9.謎の少女
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「さて、王都に到着したは良いものの、これからどうしようかねぇ」
俺まともに王都の地図も持ってないぞ、強いて言うなら、常識と金くらいは持っている。とりあえず地図でも買いに行くかね。そこらの衛兵にでも聞いてみるか。
「すいませーん、地図ってどこに売ってますかね。」
「地図かい?地図ならあそこにある雑貨屋に売っているよ」
「ありがとうございます!」
雑貨屋かぁ。色んな物売ってそうだし、折角なら地図以外の物も見てみようかな。
カランカラン
「らっしゃい」
「すいません、地図ってありますかね」
「あるよ、銅貨3枚ね」
結構安くて良かった。お金は持っているとは言え、やはり節約はしたいからな。そう思った時、店に一人の少女が入ってきた。
「らっしゃい」
「…見つけた」
そう言い、少女は俺のもとに来る。
「なにか御用ですか?ボクは今から用事があるのですが」
「すまないが、少し付き合ってもらうよ」
俺は少女に手をとられ、店の外に出された。
「ちょ、あなた誰ですか。いきなり人の手掴んで」
「良いからついてこい」
仕方がないため、俺はその少女についていくことにした。
ついて行くと、そこにあったのはデカい学校のようなものだった。
「ここは…」
「さぁ、そろそろ正体を明かしても良い頃合いかな」
少女はニヤッと笑い、口を開いた。
「私の名前はアルマ・グランヒルデ。この王都魔法学院の生徒会長よ!校長から貴方を連れてくるように言われてね。大変だったのよ。顔写真を渡されて、こいつを探してこい!っていきなり言われた身にもなってほしいわ。全く」
…まじでこの人の言っていることについていけないんだが…
「あの…」
「ああ、すまなかったわね。行きましょ」
そう言い俺は学院内に足を踏み入れた。
少し経ち、俺は校長室に案内された。
「この先には校長兼理事長がいるからね。くれぐれも粗相の無いようににしなさいよ。」
「は…はい。分かりました」
流れで来てしまったは良いものの、未だに状況が飲み込めないのだが…
「校長先生、言われてた子を連れてまいりました。入ってもよろしいですか?」
「構わん、入りたまえ。」
そうして入ると、そこには紫髪の女性がいた。
「やぁ、セイラ・グランテッド・フブキ君。いや、もはやグランテッドは要らないかな?」
な…どうしてその名を知っているんだ。
「え?!グランテッドってあの帝国にいる貴族の名前じゃない!どうして貴方がその名前を…」
アルマさんが驚いているのもつかの間校長は更に話しかけてきた。
「フブキ君、君のことは弟子であるエルザから聞いているよ。スリーベルからよくここまで来てくれた。歓迎するよ」
そうか、この人がエルザの師匠なのか。
「私の名前は、アルザーヌ・ワットだ。皆からはワット校長と呼ばれている」
「ご挨拶遅れてしまい申し訳ありませんワット校長。改めて、セイラ・フブキです。」
「ああ、よろしく頼むよ」
そうしてお互いの自己紹介を終えた時だった。
「ちょっと待ったーー!!」
アルマさんが話を遮ってきた。
「なんだいアルマ。いきなり大声だして。」
「どうした?じゃないですよ校長!まさかとは思いますが、こんな得体のしれない奴をうちに入れるんですか?!」
「ああ、もちろんだ。なんせ彼の実力はあの元宮廷魔法使いエルザ・ドボラールお墨付きだからね。君も名前くらいは知っているんじゃないか?」
「っ…?!」
アルマさんは押し黙ってしまった。たしかにいきなり得体の知れない奴を入れるとか言われたら困惑するよな。
「だとしても納得がいきません!」
「そんなに言うならフブキ君と決闘でもしたらどうだ?そうすれば実力もわかるだろう。フブキ君もそれでいいかい?」
「構いませんよ。アルマさんが納得いかないのも分かりますし、実力を見てもらった方が良いと思います。それに自分が今どれくらい通用するのか楽しみですし」
「君は変なとこまでエルザに似てるね。その戦闘狂なところも含め」
なぜだ。なぜ戦闘狂扱いになるんだ。俺は自分の力を試したいだけなのに。
「ただまぁ、その剣は使用しないようにしてほしいな。流石に魔法だけのほうが力が均等に見れるからね」
「はい、分かりました」
「アルマもそれでいいかい?」
「圧勝してやるわ!」
こうして、俺はアルマさんとの決闘が決まった。
「…ところで気になったんだが、君ここに着くの早くないか?」
「魔法で身体能力上げただけですよ。」
「君は全く…異次元な子だ」
お久しぶりです!ご愛読ありがとうございます!ここで、王国のお金についてご説明させていただきます。まず、王国には銅貨、銀貨、金貨、そして大金貨。主にこの4つです。
銅貨10枚で銀貨一枚に、銀貨50枚で金貨一枚に、金貨100枚で大金貨1枚になります。
今後見るうえでの参照にしていただけると幸いです。