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第九十一話「攻略はtrial and error」



ゴブリン討伐戦が終わった後も慌ただしい日々が続いた。七日後には再戦の可能性があるという話───いつか読んだ本に書かれていたという、ちょっと無理がある説明だったが───は、半信半疑だが信じてもらえたようで、準備が進められたからだ。


勝利の余韻に浸る暇も無く、クロガネ達ゴブリンの事やらバルバロッサ対策の会議なんかにも出席させられた。ギルドだけでなく騎士団からも偉い人が出席していたので、国の方でも緊急性があると判断したのだろう。国が滅びる様な魔物では無いかもしれないが、放置する訳には行かず、倒しても七日後には復活する。討伐隊の人員確保や予算など問題は多い。ゲームのコンテンツとしては周回するものだが、現実じゃ傍迷惑だよねぇ。


クロガネ達の事は討伐に参加した冒険者から既に噂になりつつある。普通はそんな馬鹿なと流される様な話だが、森への立ち入りを禁止が正式に出された事で信憑性が増したようだ。

当然、国の方にも報告が入っていて、こちらも頭を抱えている問題だ。


そして七日後。

バルバロッサが再び現れたという報告が入る。


予想は最悪な方が当たってしまったらしい。


直ぐ様討伐隊が再編されるが、騎士団と冒険者ギルドの混成部隊に今回はクロガネ達も合流した。

前回の討伐戦経験者の私や〈紅蓮花〉〈春雷〉、アネットさん、メルディも参加。討伐自体は怪我人は出たものの成功したが、騎士団を中心にしたもののHP半分からのパワーアップしたバルバロッサの攻撃に耐えきれず結局私が盾を引き受ける事になった。


これでは私、若しくは同程度の防御力のある人材が居ない場合、討伐出来たとしても、かなりの被害が出てしまうだろう。今後の事を考えると騎士団と一般冒険者だけで討伐出来る攻略方法を確立させないといけないね。


お陰で、しばらくは王都に留まる事になった。報酬は大役なので弾んでくれたし、金銭面では有り難いんだけど、そろそろクロフォードのダンジョンが実装される筈なんだよね。

一番乗りをしなきゃいけない訳では無いだろうけど、様子くらいは見たいよね。忘れそうだけど、私の本命はそっちだし。



「とりあえずお疲れ様~」

「おつかれー」


私達は、夕御飯を摂りにギルドに近い冒険者御用達の酒場〈一期一会〉に来ている。

店内は、和装───異世界物では良くある日本っぽい文化の国が大陸東部にあるそうで、その国出身の先代が始めた店なのだそうだ。

メニューも和食系が多い。お刺身に焼き鳥に煮物、焼き魚がメインで、日本酒や焼酎みたいなお酒の種類も豊富。ううん、お酒に弱い今の身体が残念過ぎる~。


「これ結構酒精は強いけど、香りがいいな」

「透き通っていて綺麗だねー………うん、オトオシの煮物にも合って美味しい~」

「この店は初めてですけど、期待できますね」


お通しは鶏肉と南瓜と蓮根、里芋の煮物ですか。うん、昆布の出汁が優しい味。

ユースとシシリー、アークの三人は日本酒っぽい米酒。普段は蜂蜜酒が多いっぽいけど、今日はお店のお薦めの銘柄だ。


「今日のお薦めは………秋刀魚かぁ。お刺身も出来るんだ」

「炊き込み御飯も良さそうですわね」


ノンアルコール組の私とシャルちゃんは、早速御飯物を物色中。海鮮丼が美味しいと聞いていたけど、それは惹かれるなぁ。うん、お刺身に炊き込み御飯。秋刀魚尽くし、イイネ!


そろそろ秋だねー。まだまだ日中は暑いので冷たいメニューも良いけどね。


「秋刀魚良いわねー。私は塩焼きと熱燗ね」

「ん。私もそれで」


アネットさんとメルディは一杯目の麦酒を飲み干して、二杯目に突入。アネットさんはともかく、メルディは幼女がジョッキでぐびぐび飲んでる様にしか見えない。この国ではアルコールに年齢制限は無いし二十歳も過ぎてるから問題無いが………絵面ェ。


「………」


そして静かにグラスを傾けるイザークさん。

…………は!ちょっと見とれてしまったわ。寡黙に飲む姿がクールよね。やっぱり推しキャラだわー。


「テンプラ!テンプラが食べたいわ!」


そして「はい!はい!」と手をあげるアンジェリーク侯爵令嬢。


……………なぜ、ここにいる?


アネットさんとメルディは討伐に加わってるし、一応「バルバロッサどうすりゃいいんだ?」会議の今日の席での相談相手でもある。イザークさんは仲間だし、むしろ本命。


「皆で美味しい物を食べるというのに仲間外れはズルいです!」

「いや、侯爵家の王都邸なら美味しい物は出るでしょうに」

「それはそれ、ですよ。ブランド牛のステーキは美味しいですけど、屋台の串焼きもありですね」


それには同意する。裕福な侯爵家にもなればB級グルメ的なメニューは出ないかもだけどさぁ。

この令嬢、庶民派なのね。


「侯爵家と言っても、私は既に貴族席から抜けてますから。父は何処かの次期当主辺りと………なんてまだ諦めて無いようですけど」


ああ、この人成人してるし、そうなるか。侯爵家と繋りを持ちたい貴族は沢山いるだろうから、嫁入り先に苦労するクロフォード家とかエスト家みたいな辺境男爵家とは違うだろうけど。

てか婚約者とか居ないんですかね?


「そんな事より、テンプラですね!盛合せはエビに茄子、甘藷にミョウガに蓮根。キノコとかはまだ早いかー……」

「いや、ここはバルバロッサ対策の話じゃないんですかね」

「カトレアちゃんがご飯を後回しにするなんて……」


アネットさん……。そこまで腹ペコキャラじゃないです。たぶん。


「それにバルバロッサ……だっけ?多分、なんとかなるんじゃないかな?おばあちゃんに連絡しておいたから」

「………おばあちゃん?」


怪訝そうな顔で聞き返した私に、アネットさんから意外な名前が飛び出した。


「〈白の魔女〉マドカ・アサヒナよ」


お読み下さりありがとうございます。

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