青い稲妻と赤い糸
「彗星。おはよう。」
「おはよう、じゃあ行こうぜ。学校行きたくないけどな。」
「ああ、行こう。」
松前高校に登校した彗星と弦の二人。
彗星は高校全体を見て言う。
「着いちまったな。」
呆れてスタスタ進む弦。
「着いた、早く行こう。」
彗星は弦がいた方を見ると誰もいない。
前を見ると弦は学校の方にすすんでいた。
「おい、待てよ。弦」
「なんだよ、彗星」
彗星に服を引っ張られる弦。
「あれ、桜だよな」
彗星はいつも笑っている女子の桜を指さす。
「ほんとだ、桜だ」
可愛いよな、弦。おまえもそうおもうよな。
「かわいいよな、お前どう思う」
「かわいい」
そう言ってほしいんだろう。
「気持ちがこもってないな」
「そんなことより早く学校行こう」
「わかった、一ミリたりとも行きたくないけど行こう弦」
・・・
「やっと終わったな、学校」
「さてと、部活に行くか彗星」
弦が部活って何言ってるんだろうな。
やってないよな。
「部活、俺たちなにか部活やってたかな」
「やってただろ、野球部だっただろ」
そういえばそうだったな、でも俺たち入れても9人の弱小チームだったよな。
「そういえばそうだったな」
「そうだよ、ほらはやく部活行くぞ。」
帰ってゲームやろうと思ったのになに言ってんだよな、弦。
「ふざけるなよな、俺は家に帰って野球ゲームやるんだから部活なんていかねぇからな」
呆れた様子の弦。
頭を抱えた弦が彗星に言う。
「ゲームやるなら部活行くぞ」
そうだな、ゲームでやるより部活の方が楽しいかもな。
「わかった、部活に行ってやるかな。弦の顔に銘じてな」
弦と彗星は部活をやるグランドにやってきた。
弦と彗星を見て主将はよかったと思った。
「お、今日は全員揃ったか」
「揃ったわね、佐々木主将」
やっと全員揃ったと木崎副主将は涙を流した。
弦と彗星が主将と副主将にあいさつに来た。
「木崎先輩久しぶりです。」
「木崎先輩久しぶりですな。」
涙を流す木崎に驚く山田弦と佐藤彗星の二人。
二人が主将である自分のことを言わないため悲しくなっている佐々木主将。
そのため目立つために話始める佐々木主将。
「久しぶりに来たか、山田と佐藤の二人」
「そうね、彗星ちゃんと弦ちゃん久しぶりに来たわね」
それでどうかしたのね、佐々木主将。
「久しぶりです、佐々木主将」
「久しぶりですな、佐々木主将」
「それも久しぶりだな、佐藤」
佐々木主将は木崎の顔を見て早々と去ろうとする。
「木崎、二人のこと頼む」
「わかったね、佐々木主将」
木崎に頼んで去ろうとする佐々木に彗星がやって来た。
「佐々木主将、木崎副主将になにされるかわからないからやめさせてな」
佐々木は木崎を見て彗星の肩を叩いて一言言った。
「山田彗星、諦めろ」
諦めの境地の顔をする佐々木主将の言葉に今すぐ帰りたい気持ちになった二人。
しかし、勇気を振り絞り留まる彗星と弦の二人。
「嫌だな、本当に木崎副主将は嫌だな」
佐々木は早く二人以外のメニューを進めようとする。
「山田、無理だな」
弦は佐々木主将に肩を手を置き真剣な眼差しで見つめる。
「佐々木主将」
「どうした、佐藤」
「俺だけでもそっちにできませんか」
「逃げるのか、佐藤弦」
「わかりました、ここにいます佐々木主将」
佐々木主将は他のメンバーの方へと向かった。
うっとりとした顔で彗星を見つめる木崎。
「よろしくね、二人共ね」
帰りたいと思う彗星。
「よろしくですな」
今何の時間と思う弦。
「木崎先輩お願いします」
「腕立て伏せしてジャンプするのってなんだったかしらね」
腕立てジャンプな、あれだな。名前まで覚えてないけどな。
「バービーです、木崎先輩」
「そうね、それじゃあねバービー百回やっててね。じゃあね、佐々木主将ところ戻るわね」
そういって他のメンバーがやっている走り込みに参加する木崎先輩。
「本気で言ってるかな木崎先輩」
「そうだと思う」
良かったな。
良かったです。
バービーやって終わった彗星と弦の二人。
「ごめんなさいね、二人共基礎練習だけでね」
「全然大丈夫ですな」
「木崎先輩、付き合う意味ありましたか」
「なかったわね、ごめんなさいね」
「先生たちがさけんでるから帰えるぞ」
「わかりました」
「了解でありますな」
そうして家に帰る野球部のメンバー達。
次の日、今日は休日で部活も休み。
ピンポーン
山田彗星の家の呼び鈴がなった。
彗星が向かうと弦がやってきていた。
不思議な顔をして玄関をでた彗星。
「弦、部活とかいわないよな」
今日は休日だぞ。
「大丈夫だ、遊びに来たぞ」
本当かなと思う彗星。
「そうかいな、なにしに来たのかな」
言っただろと思う弦。
「遊びに来たぞ」
弦、何しに来たのかな。
「弦、何時かわかってないよな」
「10時だろ」
そう今、10時。
「そう、10時。夜の22時の10時」
そう今は22時、昨日やったバービーが終わった次の日の晩。
ふざけてるな、弦のやつ。
「ごめん、彗星。ちょっと彗星に頼みたいことがあった来たんだ」
頼みってなにかな。と弦を見る彗星。
「眠い時間にすまない。彗星に言おうと思ってきたんだ」
「どうしたのかな」
「おまえの話し方、おかしいぞ」
「そうだな、でも個性的でよくないかな」
「個性的だけど普通じゃないと思うぞ」
「そうかもな、そんなことよりな。帰ってくれよな」
「なんでだよ」
本気で言ってないよな、それ。帰ってくれよな。
「帰ってよな、眠いだよな」
「そっか、ゲーム一緒にしたかったからきたんだ」
半日前に来てくれ、もしくは明日の朝来てくれ。
「なんでな、明日も休みなのに今来てんだよな」
「明日まで一緒にゲームしたかったんだ。友達の家で徹夜漬けしたかったんだ」
「そうだな、わかったからな。せっかく来てくれたからな。ゲームしような」
「頼む」
弦を家に上がらせる彗星。
家にやって来て彗星の部屋にやって来た弦。
「それでなんのゲームやるんかな」
眠いな。
「徹夜狙ってるから、これやらない」
「これな、でもこれでいいのかな」
弦がRPGを見た次のゲームがいいと思ったらしい。
「いいんじゃないのか」
弦が選んだのは恋愛ゲーム。それでいいのかと思ったが眠すぎてなんでもいいと思っていた。
「まあいいけどな」
「これクリアした」
「してないな。最初からでやって行こうな」
「なんでこれ買ったか聞いていいか」
「これはな、これの桜ちゃんがかわいいから選んだよな」
「それでよかったのか」
「そうだな」
恋愛ゲーム、青い稲妻と赤い糸が始まった。
神社の近くにある大きな木の前にいる髪が腰まである青いワンピースを着ている。
そして黒いジャケットを着た女性が木によりかかっている。
そこへ人がやって来た。
「久しぶり、ケン。こんなところ呼び出してどうしたの。」
「桜、まず最初にお参りしない。」
「いいげど、どうしたのケン。いつもと違うよ。」
「ごめん、桜に会ってテンパってた。」
「そう、じゃあお参りしよう。」
「そうしよう。」
「付き合ってください。」
「ごめんなさい。」
ケンが断らて恋愛ゲームは終了した。
「弦、徹夜して何回振られたのかな」
「五回」
「場所はどこだったかな」
「神社」
「それでな、桜とデート何回したのかな」
「デートは二回」
「これな、高校生の話で三年間過ごして気になる人と付き合うってゲームなんだよな」
そうだな、彗星。
「なに、彗星やる」
眠らせてくれ。と言いたい気持ちはあるな。
「桜に告らせればいいのにな。なに嫌ってる感じのことやってるよな」
「嫌ってる感じのことって」
「おまえ、駅で毎回あってたよな」
マネージャーと部員だから部活終わって駅まで一緒に行くけどなにもしないで普通に帰ってたよな。
「そうだけど」
「それでデート誘えるのに誘わなかったよな」
「だって、怖いじゃん。毎回会うんだぞ」
怖いってどうしてそう思ったのかな。
「なに言ってんだよな、おまえな。桜は野球部のマネージャーだからな」
「え、そうなの」
わからないなんて4・5時間同じゲームやってたんだよな。
「そうだからな」
弦が今までなにやってるかわからないな。
「おまえ、姫路さん好きなの」
なんで突然そんなことわかるのかな。
「そうだな、俺は姫路桜さんが好きだからこういうゲーム買ったな」
「え!」
やばいな、言うべき言葉じゃないな。バレたな。
「おまえは誰か好きな人はいるのかな」
返って来てほしくないな。
「いるけど、ちょっと待って」
いるんだな。
「なにかな」
「桜さん、なんで好きになったんだ」
誰もが好きだと思うけどな桜さん。
「可愛いからな桜さん。」
「そうか、だから桜さんに好きなタイプ聞けって言われたのか」
そうそう、だからタイプ聞いてもらったけどな。
なんでな、小林桜さんの好きなタイプ聞いてきたんだよな。
「そうだな」
「それでこんなゲーム買ってるなんて知られたらどうするんだ」
一回答えたのになに言ってるのかな。
「それは普通にこのゲームのこのキャラクターが好きだからかな」
「そうか、変な質問した」
変な質問したって振りだよな。
「それで好きな人って誰かな、弦さん」
「それは......」
言って欲しいな。
「誰かな、弦さん」
「わからない彗星」
「小林桜さんってこと」
「そう」
まじか、弦って清楚系好きなんだな。
「そうか。」
窓の外を見ると公園で落ち込む人を見つけた弦。
「あれ、木崎先輩」
落ち込んでるな。
「そうだな、どうしたんだろうな」
「何してるんだ」
「そうだな、ちょっと会いに言ってみないかな」
「いいのか、あれ。誰か待ってない」
「行くだけ行こうかなって思ってるけどな、ダメかな。弦」
「木崎先輩泣いてたらどうするつもり彗星」
木崎さんが泣く。そうだな。いいよ。
「その時はその時で臨機応変に行こうかな」
弦とこんな一緒にいたくないんだけどな。
「じゃあいってくるな」
そういって、家を出て公園に向かう彗星。
公園のベンチに座る木崎直人先輩。
「木崎さん、どうかしましたか」
「彗星ちゃんは夏大会まで後2ヶ月だけどどう思うね」
夏大会あと2ヶ月な、やめたくないな。
「木崎さん、真面目にやってないやつが夏なんて気にしてないな」
でもな、夏は楽しいけどな。
「でもね、春季大会は来てくれたよね」
春季大会はこのメンツが好きだからな。
「そうですけどな、それは大会は出ないと先輩達かわいそうかなって思ってたからな」
「それだけなのね」
「木崎先輩はここでなにしてるかなって思うかな」
「主将のこと好きだから告白したのね」
「なんでな、自分に目をかけてたのかなって思うんだよな」
「それはね彗星ちゃん。彗星ちゃんが面白いしねたまにしか来ないからね」
「そうですな、あまり来ないからな。少しは気持ち変えるな木崎さんのためにもな」
「彗星ちゃん」
あ、目がうっとりしてるな。今、こんなことしにこなければよかったな。
ミスしたな。
「木崎さん、主将にもう一回だけ告白してみてくださいな、応援してるな」
「待って、彗星ちゃん」
呼び止められたな。呼び止められたよな。
「なんですかな、先輩」
「ごめんね、迷惑かけたね」
「そう思うなら、夏大会終わったら主将とどこか遊びに行ったらどうですかな」
「そうね、ありがとうね。彗星ちゃん」
やっと終わった。
「ただいま」
「楽しそうだったけどなに話してたんだ彗星」
「木崎先輩が悲しそうだっただけだな。」
「そうか」
「成功したかな」
「やっと成功した」
「本当に成功したのかな」
本当に成功してるな。回想で遊園地に遊びに行って告白して大丈夫だったアニメがあるな。
「俺、明日から真面目に野球やるからな」
「やっと、がんばれよ元エース」
「一年ブランクあるけどな」
「でもまだ投手なんだからしっかりやれよ。木崎先輩や佐々木主将のためにも」
「そうだな、がんばるかな」
そして、夏大会初戦当日。
「なんで勝てたのかな、弦」
「それはおまえのお蔭だろう」
「弦も指示よかったからな」
「お前とのバッテリーは楽しいから」
「そうかな」
今日の試合の話をする彗星と弦の二人。
しかし、木崎先輩と佐々木主将の二人は少し気まずそうな顔をしていた。
しかし、数日後の二回戦は五対三で9回裏に二点取られ負けた。
「これで俺たちの野球は終わった。俺は楽しかった。」
「三年間の最後の四月から今までの三ヶ月は楽しかったのね。このメンバーには感謝ね。来年がんばってね」
家に帰ってきた彗星。
「夏大会終わったな」
家に帰って来た弦。
「木崎先輩と佐々木主将との夏が終わった」
「それでね、佐々木さんはどこ行くのね」
「遊園地行くのはどう」
「ご飯食べに行かないね」
「直人はそれでいいのか」
「いいね、それでもいいね」
「そうか」
肉丼を食べに来た二人。
普通の大盛りを食べて二人は家に帰った。
「これでよかったのね」
「公園に来るかな」
そう考えているとチャイムがなり弦がやって来た。
「弦、どうしたのかな」
弦、もしかしてあの恋愛ゲームやりにきたのかな。
「直人さん来ましたか」
直人っていたかな。
「直人って誰かな」
「木崎先輩どうなっただろう」
「なにもなってないな」
その次の日
「なんでな姫路さん、野球部のマネージャーなったのかな」
「お前が投げてるところが好きだからって言ってた」
え、それマジでヨッシャー。よかったな。
「それは本当かな」
「マジだ」
「大丈夫かな」
「おまえ、好きな人がマネージャーなってよかったな彗星」
「ありがとう」
やった。
夏大会は地区大会を優勝した彗星達。
そのバスに行く前。
「姫路桜さん、好きです。付き合ってください」
山田彗星は姫路桜に告白した。
「ごめん、考えさせて。」
その少し前。
お昼を食べ終わった彗星達。
そろそろ時間だが弦と姫路が見当たらない。
「姫路さん、君の瞳にひとめぼれしました。付き合ってください」
「ちょっと考えさせて」
「わかった」
姫路は甲子園に行くことができて、二人には集中してほしいのと部活に自分が集中できそうになかった。
そのため、姫路は二人に返事をしなかった。
そして甲子園球場。
「やってきたな」
「帰りたい」
「今回勝てたら桜に告白するな」
彗星の言葉の後雷がマウンドに落ちた。
「びっくりした」
「キャー」
「桜さん、大丈夫かな」
「怖い」
そして、甲子園は三対零で負けた。
姫路が二人を呼び出した。
「二人を呼び出したのは付き合うってことの返事をしようと思って」
それを聞き、顔を見合わせる彗星と弦の二人。
「おまえ、そうだっただな」
「そう」
「じゃあ、返事するね」
「ちょっと待ってな、まだ甲子園球場だから帰ってからでもいいかな」
「そうか、ごめんかんがえたりなかったね」
甲子園での試合翌日。
姫路桜に呼び出された彗星と弦の二人。
二人が来たことで早速答えを教えるわねと思った姫路。
「返事するね。」
しかし、二人は答えをまだ聞きたくなかった。
「「待ってくれ」」
待機を命じられた姫路は二人を睨みつける。
「なに」
姫路にお辞儀をする彗星。
「もう一回やらせてくれないかな」
頼むと弦は両手を合わせて言う。
「そうそう、もう一回」
なるほどねと思って頷く姫路。
「いいよ」
まず彗星から言う。
「姫路桜さん、好きです。付き合ってください」
そう言って右手を出す彗星。
次に弦が言う
「姫路さん、君の瞳にひとめぼれしました。付き合ってください」
そう言って右手を突き出す弦。
そう、そう言ってた、返事しないとね。
「ごめんなさい。」
「「え」」
「彗星さん、おねがいします」
そうして佐藤彗星と姫路桜は付き合うことになった。