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第六十三話「レアアイテムゲットだぜ!」


「え、どういう事‥‥‥?」

「ゴブリンが消えていく‥‥これはダンジョンと同じ現象‥‥?」


ダンジョン探索の時にも書いた気がするけど、同じ魔物でもダンジョン産と外界に暮らす魔物は違う。

恐らく、ダンジョンは外の魔物をコピーしてダンジョンポイントとか魔力とか何かを使って産み出している為、死ぬと消えてしまう。見た目や強さなんかは違いないので判別は出来ない。


「〈小鬼の迷宮〉から出てきた個体でしょうね。稀にそういう事があるとは聞きましたが‥‥」

「ダンジョンは警備をしているけど、どこから出てくるの?」


解説キャラのアークに聞いてみると、別に入口の警備は常に立っている程ではないそうで、基本的には監視小屋で待機なのだそうだ。

冒険者は講習を受けないと入ってはいけない規則だが、入ろうと思えば誰でも入れてしまうが不審者なんかには声を掛け、講習済みでなかったら罰則があるという感じ。

日本の自動車免許みたいなものだね。


私が入った時は講習会だったので立っていたっぽい。まあ、人件費の問題とかあるしね。

ただ、〈小鬼の迷宮〉以外の危険だったり有用なダンジョンでは厳重に管理されている所もあるみたい。


「なので、ふらっと魔物が外に出てくる事もあるそうです。ここは距離的にも数日以内ですから考えられなくはないと思います」


ダンジョン産ゴブリンなのは間違いない訳で。

死体が消えた後に残った数枚の銅貨を拾い上げ、私は首を傾げた。


こういうのって、後から「あの時のアレはこういう意味だったのか」っていうフラグなのよねー。

チラチラ。


とりあえず、今日の所はおやすみです。



翌朝、昨晩はお腹いっぱい食べたし、胃に優しい梅のお粥とお豆腐とネギの御味噌汁。朝御飯は軽く食べておき、シルクウォームの生息圏に向かった。


幸い蚕達は大人しくなったようで、モゾモゾと桑の木に似た木の葉を食べてまったりと過ごしていた。

そこの君たち、私にタックルしまくってたというのに「私何もしてませーん」みたいな顔しやがってからにーー!

まあ、逆に「昨日はよくも親分をやってくれやがったな」とか言って襲ってこられたも困るんだけど、なんとなく釈然としません。


 とりあえず、刺激だけはしないように蚕達を迂回しながら奥へと進んだ。

 そう言えば、蚕も普段からあんなに群れているんだろうか?なんかこの一帯の群れとしては数多くない?桑の木食べ尽くしてしまいそうな勢いの群れだったと思うんだけどなぁ。蚕達のスピードからして、かなり遠くの群れまで来ていたとは思えないし。


 うーん、もしかして何か起きてない?

 いや、王蚕がいた時点で珍しいから、あれが現れたから蚕が多かった可能性というのもあるか。

 ロード種って大体そういう感じらしいしね。


 昨日訪れた王蚕のいた広場を過ぎてしばらく。重なるように木々が倒れた区画に辿り着く。

 そこには、幾つかの蚕の繭と……一際大きな銀色の繭が二つあった。


 「これは、もしかして王蚕の繭!?」

 「かもしれません…!!」


 最初に見付けたシシリーが叫ぶ。これはまたレア物GETの予感!


 「しかし、更に二匹も王蚕がいた事になるってことか」

 「うーん、生態とか分らないけど、ロード種って突然変異みたいな物なのかな?それとも通常種とは別なのかな?そこら辺で違うとは思うけど~。まあ、学者さんじゃないからどっちでもいいか」

 「まあ、特別蚕の生態に興味はねえけどな」


 そういうのは学院の学者さんとかに任せる。私達は今回の目的である繭の採集ができて一安心。

 ちなみに、繭って生きてるから《空間収納》に入るのかなーと思ったらすんなり収納できた。生体不可の筈だが、結構アバウトな仕様なのかもしれない。

 深く考えると、物についてる雑菌とかウイルスとかもいるだろーし、魔法的ななにかご都合主義がはたらいているのだろう。


 「ともかくミッシュンコンプリートってね。後は狩りするにしてもファングウルフやゴブリンじゃ仕方ないし、とっとと帰りますかー」

 「服を作って貰うにしても時間がかかりますものね」



 そんな訳で、私達は帰路につく。あれから、ファングウルフには会ったが、ダンジョン産どころか普通のゴブリンにも遭遇はしなかった。ゴブリンどこ行った?

 なんか生息域とか変わってるのかなー。変なフラグだけは、勘弁して欲しいと思っていても付いて回るのが主人公補正という奴で。


 ランちゃんのお店に行く前に私達は冒険者ギルドに寄るのだが、ギルド内にはそわそわしたような空気が漂っていた。


 「ちょっと駆け出しの子達が南の森に行って戻ってないの。それと<小鬼の迷宮>でまた大規模な変化があったみたいでね、調査中なのよ。ダンジョン近辺の事なのでもしかして関係もあるかもしれないし、ギルドでもちょっと問題になっているわ」


 いつもの可愛い子好きな受付嬢'sに討伐と採集の報酬の確認をしてもらいながら、何かあったのかと聞くと、こんな答えが返ってきた。


 駆け出し冒険者が行方不明なんて事は、言っちゃ悪いが「よくある」事だ。

 実力がないのに無茶をしてしまったり、準備が不十分なまま森の奥やダンジョンに潜って帰れなかったり、不意の事故に巻き込まれたり、それこそ戦闘で全滅とか。

 ゲームと違って死に戻りなんてないから、冒険はいつも死と隣り合わせなのは覚悟していないといけない。私達もお気楽に遠足気分で出掛けているから意識しないといけないけど、まあ前世だって外に出れば交通事故なんかの危険はいつでもある訳で。


 「そう言えば、私達が行った東の森でゴブリンに遭遇したんですが・・・・・・」


 一応関連がないとは言えないのでダンジョン産ゴブリンの事、それから私の想像力豊かな(ラノベ展開の)妄想で関係はないとは思うけど参考までに、と普通のゴブリンには出会わなかった事と蚕のロード種の事も報告しておいた。


 「ありがとうございます。関連性は分かりませんが、上にはあげておきます。あ、こちら報酬になりますねお受け取りください」


 薬草採集とファングウルフ討伐はそれなりの数ではあったが、金貨一枚に満たない程度なので今回は全てPTの共有費(食費)にあてる事にした。


 さて、お待ちかねのランちゃんのお店<ラピュセル>に行くぞー。

お読みくださりありがとうございます。

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