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第四十四話「世界の謎に迫る─迷宮はこうして生まれた─」

カトレア視点ではありません。


巷に家庭用ゲーム機が普及して、RPGが流行った頃に、お手軽にオリジナルのRPGを作る事が出来る「作っちゃう?」シリーズが発売された。


そう、「ぼくのかんがえた、さいきょうのRPG」を実現出来るというソフトに、ゲームクリエイターになりたいと思っていた少年少女は飛び付きました。



こんにちは。

世界管理局の乙4種限定神ポーレットです。


今日も早朝出勤で、現在午後二時を回りましたが、お昼休みが取れずに、出勤前に購入した栄養ドリンクとメロンパンを片手に特異点の処理中です。


あー、もう、毎日どうしてこうも世界の綻びが発生するのか。ええ、解ってます。最初に「なんか光っちゃえー」とかテキトーに大地を作った創造神の不手際です。

お陰様で、こうしてどこかで歪みが出来て、世界の危機が人知れず発生するんです。

下界の人達は、ストレス解消に爆裂魔法を使った時の衝撃波とか、ドラゴンが寝惚けて放った始原魔法とか、勇者が包丁代わりに神剣でお魚捌いた時の余剰エネルギーで世界が滅びそうになってるとは思わないでしょう。ええ、大陸じゃ群雄割拠の戦国時代やってますからね。誰か止めろください。


それを何とかするのが、私達、管理者なんですが、只でさえ忙しいのに、先日余分な仕事まで回ってきました。神造ダンジョンの建設です。

大陸の南端のある地方に、偉い人がちょっとダンジョン作っちゃおうぜとか言い出したから、昔ダンジョン作成のツールで途中まで作って投げ出した経験のある私にお鉢が回ってきました。


「君の昔作ってた作品(黒歴史)見させて貰ったよ。あんな感じで、一つ頼むわ」


ポンと私の肩を叩いて、アルテイシア様が言いました。


ヤーメーテー。


ええ、ええ、確かにあのシリーズには手を出しました。プログラムなんて自分じゃ出来ないお子様にも作れるとか凄いです。


でもね、スッゴい面倒くさいんだよ、あれ。


確かに、コツコツやれば、オリジナルのゲームは作れる。当時はコンテストとかもありましたね。優秀作はグラフィックとかBGMも自分で作った、本当にあのツールで作ったの?みたいな作品とかね、出来ちゃうんです。

あれはどのくらいの労力だったのか。


私は最初の町のマップを作り、NPCを配置して、受け答えの台詞とかを書いてる時点で面倒になって、そっとソフトを中古の買い取りに出しました。

5800円したそのソフトは、同類が多かったのか、発売して間もないのに300円にしかならなかったのを覚えています。


その私にダンジョンの設計をしろと?

で、普段の業務の担当分も減らしてくれない?

ふざけるなー。


その日は終電にも間に合わなかったので、ネットカフェで缶チューハイ三本空けました。


でも、お仕事なのでやらないといけません。

納期は半年間とか言っちゃったそうなので、時間が全然ありません。普通ダンジョン制作って百年計画でやるもんじゃないの?

それを半年とか可笑しくて涙がでちゃう。だって女神だもん。


でも、頑張ります。これが完成すれば、念願の部署異動をさせてくれる約束を取り付けたのです!

こんなブラックな職場とはオサラバだぜ、ヒャッホーーー!!!


それから、そろそろ二ヶ月になりますが、遅々として作業は進んでません。やる気はありますよ、ええ。だから通常業務がーーー、ああ、また、あいつか!このクソ勇者!ほいほい神剣は使うなと言っただろう!

ああ、こっちの特異点にまで影響出ちゃってるよ。また面倒な‥‥‥。


「どう?ポーちゃん、ダンジョン進んでる?」

「あ、アルテイシア様。やっぱり無理ですよー、半年間だなんて。せめてあと四年くらい納期伸びませんかね?」

「うん、ダメだよ☆」


やっぱダメかー。

まあ、話は更に上の神から来てるから、アルテイシア様には何とも出来ないんだろうけど。


「まあまあ、今日はノー残業デーだし飲みにでも行って英気を養いましょうか」

「そういえば、翌日を徹夜にする為に帰らされる日でしたね‥‥‥」


組合が残業無しで定時退勤ができる職場を目指して出来た日は、強制的に帰らされる。

うちの仕事は放置すると、特異点が大きくなったり、他の問題起こしたりするので、出来るだけ小さい内に処理したいんだけど、例外無く帰らないといけなくて、翌日は徹夜コース確定となる。


そんな訳で明日を考えると憂鬱だけど、アルテイシア様と行きつけの「炭火焼き鳥かっちゃん」の暖簾をくぐる。


「おっちゃーん、生ビール2つとおまかせ盛り合わせ十本串でお願いしますー」


いつものカウンター席。女神二人呑みはいつもの事だけど、ちょっと寂しい。


アルテイシア様は先輩の上司だけど、甲一種だからスキル管理者としても忙しく、私と同様にブラックまっしぐら。無理も言うけど、こうして部下を誘ってくれたりと面倒見はいいんだよね。


───自分の数年後の姿みたいでさぁ‥‥。


同僚にはそう言われている女神だ。


「よし、今日もお疲れさん~」


ジョッキを合わせて、ぐいっと一気に流し込む。

ふぃー。疲れた身体に沁みる~。

焼き鳥だって、もりもり食べるわ。やっぱりネギマが最高ね。通を気取った(ひと)は、稀少部位のセセリとかぼんじりとか言ってたけど、王道こそが正義だよ。


「そういえば、ダンジョンのギミックなんだけど、こっちで考えておいたのよ」

「それは助かります~。デザインまでとか時間足りなくて、どうしようかと思ってました」


アルテイシア様、あなたは神か!?


「それで、このボスに初見殺しのこーいう仕掛けを入れて‥‥」

「それなら、前の階層のこのクエストを‥‥」

「いいね!気付いた時には、みたいで!」

「この鬱憤は挑戦者で晴らしてやるぅー」


上の愚痴を吐き出して、二人で騒ぎ、店を出たのは終電間近。やばっ、急がないと乗り遅れるー。


ふらふら走るアルテイシア様の手を引きながら、明日は大変だろうけど、頑張るかと思ったり。

お読み下さりありがとうございますm(_ _)m

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