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インパクトの中には


CMを作り直すと決めてから直ぐに、大同は羽多野を誘って居酒屋へと駆け込んでいた。

二人は生ビールを注文し、最初、先付けの枝豆を口に入れては無言で咀嚼していたが、そのうちとうとう大同が口火を切った。


「……カッコイイってだけだとよ」


大同がひとこと。生ビールをあおる。


「だから言っただろ。起用する女優なんて、知名度があってなんぼだぞ。誰でも良いわけじゃねえってことだ」


ガラ入れに、枝豆の皮を放り込む。


「そんなことはないでしょ。インパクトがあれば誰だって、」

「だから、そのインパクトってやつをどの部分に持ってくかってことだろ。もちろん音楽も然り、映像、キャッチコピー……色々ある中でだな。一番効果が高いのは、知名度の高い女優だ、と、俺は思ってる」


大同は焼きたての香ばしい匂いを放つ焼き鳥をひと口で頬張り、串を串入れに放り投げた。


「いやいや、そんな大女優に払う金、どこから出すのよ」


羽多野が呆れながらジョッキを持ちあげる。喉をゴクゴクと動かしながら、一気にビールを飲んだ。


「それより、その円谷さんって子、どんな子なの? 噂になってるよ、お前が女の子を会社にまで連れて来たって」

「ああ、そのことね……お前、わかってて訊いてるよな?」

「髪のこと? まあ、ちょっと聞いたけど……そうじゃなくてね、なんでお前が女の子を会社にまで連れ込んだんだ、ってこと」

「連れ込んだってなあ。ラブホじゃねえんだから……」


大同はもう一度、ビールを飲んだ。


「……例のCMをな、食い入るように見てたんだ。だから興味が湧いた。それだけだよ」

「美人らしいね」

「まあな。クールビューティーってやつだ」

「なあ、大同。その子に新しく制作するCMの計画案、見てもらったらどうかな?」


羽多野の言葉に大同は咥えていた串を落っことしそうになった。確かにひなたの前で口ではそんなようなことを言ってはいた。だがそれはナンパの意味であって、ただの軽口だったとも言える。


「はああ⁇ なんでっ⁇」

「内部の人間じゃ、ダメってことだよ」

「だからって、」


大同の言葉を遮って、羽多野が言った。


「まあ、ちょっと聞いてよ」

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