表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/84

〜after story 2〜


「明日のステージ、俺がリボン結んでもいい?」


昨夜、ひなたの恋人である大同がベッドの中でそっと右腕に手のひらを滑らせてきた。


「でも匠さん、明日はお仕事なんじゃ……」

「ふふん、そんなの祝日にしてもいいんだからなー」


得意そうに大同が笑う。

大同は中堅の不動産管理会社の社長だ。多少横暴ではあるがもちろんそういうことにも融通が利く。それこそ鼻高々な言い方に、ひなたは苦笑した。


「祝日だなんて、」

「何言ってんの。明日は記念すべき、『ヒナ』復活の日なんだぞ。もちろん、鹿島たちも来るしな」

「そういえば、小梅ちゃんからもライン来てた」

「だろー。俺が大々的に宣伝しておいたからなー」

「うわあ、緊張する。めちゃプレッシャー」


大同がニヤニヤしながら布団の中で顔を近づけてきて、ひなたの頬に軽くキスをした。


「それが緊張してる顔かあ?」


ひなたの表情筋の少ない顔を、大同が両手で包み込む。


「でもまあ、ひなちゃんなら大丈夫だろ。俺がついてる。ちゃんと客席、最前列で陣取ってるかんな」


そして、大同は次にはひなたのおでこにキスをした。ひなたは、ふふと笑う。その笑った唇をぱくっと食べる。大同はしっとりと、ひなたの唇を吸った。




(……匠さんが、ステージで待っていてくれる)


貰ったバンドエイドをポーチに入れる。少しでも慣れるためにと、パンプスは脱がずに部屋を出た。廊下を歩く。カツンカツンと音がする度に、かかとに痛みが走った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ