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その視線の先には


そして、今日に至る。


目の前に好みの顔がある。若さに少し戸惑いはあるが、完全に視線は釘付けだ。体型は細身でボンキュッボンなタイプの身体つきとはかけ離れているが、それは置いておいて。独特な雰囲気をまとうクールビューティーだと改めて思う。


ビルの屋上近くに設置されている大型ビジョンを、じっと見つめる女性。さっきから、その女性からまったくと言っていいほど、目が離せなかった。


大同はこの日、数年前に分社化したもう一つの本社の方へと、足を運ぼうと地下鉄に乗った。


この地方では中堅の部類に入る不動産管理会社の代表取締役社長。


叔父の会社を継いだ鹿島とは違って、大学時代の友人である羽多野(はたの)という男と二人で一から会社を興し、一部上場の一歩手前までに成長させた会社だ。

大同の腹心ともライバルとも言える羽多野とは、数年の共同経営の後に二つに分社化し、それぞれの会社でそれぞれが社長となった。


切磋琢磨の関係。どちらの会社も業績は順調、現在は鹿島と並んで、若手経営者として有名となる。甘いマスクにがっしりとした体躯。バランスの良い話術によって人たらしとの評価もある。


羽多野が経営する社屋へ行く場合、大同はいつもこうして、地下鉄で移動するのが常だった。大同の経営する本社ビルからは、地下鉄で六駅渡った方が、車移動よりも格段に時間短縮となるからだ。

羽多野とは時々、お互いに行き来をして、業績の報告や今後の戦略、経営相談などを交わしている。


そしてこの日。時計を見る。確かに羽多野との約束の時間が迫ってはいる。


(けれどまあ、そっちは遅刻でいいな……それよりこっちの方が重要だからな)


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