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心からの願い


「カメラマンの鮫島くんがモデルばかりを撮った写真集みたいなの出したんだけど、ひなたちゃんを二ポーズだけ載せてて。で、これもまた話題になってんの。飛ぶように売れてるらしい。それにも引っ張られてる」

「えっ、そうなのか? くっそ、鮫島のやつっ、勝手になにやってんだ!」


大同の体温が、カッと上がった。


「まあ、モデルやるかどうかはひなちゃんの自由だから、お前が文句言う立場じゃないと思うけど」

「そりゃそうだけど、気に入らねえ……あいつ、チャラいんだよ」


その言葉に、ぶっと吹き出すと、羽多野はくくくと笑った。


「はは、お前がそれ言う? めちゃ笑えるな」

「うっせー」


ひとしきり笑ってから、羽多野はデスクの上の書類を投げて、大同に渡す。


「まあ、お前がやるべきことは、決まってるんだけどね」


見透かされたような気がして、大同は声を上げた。


「ん⁉︎ ……な、なんだよっ。やるべきことってっ」


焦って出した声が、素っ頓狂なものになる。

そんな大同の様子に、羽多野が訝しげな顔で言う。


「なに言ってんの? この知名度をどう受注に繋げるか、でしょ」

「……え? あ、お、おう、任せておけ」


慌てて書類をカバンに入れる。


「なにを動揺してんの」

「べ、別に動揺なんてしてねえし」

「だいどう、」


羽多野にこうして丁寧に名前を呼ばれる時は、必ず自分の首根っこを掴まれる時だ。

羽多野の鋭い視線。

そして、もう一度名前を呼ばれてとうとう、ひなたに告白して玉砕したことを赤面しながら白状し、そして羽多野に腹を抱えて爆笑される羽目になったのだった。


✳︎✳︎✳︎


「あ、ひなちゃん……」


ようやく。会えたと思った。心から、願っていた。

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