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第四十三話「クロフォードよ、私は帰ってきた!」


慰労会は大成功だったと思う。

ステーキとデザートを出し終えても、飲み会は続き、夜半まで喧騒は消えなかった。


お肉の事では、結構聞かれたけど、美味しいですよねと笑って誤魔化したが、シャルちゃんやオスカーさん辺りは分かっているようだったし、ケイトリンさんには、余りにしつこく聞かれたので亜竜の肉と答えると、これは鍛え直さないといけないなーと、かなり本気で呟いていた。



そして、二日後に正式に救援部隊は解散となった。

ほとんどの冒険者はノルディンに戻る。私達はクロフォードに向かうので、ケイトリンさんとパウロ氏ともお別れだ。


「次に会った時は美味しい魔物討伐依頼でも一緒にしようね」


‥‥というケイトリンさんと。


「いやぁ、彼女ができちゃいましたー」


パウロ氏、精々お幸せにだよ!ちくせう。

台詞が会った時とこれしかない癖に!



グリムを出発した私達は、一路クロフォードへ。

半日も過ぎると、グリム山地を抜け、クロフォードの平原に入り、そこからしばらく進めば見慣れた田園風景が見えてくる。

旅立った頃は田植えが終わったばかりだったけど、すっかり育ち青々とした稲が風にそよいでいる。


「予想以上に田舎ですわね。エスト領も大差ありませんけど、わたくしまで故郷に帰ってきたような気分ですわ」

「あはは、シャルちゃんの所も一緒かー」


懐かしそうに、そんな景色を見るシャルちゃん。

王都の賑わいもいいけど、やはりのんびりとした田舎の風景が落ち着くよね、

これもダンジョンが生まれ、開発が進めば変わるのだろうか。


夕闇が辺りを包み始めた頃、馬車はクロフォードに到着する。町外れにあたる所に、真新しい仮設宿舎が増えていたけれど、中心地は相変わらずのようで、ちょっとホッとした。


「お疲れ様でした。なんとかたどり着けましたね」

「行きも盗賊が出たりはしましたけど、帰りは予定が大分延びちゃいましたねー」

「まあ、これも経験だと思うがな!」

「うむ」


ギルド前で馬車を降りる。クロフォードには、ちゃんとした宿がないので、訪れた商人や冒険者は、ここの宿舎を借りて使う。長期になる場合は、空き家を借りる事もあるけど、そういう人はあまり居なかった。


オスカーさんとダグラスさんは、しばらく商業ギルド関係でクロフォードに滞在、ガットさんとミハエルさんはグリムで別れるかという話もあったが、折角ここまで来たので、近辺の討伐依頼を受けるとクロフォードまで来てくれた。

こちらのメンバーとは、もうしばらく顔を合わせる事が出来そうで良かったです。


ここで四人と分かれて、私とシャルちゃんは、クロフォード家に。グリム伯爵のお屋敷みたいな立派な家ではないけどねー。


「ただいま戻りましたー!」

「「「「お帰りなさい、カトレア」」」」


玄関を開けると、待っててくれたようで、家族総出でお出迎えだ。

父と兄──は、先日グリムで会っているけど──母とマリアンさん。変わり無く元気そうで良かった。

きゅっとハグでご挨拶です。


「しばらく顔を見れなかったけど、元気そうね。あなたの事だから、ちゃんとご飯は食べていたと思うけど、王都はどうでした?」

「とても賑やかで、美味しい物もいっぱいでした。あちらで色々仕入れて来たから、夕食は作りますよ!皆にも食べて貰いたいです!」


こっちじゃ海の幸なんかは手に入らないしね。


おっと、いけない。シャルちゃんは、母とマリアンさんは初対面なのでご紹介しなくては。


「それから、この子が‥‥‥」

「初めてまして、お母様ですわね。シャルロッティ・エストと申します。しばらくお世話になりますと思いますが、よろしくお願いいたしますわ」

「まあ!あなた、カトレアがお婿さんではなくて、お嫁さんを連れてきたわ!」


シャルちゃんの挨拶に、驚く母。

母、いくら縁談がなかったとは言え、それはちょっとないです。


「何、そうだったのか!それならば、そうといってくれれば良いのだぞ。少し驚いたが、カトレアが選んだ相手なら反対したりはせんぞ?」

「そうよね。子供なら養子を取っても良いですから、問題ありませんわ」


父、ちゃんと慰労会の時にダンジョン攻略の仲間だと紹介したよね。え、隠さなくていい?

娘が百合趣味に走っても、笑って許す、凄い理解のある両親ですが、いや、違うからー!


「ち、違います!普通に冒険者の仲間でっ!」

「そ、それも悪くはないかしら‥‥‥」


シャルちゃん!?そこで、乙女みたいに顔を赤らめて、満更でも無さそうにしないで!

今のところ、お互い出会いは無いけど、諦めちゃダメだよ!諦めたらゲームはそこで終わりだって偉い人が言ってたでしょ!


婚約者が居ないから、婿の代わりに嫁を探してきました!‥‥‥とか言う落ちじゃないよね?

称号さん、百合はオッケーなんですか!?


誤解を解くのにしばらく掛かりました。


夕食は、折角なので海鮮よね。

鮭のムニエル、アクアパッツァ、鯛のカルパッチョ、海草のサラダに、蟹のクリームパスタ!

ちょっと遅くなってしまったけど、マリアンさんと一緒に頑張って美味しくできたかな。



こうして色々あったけど、私の王都遠征の旅は終わりました。出会いも別れも沢山あって、経験値いっぱい稼いだんじゃないかな?

ダンジョン攻略に向けて仲間も出来た。

アーク達三人も王都で頑張っている筈だし、私だってもっと強くならないとね。

まだしばらく時間はあると思うので、明日からは修業パートだよ!

《空間魔法》も使いこなせるようにしないといけないし、頑張ろうーー!

お読み下さりありがとうございますm(_ _)m

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