーナは文句も言わずについてきた。

 ――昼過ぎに、ユシュの街に着いた。

 アヘル王国の、片田舎の街だ。ユシュの実が名産なので、街の名もユシュという。

 ……いつもなら難なく通り抜けられる街の門を、人々から奇異な目で見られつつくぐる。

 無理もない。ミレーナの格好はどう見ても物乞いか奴隷の格好だったし、その上白い髪に整った顔立ちは人目を引いて仕方がない。さらにそんなミレーナを連れているのが弱齢で奴隷など扱ったことのなさそうな――実際扱ったことなどないが――レオンなのだからなおさらだ。

 予定ではミレーナを待たせて先に品物を売り捌いてしまうつもりだったのだが……、じろじろとこちらを見てくる無遠慮な視線にレオンは耐えられなくなり、足早に市街を通り抜けてとある建物に入った。

 からんからんと鈴が鳴る。

 足を踏み入れたとたん、びっ、と首元に剣を突きつけられた。

「何者だ」

 鋭い眼差しを受け、レオンは静かに両手を挙げた。

「ミヤビさん……おれだよ、レオンだっての」

 相手を刺激しないようにそろそろとその人物のほうを振り向き、そう言った。

 黒髪の美女がしかめ面でこちらを睨んでいた。

 レオンの言葉にその人物――ミヤビはずいっと顔を近づけてくる。細めた目をさらに細めて、じーっと、こちらを見てきた。

 ……ミヤビはかなり目が悪いのだ。

 しばらくまじまじと眺め尽くされてから、レオンはやっと認識されたらしく、首元から剣を下ろされ、解放された。

「なんだレオンか。久しぶりではないか。来たのならさっさとそう言えばいいものを」

「……名乗る前に剣を突きつけてきたのはどこのどいつだ」

「私だが」

「…………」

 しれっとして言うミヤビにレオンは何も言えなくなった。

「レオン、レオン」

 くいくいっとミレーナに服の袖を引っ張られる。

「ん?」

「この人が昨日言ってた恩人?」

 その言葉でやっとミヤビはミレーナの存在に気が付いたらしく、今度はそちらに顔を寄せて見つめた。

 じー。

「……?」

 じぃー。

「…………」

 じぃいーっ。

 長いな、とレオンはミレーナに同情した。

 ミヤビは見覚えのない人物を見るときには、知り合い相手のときよりも長く、人相の悪い目で――目が悪いくせに、なんとなく自分の仲間でないことが分かるらしい――じーっと睨んでくるのだ。

 レオンも各地を行商していてなかなかミヤビとは顔を合わせないため、しょっちゅう顔を忘れられるのだが……、それにしても今回はやけに長く見ているなと思った。

「……見ない顔だが」

 散々に眺め尽くしたあとにやっとミヤビはそう言った。

 よほどミヤビのしかめっ面が怖ろしかったのか、ミレーナはミヤビの視線攻撃から解放されるとすぐさまレオンのうしろに隠れてしまった。

「昨日おれが山で拾ってきたんだ。訳ありみたいだから団長に引き合わせて助けを請いたい」

 ずざざざっ、と。

 何故だかミヤビが壁際まで後ずさった。

 信じられないことを耳にした、という表情。ミヤビがこれほどまで驚いている表情を見せるのは初めてのことだった。

「あの……、ミヤビさん?」

 はっと我に返るミヤビ。

 建物の奥へと駆け出しながら、言う。

「わ……っ、分かった、団長に連絡を……すぐに呼んでくる……!」

 さらに、そこを動くなよ、絶対に逃げるんじゃないぞなどと念を押された。

 呼んでくるということは団長はここにいるのだろうか。

 各地を回っている団長へは、魔法で言霊を送ることはできても、そう都合よく特定の場所へ今すぐ来いなどと言えるはずがないのだ。

「えっと……」

 レオンはぽりぽりと頬を掻いてミレーナに言う。

「あれはミヤビさんといって、おれの恩人だけど昨日言ってた人とは違う人で……、これから言霊でその人に連絡を取って居場所を聞いて、船を借りてこっちから訪ねに行く予定だったんだけど――」

「だったら連絡を取ればいいのに」

「馬鹿。ミレーナでもあるまいし、言霊の魔法なんて一人で組み上げられるかよ」

 それにどうせ船だって借りなくてはならない。

 街には船を貸しているところもあるが、レオンのような子供が――レオン自身は、自分は立派な商人だと思っているのだが――借りられるような船はここにしかない。ここの者はレオンの操舵の腕を知っているので信用してくれる。

 しかし今は――ミヤビに置いて行かれてしまったので、どうしたものかと頭を悩ませているところだった。

 魔方陣を組み上げるための部屋は分かっているから、そちらへ向かったほうがいいのだろうか。……しかし、ミヤビにはここを動くなとも言われた。今日はたまたま団長がここにいて、ミヤビがそれを呼びに行ったのだとすると、レオンが勝手に動けば入れ違いになる可能性もある。

 と、そんなふうにレオンがあれこれと考えていると――。

 キィィン、と空気の割れる音がして、転送陣がレオンたちの目の前に現れた。

 そこから何者かが出てくる。

 ゆるく巻かれた黒髪を背中のほうで無造作に束ねた女性。燃えるような緋色の口紅を引いていて、露出度の高い――やや派手な服もあつらえたように似合っている。

 ――海賊「クロネコ」の団長、ベリンダ。

 ベリンダはレオンの姿を認めると、一瞬、口元に蠱惑的な笑みを浮かべて――。

「や~ん、レオンちゃん久しぶり~っ」

「ぶっ」

 ……がばっと、レオンに抱きついてきた。

 わざとやっているのか、固く抱きしめられてこれでもかと言わんばかりにぐいぐいと胸を押し付けられる。ベリンダはレオンよりも頭一つ分ほど背が高いので、ちょうど、胸がレオンの顔の位置に来るわけで。

 顔は赤くなるわうまく喋れないわで、嬉しいんだか嬉しくないんだか――いや、やっぱり嬉しいような、いやしかし鼻も口も塞がれていて息ができないというのは少々困りものだ。

 しばらくもがいたのちになんとか顔を上げたレオンは、ベリンダに言った。

「な……なんで団長が転送陣から出てくるんだ……っ!」

「そりゃあ、レオンちゃんが可愛い女の子を連れて来たとあっちゃあ、帰ってこないわけにはいかないじゃない? 船は副ちゃんに任せてこっちに駆けつけたってわけよ~ぉ」

「副団長に?」

 やはりベリンダは他の場所にいたらしい。

 どうやら船で移動しているところだったらしいが、船には転送陣を組めるほどの人員は乗せていないはずだ。魔法使いというのはどこの機関からも引く手あまたの職業なので、わざわざ海賊になりたがる者はいない。

「……まさか団長、自分で転送陣を組んでここに来たって言うんじゃねえだろうな」

「あらご明察」

 レオンの言葉にベリンダはさらりとそう言った。

 ため息をつきつつ、レオンは心の中でミレーナをここにつれてきたのはやはり正解だったと思った。

 こんなことを平気でやってのけてしまうのは、ベリンダが王都の魔法学校を最優秀の成績で卒業したという経歴を持つからだ。

 ベリンダの過去は有名だ。

 魔法学校を卒業したベリンダは、不老不死やら魔法兵器の開発やら、いかがわしい研究をしていると噂の魔法使いたちに付きまとわれ、研究への協力を強要されたという。

 街々で魔法使いたちと魔法戦を繰り広げつつ逃げに逃げ、最終的にベリンダは魔法使いたちをえげつない魔法で退けたのだが、そのときにはもう各地にベリンダの悪名が轟いていた。

 というのもベリンダと魔法使いたちは街を破壊するような戦い方をしていたため、ベリンダの通ったあとには瓦礫の山ができたからだ。

 広まってしまった悪名のおかげでまっとうな仕事にありつけなくなってしまったベリンダだったが、幸いにも――あるいは不幸にも、ベリンダは各地を逃げ回っているうちに人から物を奪う技を身に付けていた。

 ――そして現在に至る。

「それで、レオンちゃんの彼女っていうのがこの子?」

「そうそう……いや、違えよ、なんだよ彼女って。おれは大してミレーナのことが好きなわけでもないし――」

「へえ。ミレーナちゃんね? やーん可愛い~」

 がばっ。

 今度はミレーナが被害を受けた。

 ベリンダに抱きすくめられたミレーナがじたばたと暴れたが、火に油を注ぐというかなんというか……、ベリンダに「なにこれ、なんなのこの可愛い生き物っ」とますます強く抱きしめられる羽目になった。

 なにやら気の毒になってきたのでいい加減二人を引き離そうかと思ったところへ、どたばたと騒がしい足音が複数聞こえてきた。

「逃げてないだろうなレオン!」

 ……ミヤビが戻ってきたのだった。うしろに、レオンが連れてきた少女――ミレーナに興味津々の、団員たちを引き連れて。

 ベリンダはミレーナを抱きしめたままミヤビたちのほうを向き、形のいい笑みを作って言った。

「んふふ、久しぶりじゃないのあんたたち。私とレオンちゃんとミレーナちゃんの感動的な対面に水を差してくれるとは、なかなかいい度胸なんじゃない?」

「も、申し訳ありません!」

 一同が一斉に頭を下げた。

「まあ今回はミレーナちゃんがとてもとても可愛いので許してあげましょう。ミヤビ、私たちは客間に籠もるから、出てくるまで呼んじゃ駄目よ。いいわね?」

「客間……ですか?」

 ベリンダの言葉にミヤビが戸惑った声で聞き返した。

 レオンも少し疑問を持った。

 普段ならば身内をここの客間に通すようなことはないのだ。

 ベリンダの方針で、レオンは今まで一度もベリンダたちの海賊行為に加わったことはないし、一年ほど前からベリンダの元を離れてもいる。しかし、レオンはベリンダやミヤビたちのことを家族のようなものだと思っているし、今も変わらずに自分もここの一員だと思っているし……客間に通されるとは少々心外だ。

 ――そんなレオンの不満げな様子を察してか、ベリンダはレオンに笑いかけて言う。

「そんな顔するんじゃないわよ。私は今もレオンちゃんのことをできの悪~い弟みたいに可愛い子だと思ってるんだから。誇っていいのよ?」

「その言葉のどこに誇れる要素があるんだよっ」

「……レオンは可愛いって」

「ミレーナ、それフォローになってない!」

 レオンがベリンダに抱きしめられたままのミレーナを指差してそう言った。

 ミレーナはものすごい姿勢になってこちらを向いていたが、抱きしめられていること自体は気にしていないようだった。……なんとか喋りやすいように身体の向きを変えようと試みているらしく、まだじたばたとベリンダの腕の中で暴れていた。

 ベリンダは言う。

「まあ、正直私にはレオンちゃんがどんな話を持ってきたのかはだいたい想像がついちゃうんだけど……あんまり他の子に聞かれたくない話をするんでしょう? だったら可愛くてできの悪~い弟のためだもの、私だって客間の一つや二つや三つや四つ、気前良く貸してあげたいじゃない?」

 くるり、とミヤビたちのほうを振り向き、にっこりと笑う。

「そういうわけだから、あんたたちは今すぐ下がんなさい。覗いちゃ駄目よ?」

「はい……」

 ミヤビたちは少し残念そうな顔をしていたが、それ以上何も言わずに素直に引き下がって、自分の持ち場とへ戻っていった。

 レオンたちは、ベリンダがこうやってにっこりと形のいい笑みを作っているときの命令は、絶対に厳守しなくてはならないものであるということを知っている。

 もちろん、守らなければどういう目に遭うのかというのも。

 ――皆が見えなくなってからようやく、ベリンダはミレーナを解放した。

「ありがとう」

 ミレーナが何故かそう言った。

「どういたしまして。……悪趣味な装飾品ね。あとでミヤビに外させるわ」

 じゃらっ、とミレーナの首枷の鎖を持ち上げてベリンダはそう言った。

 どうやらベリンダがミレーナのことをずっと抱きしめていたのは、皆にこの首枷が見えないようにするためらしかった。

 首枷をくるっと回して鎖がつながっている部分を髪の毛の後ろに隠す。長い鎖は服の中へ。

 これなら一見すると首飾りに見えなくもない。

「それじゃあ、行きましょ?」

 ベリンダがそう言って、三人は客間へ向かった。

 海賊クロネコでは他の海賊と協同して海賊行為を行うことがあり、そういったときにこの客間を使って事前の打ち合わせなどを行う。

 ――というのも客間にはベリンダの魔法によって結界が張られていて、扉を閉めると外に音が漏れないようになっているからだ。扉をもう一度開けると結界が壊れてしまうのでベリンダが不在の時にはあまり使わせたがらないのだが、今回は当のベリンダが一緒なのだから問題ない。

 客間に入り、扉を閉めた。

「さてと。魔法使いの廃棄物なんて面倒なものを連れてきてくれたからには、それなりの見返りはあるんでしょうね、レオンちゃん?」

 両手を腰にやってベリンダが言った。

 やはり、ミレーナが魔法使いの実験に関わっていたことは一目で分かったらしい。

 ――面倒という言葉はレオンにとって聞きなれた言葉だ。

 通常、魔法使いは転送陣を使って不要物を廃棄するわけだが、生き物が生身のままでこちらに転送されてくることはまれなことだ。

 廃棄物によって街が破壊されたりすると国の騎士団に目を付けられることがあるし、生体を他の魔法使いの手に渡って研究されるのも気に食わないらしい。

 よく転送陣から魔獣が出てきて街を襲った、という話を聞くが、そういったものは魔法使いたちが殺処分できずに止む終えず生きたまま転送してきた厄介な例外なのであり、そういった話の下には幾万もの処分品の話が、ごろごろと転がっているのだ。

 ――ましてその廃棄物が人語を解する場合は、研究施設の場所や人相、実験の実態などがもろにばれてしまう可能性がある。

 ベリンダいわく、転送陣から生身のまま出てきた者はレオンが初めてだと。

 数年間共に暮らしてベリンダから聞いたレオンへの評価が、「面倒」、というものだった。

 レオンは魔法使いから目を付けられかねない厄介な存在なのだ。

 魔法使いたちに追い回されたというベリンダの過去を考えれば、こうやってレオンが自立するまで面倒を見てくれたというのは驚きに値する。

「さあ、話してご覧なさい」

 レオンはごくりと唾を飲み込んだ。

 まあこういうやりとりを想定しなかったわけではない。

 言われなくとも渡すつもりでいたそれを、レオンは鞄の中から取り出して、そっと机の上に置いた。

 天使の羽。

「おお、出ましたぷちグロテスク」

 ぼそりとミレーナが呟いたような気がするのはとりあえず無視しておくことにする。

 ちらりとベリンダの表情をうかがうと、ベリンダはこれでもかと言わんばかりに眉をひそめていた。

「これをレオンちゃんが盗んできた――いえ、ありえないわね。……どこで手に入れたものなのかしら? こんな大層なものを。私でもこれを生でこんなにたくさん見るのは初めてよ?」

「ミレーナの……おまけだ。ミレーナは見ての通り、魔法使いどもの研究で使われていた実験体だからな」

「ふうん、聞いたことあるね。天使化計画ってやつね?」

 ベリンダが羽の一つを手に取って眺める。

「本物ね。こんな、惜しげもなく捨てているところをみると、偽物の可能性もあるけど。そうなら、よくできてるわよ。天使の羽の近くに鳥の羽なんかを置いてもただの聖具にしかならないもの。……でもこれは聖具ではない。間違いなく本物の、天使の羽のレプリカよ」

「……ややこしいな」

 ええまったく、とベリンダがくつくつと笑った。帰って来て初めての、作り物ではない笑みだ。

 ――そしてまたこちらに抱きついてきた。

「もうっ、レオンちゃんってば最っ高っ。なんでもしてあげちゃうわ~」

「ちょ、だから胸はもういいっ……どわぁああっ!」

 どうやらベリンダの御眼鏡に適うものだったらしい。こんなにはしゃいだ様子のベリンダを見るのは久しぶりだ。

 ひとしきり、レオンが顔を赤くしたままベリンダに持ち上げられたりくるくると回されたりミレーナから「すけべー」と呟かれたりしたあと、ようやく抱きしめ地獄から解放された。

「それで、私はミレーナちゃんをあんたのような行商人に育てればいいってわけね?」

 ベリンダが切り出した。

 ミレーナも、おおー行商人、と乗り気のような呟きを発しているが――。

 ――しかしレオンは首を振って否定した。

「いや、おれの頼みはミレーナを学校に入れさせることだ。ミレーナに、ちゃんとした魔法を教えてやってほしい」

「へえ」

「ええー」

 面白がる声と不満そうな声がした。

 もちろん前者がベリンダで後者がミレーナだ。

 ミレーナに関しては、どうせミレーナのことだから行商人として自立したら自分のあとにくっついて云々という無駄な計画をしていたのだろうということがレオンには手に取るように分かったので、とりあえずこれも無視しておくことにする。

「私の記憶だと、レオンちゃんは魔法使い嫌いだったような気がするんだけど、いったいどういう風の吹き回しかしらぁ」

 また探るような声。

「……おれだって魔法使いの全部が全部悪者だと思ってるわけじゃあねえよ」

 レオンはため息をつきつつそう言った。

 そもそも魔法というものは天使から授けられたものなのだから、元々は人々にとって有益なものであるはずなのだ。船の動力を生み出している魔法も然り、教会で使われる癒しの魔法もまた然り。――レオンが嫌いな魔法使いというのは、人を人とも思わないような、典型的な悪者だけだ。

 ベリンダが選ぶ学校に行かせておけばミレーナもそんな悪逆非道な大馬鹿者には育たないだろうし。

 レオンはミレーナが一人で転送陣を組んで施設から逃げ出してきたことを話した。

 転送陣は空中に展開されていたが、それはミレーナが施設の外の世界をまったく知らなかったことと転送陣を組むのが初めてだったことが原因だ。

「なるほどね。ミレーナちゃんに魔法を学ばせたがるのもよく分かるわ。私の他に転送陣を組める奴なんて初めて聞いたものね。……施設から逃げ出してきたってところが少し気になるけど、まあ目をつぶってあげる。処分寸前だったってんなら、どこに逃げたのかも分からないような子をわざわざ探し回って自分たちの存在を白日に晒すような危険は冒さないだろうし」

「それじゃあ……」

「いいわ。うちで預かってあげる。しばらくの間追っ手が出てないかどうか確かめて、危険がなさそうであれば私の母校にでも通わせちゃえばいいのよね」

「ああ」

 レオンはほっとした。

「はいはい」

 ふいにミレーナが挙手をして言った。

「わたし行商人になりたいです」

 自分が関わっていないところで勝手にぽんぽんと話を進められるのが気に入らなかったらしい。それと、本気でレオンについていきたいという思惑もあったのだろうが。

 ベリンダと二人でひそひそと話し合う。

「だってぇ。どーする、レオンちゃん?」

「どうするって言われても……」

 こればっかりは本人の意思なので、なんとかうまく説得しなければならない。

 困りきった顔でベリンダを見上げると、ベリンダはんふふ、といたずらっぽくレオンに笑いかけてきた。そして、ミレーナのほうに顔を寄せて囁く。

「駄目よぉミレーナちゃん。略奪品は略奪者のものなんだから、略奪者の意思に従うものなのよ? こうやってミレーナちゃんがレオンちゃんに拾われている時点で、あなたはレオンちゃんのものなの」

「おお~、わたしイコール略奪品?」

「そうそうその通り。ちゃんとレオンちゃんの言うことを聞かなくちゃ駄目なのよ。私も昔、レオンちゃんの身体をたっぷり堪能したんだからぁ」

「ということは今後わたしとレオンがうっふんあはんな展開も……?」

 んふふふふ、と二人が示し合わせたように笑う。

「っだぁああああ!」

 さすがにおとなしく聞いていられなくなり、レオンは叫んだ。

「団長っ、誤解を招くような言い方は禁止! あれは……おれが転送陣から出てきたときにたまたま裸だったから、にやにやしながら眺めつくしてただけだろ! だいたいあのときはミヤビさんも一緒にいたはずだろ……!」

 施設での記憶は失ってしまっているし、転送されてきたときは気絶していたのでよく分からないが、この話はベリンダからさんざん聞かされてからかわれたのだ。そのときのことははっきりと知っているし、他に何かいかがわしいことをされたような覚えはない。

 ちっとベリンダが舌打ちをする。

「早々に種明かししちゃうなんて反則じゃない」

「種明かししておかないとずっと誤解したままにさせておくんだろうが!」

 にやり、とベリンダが笑った。

「ははーん、なるほどね? つまり、ミレーナちゃんにはそういうふうな誤解をしてほしくない、と……。そうよね。普通ならレオンちゃんはこんな面倒なことに首を突っ込んだりしないものね。なにしろこの私がそういうふうに鍛えたんだから」

「ふんふん。つまり?」

 ミレーナがひょいっと身を乗り出す。

 大げさな身振りで片手を頬に当て、うふふと照れたような声を出すベリンダ。

「やーねえ~皆まで言わせるんじゃないわよぉ、妬けるわねえ」

「はっ?」

 これはレオン。

 つまりベリンダは、レオンがミレーナのことを好きだからこうやって色々と世話を焼いているのだ、と言っているらしい。

 ベリンダからは余計なことに首を突っ込んだり、下手な同情をしたりしないようにと教育されたレオンだが、なにもすべての物事に対して無感動になるように育てられたわけではない。

 ミレーナのことは、あまりにも自分と境遇が似ていたため、鍛えられたよりももっと深く深く同情してしまっただけの話だ。

 ぐるぐると頭の中を回っているベリンダの言葉を振り払うように、レオンは考える。

(確かにミレーナは世間知らずでおれが守ってやらなきゃって思うし、懐かれてるのもまんざら悪い気もしないし、顔は可愛いし……あれ?)

 ……自爆した。

「まあそういうことだから、レオンちゃんの言う通りにしなくちゃ駄目よぉ」

「合点承知であります」

「良い子にしてたら何かいいことがあるかも~」

「うっふんあはんだね、これ確実」

 なにやら二人で勝手に盛り上がっているようだが、反論する気にもなれなかった。

 やがてミレーナがベリンダから何かの袋を受け取って頷き、レオンのそばへ寄った。

「えっと……何?」

「軍資金」

 さっぱり分からない。

 ベリンダが代わりに答える。

「私からのお駄賃よ。ミレーナちゃんに服を買ってやれってこと。女の子にこんな襤褸を着せといちゃ駄目じゃない。ミレーナちゃんはあんたが拾ってきたんだから、可愛いのを見繕ってあげなさい」

「ミレーナのことは団長に任せたじゃんか……」

 ぼそりとレオンが呟くと、ベリンダから「わざわざ転送陣を使って帰ってきてあげたんだから、それくらい付き合いなさいお馬鹿」と言われた。

 話が終わって三人は客間を出た。

 ――出て、なだれに遭った。

「うわあっ」

 団員たちが客間の扉に張り付いていたらしく、扉を開けて崩れてきたそれに、三人とも巻き込まれたのだ。

「痛っ、もう……あんたたちねぇ……っ! 私は下がれって、――覗くなって、言ったような気がするんだけどっ?」

 約束は命がけで守れ、というのが海賊クロネコの信条だ。まああまり拘束力がある決まりというわけでもないので、ささいな約束たがいには目をつぶっているが……団長の命令は絶対だ。

 レオンは、覗くなと言われて女湯を覗きに行ったために簀巻きにされて船から突き落とされた団員がいたという話を聞いたことがある。

 本気で怒りかけたベリンダに、一人が言い訳をする。

「ち、違うんです! 覗く気とか盗み聞きとか、そういうのは一切やるつもりがなかったんですけどっ……、なんか結界の効き目が弱いみたいで、レオンとその子の声が聞こえてたものですから、知らせたほうがいいのか邪魔しないほうがいいのかと……それでついなんというか扉にぴたっと――」

 カッ。

 火が吹く。

 次の瞬間、当該の団員は黒焦げになって口から煙を吐いていた。

 ベリンダの魔法だ。

「報告ありがとう。手加減してあげたわよ。――他に何か言い分がある子は?」

「あ……ありませーんっ!」

 一斉にぴゅーっと散っていった。

 ため息。

「ミヤビはいないようね……。悪いけど、自分たちで探してミレーナちゃんの首輪を外してもらえるかしら? 私は副ちゃんに連絡を取って色々と処理しないといけないことがあるから」

「分かった。……夕餉は一緒に?」

「ええ、久しぶりに一緒に食事しましょう」

 それからベリンダは続けて言う。

「勝手に宿も取っちゃだめよ。ここはレオンちゃんの家でもあるんだからね、泊まるならここに泊まっていきなさい。遠慮はなしよ」

 レオンは苦笑した。

 どうやら見透かされていたらしい。

 一応、独立したのだからあまりここの世話にならないようにと思っているのだが。

 ――今夜は魚だな、とレオンは思った。

 ベリンダは魚好きなのだ。

 分かったと頷き、ミレーナを伴って元来た道へと行った。

 仕事熱心なミヤビのことだから、入り口でまたいつものように訪問者と睨めっこをしていることだろう。

「レオン」

 ふと、客間の前に留まったままのベリンダが呼び止めてきた。

 いつもの作り物の笑みすら消して、真剣な表情でこちらを見ている。

「なんだ……? 団長」

 ベリンダが何も言わないので、レオンから話しかけた。

 しかし、ベリンダはじっと見つめたまま喋らない。

 しばしの沈黙。

 ――レオンがなんとなしに不安を抱き始めたころにようやくベリンダは、先ほどレオンから渡された羽の一つを手に取って示し、口を開いた。

「この羽は、本当に偽物なの? それともすべて、本物?」

「え?」

 レオンは聞き返す。

 聖具としてではなく、天使の羽そのものとしての、天使の羽の偽物。

 ミレーナに一番初めに出会ったとき、その翼にただただ驚いた。――そして、その羽を拾い上げたときには、それを、本物だと思った。

 しかし先ほどそれが本物ではないかもしれないと言われて、ベリンダがそう言うのであればその通りなのだろうな、とも思った。ベリンダはレオンよりも魔法使いたちの事情について詳しいので、天使化計画のこともよく知っているようだったし。

 その判断を、ベリンダ自身が疑問に思うとは。

 ベリンダはふうっとため息をついて首を振った。

「いいえ、馬鹿なことを聞いたわ、忘れてちょうだい。ほら、日が暮れる前にさっさと行きなさい」

 しっしっと追い払われる。

 レオンは首を傾げたが、返すべき言葉が見つからなかったのでそれ以上何も聞かず、ミレーナをうしろに連れてきびすを返した。

「そう。いくら魔法使いでも、本物の天使の羽を――本物の天使を、作れるはずがないものね」

 ベリンダはぼそりとそう呟いたが、レオンたちには聞こえなかった。

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