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子連れの冒険者  作者: ポリ 外丸
第 3 章
124/124

第 124 話

「…………」


「エル様、どうしますか?」


 アンジェラと交わしたやり取りを思い出していたエルヴィーノ。

 無言でいた彼に、セラフィーナが問いかける。

 彼女もダークエルフであるために里を追い出された身で、エルヴィーノに助けられなければ死んでいたかもしれない。

 そのことがあるためか、エルフ女の出現に警戒感が高まっているようだ。


「別に……、これまで通りの関わり方だ」


「分かりました」


 エルフは里から出たがらない種族だが、中には里を出る者も存在している。

 そういった変わり者は人数的には少ないが、長命であるため、色々な国で目にすることができる。

 エルヴィーノとセラフィーナも、遭遇するのは今回が初めてではない。

 耳パッドのおかげもあり、これまでエルフに自分たちがダークエルフとバレたことはない。

 そのため、エルヴィーノはセラフィーナの問いに対し、これまで通り深く関わらない対応をするように返答した。


「お手伝いいただきありがとうございます」


「いやいや、こっちが相手をすることになった可能性もあったので助かりましたよ」


 オーガの死体の処理を終え、エルフの女性はアウジリオと護衛の冒険者たちに礼を述べた。

 それに対し、代表者であるアウジリオが返答した。

 エルフの女性が戦っていた場所は、自分たちの進路上の街道。

 彼女がいなければ、もしかしたら自分たちがオーガたちと戦わなければならなかったかもしれない。

 護衛依頼を受けた冒険者たちの数と実力を考えれば倒せない数ではないが、怪我や商品である荷物に被害を受ける可能性もあった。

 そう考えると、彼女が先に魔物たちと遭遇してくれて良かったとも言える。


「私、コンコーネ商会のアウジリオと申します。お名前をうかがっても?」


「どうも、リーディアと申します」


 名前を聞くために自が先に名乗るアウジリオ。

 それを受け、エルフの女性ことリーディアも名乗り返した。


「リーディアさんはどちらへ向かう途中なのですか?」


 話の取っ掛かりとして、アウジリオが問いかける。


「ダサンです」


「「っ!」」


 リーディアの返答に、エルヴィーノとセラフィーナは微かに反応する。

 まさか自分たちと同じ目的地だと思わなかった。


「おぉっ! 我々と同じではないですか」


「えっ!? 本当ですか?」


 目的地が同じという返答を受けて、アウジリオの目が光る。

 まるで、「商機!」と言っているような輝きだ。


「我々と一緒に向かいませんか? 馬車代はいらないですし、宿代や食費も我々商会が出しましょう」


「あ、ありがたいですけど、良いんですか?」


 若干捲し立てるように話しかけるアウジリオ。

 その言葉に、リーディアは気圧されつつ問いかける。

 馬車代を出さなくても良いどころか、ダサンの町に着くまでの宿代や食費まで出してもらえるなんて自分にとって好都合でしかない。

 しかし、好都合すぎる。

 そのためか、リーディアは少し疑いの目でアウジリオに問い返した。


「えぇ、構いませんよ。あなたのように実力のある方が一緒なのは心強いですから。それで、もしも強力な魔物や盗賊に遭遇したら、他の冒険者の方たちに協力していただけるとありがたいのですが……」


 馬車代を取らずに宿・食事代をコンコーネ商会が支払う。

 一見アウジリオにはメリットがないように思えるが、もちろん彼の中にはちょっとした企みはある。

 その企みとは、彼の発言後方部分だ。

 リーディアほどの戦闘力を持った人物が一緒にいてくれれば、今回雇った冒険者たちが手こずる敵に遭遇した時に被害を少なくする事ができるはず。

 そういった思いから、アウジリオはもしもの時の協力を求めた。


「良いですよ。出費を抑えられてうれしいですから」


「おぉっ! ではよろしくい願いします」


「はい! よろしくお願いします」


 リーディアからすると、出費を気にした気長な一人旅の予定だった。

 それが、出費を抑えられる提案だ。

 世話になる分、多少の協力くらい問題ない。

 両者にとって都合が良いと判断したらしく、交渉成立となった。


「みなさんもよろしくお願いします」


「あぁ、よろしく」


「こっちこそよろしくな」


 軽い会釈と共に放たれたリーディアの言葉に、今回コンコーネ商会の護衛を受けた3組の冒険者たちも、彼女がいてくれれば安全に依頼を達成できると思えたらしく、好意的な反応を示した。


「わぁっ! かわいい!」


 エルヴィーノとセラフィーナも、他の冒険者同様の返答をしようとした。

 しかし、それより先にリーディアが黄色い声を上げる。

 エルヴィーノに抱かれているオルフェオを見たからだろう。

 黒髪黒目のオルフェオ。

 これで耳が尖っていたらダークエルフだ。

 しかし、そうではないことが分かるためか、リーディアは嫌悪することなく笑みを浮かべたのだろう。


「お二人のお子さんですか?」


「あぁ、そうだ」


「っっっ!!」


 リーディアの質問に、エルヴィーノは肯定の返事をする。

 いつもなら否定するのだが、説明するのが面倒くさくなったのか、もしくは少しでもエルフとの会話を短くするための返答だろう。

 しかし、その返答にセラフィーナが反応する。


「……奥さんはどうしたのですか?」


「……気にしなくていい」


 先程のエルヴィーノの発言に、セラフィーナは嬉しい気持ちでおかしな小躍りをしている。

 それを見て、リーディアは困ったようにエルヴィーノに問いかける。

 エルヴィーノからすると、セラフィーナがどんな考えをしているのか何となくわかるため、リーディアに放置するように進言した。


「よろしくお願いします」


「こちらこそ」


 言われた通り、ひとまずセラフィーナのことを置いておいて、リーディアは手を出すとともに声をかける。

 それを、エルヴィーノはポーカーフェイスで手を出し、リーディアと握手を交わした。



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