表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
子連れの冒険者  作者: ポリ 外丸
第 2 章
89/104

第 89 話

“フッ!!”


「「「「「「っっっ!?」」」」」」


「「っっっ!?」」


 背後から剣や槍でエルヴィーノを串刺しにしようとした6人の男たちの攻撃。

 避けるどころか逃げることなど皆無と思われたその攻撃が当たると思った瞬間、目の前の男は姿を消した。

 その信じられない結果に、6人だけでなく、頭とダンも目を見開いた。


“パチパチパチッ!!”


「ハハッ! いい攻撃だったぞ」


「「「「「「「「っっっ!?」」」」」」」」


 敵の8人は首を左右に振り、忽然と消えたエルヴィーノの姿を探す。

 そんな彼らを嘲笑うかのように、エルヴィーノは拍手をしつつ少し離れた場所に姿を現す。

 拍手の音が聞こえるまで全くエルヴィーノの気配を感じなかったため、8人は声を上げることができなかった。


「だが、6人はもう少し気配を消す練習をしておけばよかったな。2人と戦いつつも接近する気配が感じられたぞ」


 実は、先程はワザと驚いて見せたが、エルヴィーノじは6人が自分の背後に回っていることに気付いていた。

 と言うのも、この6人の気配の消し方が、頭とダンほど上手くなかったためだ。

 頭とダンが戦い始めたことで、ようやく何者かが自分たちの拠点に近付いていることに気付き、気配を消して拠点から頭たちが戦っているところへ向かったのだろう。

 しかし、エルヴィーノからすると、気配の消し方がまだまだ甘い。

 だからこそ、6人の攻撃を難なく躱すことが可能だったのだ。


「……貴様、どうやった?」


「……教えるわけないだろ」


 どうやら、6人だけでなく、頭とダンもどうやってエルヴィーノが攻撃を躱したのか分かっていないようだ。

 そのためか、頭は思わず疑問の言葉を呟いた。

 別に全員この場で叩きのめす予定なのだから、闇魔法で影転移しただけだと教えても良いのだが、、問われたところで答える必要性はないため、エルヴィーノは当たり前ともいえる言葉を返した。


「そうだ! お前らの主である帝国第一皇子のことを教えてくれたら答えてやって良いぞ」


「「「「「「「「っっっ!?」」」」」」」」


 先程の質問に答える必要はないが、エルヴィーノは思い立ったように答える条件を提示することにした。

 その条件を聞いた途端、敵の8人は顔色を変えた。

 自分たちが、帝国第一皇子の命を受けて行動していることを、この目の前の男が知っているからだ。


「……何のことだ?」


「いやいや、さっきの反応の後にしらばっくれようなんて無茶ってもんだ」


 先程の提案に対し、頭の方からまさかの返答が来た。

 この期に及んで、しらを切ろうとするかのようなものだが、いまさらそんなことをしたところで無駄。

 そのため、エルヴィーノは思わずツッコミを入れた。


「……なるほど、そのことを知っていたということは、奴らが話したか……」


「正解」


 そもそも、森の中にあるこの拠点を探り当てている時点で、何かしらの情報を手に入れてないとおかしい。

 とても偶然見つけることができないような場所にあるからだ。

 残りの仲間のうち、先行させた2人が帰ってきていない。

 そのことから、何かヘマをしでかしたようだ。


「……どうやった?」


「……だから、わざわざ教えるわけないだろ?」


 先行させた2人の実力は、この部隊の中では下だ。

 かといって、第1皇子の右腕たる我らの組織に所属している者たちだ。

 生半可な実力の者に捕まるわけがない。

 もしも捕まったとしても、こちらの持っている情報を簡単に話すような口の軽い者たちではない。

 どうやって口を割らせたのかが気になったのだろう。

 ダンは思わず問いかけるが、答える必要がないと感じたエルヴィーノはその問いをバッサリと切り捨てた。


「どうやら、陛下のために何としても貴様を殺さなくてはならないようだな……」


「「「「「「「オウッ!」」」」」」」


 あの2人から情報を聞き出す方法なら心当たりはあるが、そんなことはどうでも良い。

 情報がこれ以上洩れないように、目の前の男を殺せばいい。

 そのことを告げるように発した頭の言葉に、残りの男たちは頷きと共に返事をした。


「……お前、そいつに頭とか呼ばれていたよな?」


「……だからなんだ?」


 目の前の8人から発せられる殺気の量が一気に増える。

 それを受けながらも涼しい顔のエルヴィーノは、頭を指を差しつつ問いかける。

 その問いの意味が気になった頭は、エルヴィーノに質問で返した。


「一番情報を持っていそうだな。だからお前意外……殺す!!」


「「「「「「「「っっっ!?」」」」」」」」


 言葉の言い終わりと共に地を蹴るエルヴィーノ。

 そして、一瞬にして一番近くにいた2人との距離を詰めた。


“シャ、シャッ!!”


「「「「「「っっっ!?」」」」」」


 距離を詰めたエルヴィーノは、手に持っている剣を振る。

 あまりの速さに、敵の誰もが反応できずに目を見開く。


“ドサドサッ!”


「残り5人……」


 エルヴィーノの振った剣により、2人の男が僅かな悲鳴を上げることもなく倒れ伏す。

 倒れた2人が大量の血だまりを作り、全く動かないのを確認することもなく、告げるエルヴィーノ。

 頭以外の5人を、カウントダウンするかのように告げたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ