第五十八話「王道は魚介豚骨だと思う。異論は認める」
さてー、お昼なんだけど時間が中途半端なんだよね。どうしよっかと思ったけれど、こういう時は屋台が一番!適当に軽食を見繕ってイートインで食べる事にした。
今日は中華っぽい気分だったので、中華粥に小籠包、春巻。時間も遅めなので軽めに。シャルちゃんはタコスとチリドック。またシェアしていただきます。
タコスパワー補充だじぇー。
その後は、雑貨店などを回ったりして細々とした物買う。
それから、魔道具店で魔物避けの香を一応数日分購入。一晩効く程度のもので金貨一枚。日本円で一晩使いきりの虫除けが五万と思うと結構お高いけど、シャルちゃんと二人だと見張りは交代でするから念のためね。一人だと危ないし。
夕方近くになったので、冒険者ギルド前に。
シシリーとユース、アークが既に待っていてくれていた。私達を見付けて、手を振っている。
「みんなー、お待たせ~」
「アークとユースもお久しぶりですわ」
「お二人共、お久し振りです。お元気そうで」
「ああ、久しぶりだな!」
シシリーから連絡してもらい、今日は皆で夕御飯なのです。アークとユースからもお話し聞きたいしね。
シシリーは昨日会ったけど、アーク達も頼もしくなった?男子三日会わないとなんとかって言うくらいだしね!
「二人も鉄ランクになったのよね、おめでとう!」
「ありがとうございます」
アークは相変わらず丁寧に応える。く、これで婚約者とか居なければ、結構タイプなのにっ。うん、ユースも悪くないけど、シシリーの本命はユースな気がするんだよなー。本人自覚してるか解らないけど。
「色々聞きたい事もあるけど、今日はどうするの?」
「ふふふー、それは着いてのお楽しみだよ!」
お店はシシリーにお委せした。この三ヶ月程で色々開拓したそうだ。以前はお金もカツカツだったみたいだけど、今は鉄ランクになったので依頼の報酬も上がってるし余裕も出来てきただろう。
ちゃんとご飯が食べれるのは良いことだ。
やって来たのは、南区にあるラーメン店。
以前シャルちゃんと行ったお店も近くにあるけど、この辺りはラーメン激戦区か?他にも何軒かあったよね?
「っらしゃいぃー!五名様?奥のテーブル使ってくんな!」
威勢の良い店主の声。三人いる店員さんもきびきびと動いていて、雰囲気は良さそうだ。
「ここは最近出来たお店で、まだそこまで有名じゃないけど、つけ麺が美味しいんだよー。あとサイドメニューでチャーシュー丼もお薦めだよ!」
‥‥という事で全員がつけ麺とチャーシュー丼を頼む。まあ、つけ麺以外のメニューが無いのですが。
それだけに自信が伺える。
待ってる間にアークとユースの成果を聞かせてもらったが、アークは《神聖魔法》、ユースは《氷魔法》を取得したそうだ。
アークはサポートに特化した感じ。〈緋色の槍〉のエドガーさんと組んで《神聖魔法》の有り難みを感じてるので、嬉しいね。
ユースは攻撃の幅を広げた訳だけど‥‥そのうち火と氷を融合してメド○ーアとか使えそう。一応、火だと素材が傷むので違う属性をという考えみたいだけど。
シシリーも含め、後衛が充実した感じで頼もしい。私も《挑発》覚えたし、PTとして安定感出たね。
「はいよ、つけ麺とチャーシュー丼、お待ち!」
そんな話をしていたら、つけ麺が届いたので早速いただきます。
スープは海老の出汁が効いたトロリとした味噌味。これが極太の麺に良く絡む。海老の甘みが濃厚で癖になりそうな味だね。
トッピングの煮卵も黄身がトロリ。あと、チーズとバジルソース。最初は???と思ったけれど、意外な組み合わせで合ってます。イタリアンな感じ。
「王道ではないけど、コレはありですね」
「好きな人はハマりそうですわね、わたくしは結構好みですわ」
続いてチャーシュー丼は、チャーシューと葱に甘辛のタレ、その上に刻み海苔と白胡麻。こっちは割りと普通‥‥と思ったけど、これも海老の出汁が効いてます。海老尽くしだねー。
私としては、王道の味でないだけに毎日食べたい訳ではないけど、たまには違った物を‥‥と思うと候補に入るお店かなー。
「それで私達は素材採集に東の森に行く予定なの」
「なあ、それ俺達も行っても良いか?」
私達が王都に来た目的の防具の新調の話をして、明日辺りに出掛ける事を告げると、アークが同行を申し出てくれた。
「来てくれるのは嬉しいけど、講習とかは大丈夫?」
「俺とアークは問題ないよな?」
「はい、シシリーはどうする?もう少し掛かるって言ってたよな?」
「カトレアちゃん達とも久しぶりに一緒に行きたいし、お休みすれば大丈夫!」
少し考えてたシシリーだが、一緒に行く事となった。講習は個別なので休んでも大丈夫らしい。
駆け出し冒険者は生活費などの為に依頼を受けないといけないから、自動車学校みたいに空き時間に予定を入れる感じみたいね。
「じゃ、出発は明後日にして皆で行こうか。ついでに明日ギルドで東の森で出来る討伐依頼とか採集依頼探してみればいいしね」
「ああ、それで行こう」
「久しぶりにカトレアちゃんのご飯が食べたい!」
今、夕食を食べているというのに、元気に手を上げるシシリー。この子も私と同類だなぁ。
「お前、それが目的じゃないよな?」
「ち、ちが‥‥いや、それも無くもない感じ?」
三人も同行する事になって、また賑やかな小旅行になりそうです。
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