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第三十九話「グリム領都到着と食材ハンターの美味しいお仕事。」

34辺りから話数間違えてましたので修正しました( ̄□||||!!


「〈再装填〉!行きますわよ、〈破岩掌〉!!」


シャルちゃんが両手に魔力を込め、目の前の大岩に解き放つ。大岩に光の筋が幾つも走ったと思うと、ドンっという大きな音と共に、岩は砕け散った。


「おーーー!やるなぁ、エストの嬢ちゃん!」


兵士達からの喝采に、シャルちゃんは、「当然ですわ」と胸を張る。

まあ、私が岩なら収納して適当にどこかで捨てても良かったんだけどね。


アサヒナ湖畔の沼地を抜け、街道はグリム山地を登っていく。時折、崖崩れが起き街道が埋まってしまった場所があって、こうして作業に入る事があったが、あと少しで領都に到着できる筈だ。


シャルちゃんはすっかり兵士さん達の人気者のようで、ああしてちやほやされている。あっちでも色々あったんだろうな。


《土魔法》で通れるように残った土砂を片付けて、先へ、先へ。

坂を登りきると視界が開け、ついに葡萄畑が広がったグリムの風景が見えた。


「やっと、着いた────」


葡萄畑の先には領都グリムの白い建物が見える。この辺りは大きな影響はないようで、街道はまっすぐ領都に続いていた。


出発から、六日が経っていたが、ついに私達はグリムの町にたどり着いたのだった。



「ノルディンから救援物資が届いたぞー!」


救援部隊の到着に、町は活気付く。


私達は町に入り、広場に着くと、グリムの役所の職員さん達に報告、町の倉庫を借りて収納していた物資を放出した。

山のようなその量に職員さん達は驚き、そして感謝し、広場で気だるそうにしていた避難して来た人達も顔を上げた。

グリムも豊かな町だけど、夏の前の時期、やはり食料品などは備蓄も減っていた筈で、そこに避難してきた人々が加わり不自由していたのだろう。


「皆さん、本当にありがとう。これでしばらくは大丈夫です。おやすみ頂ける宿舎を準備していますので、そちらでお寛ぎ下さい」


領都周辺の復旧作業はこれからだし、まだまだやる事は、たくさんあるけど、私達は宿に案内されて久しぶりの美味しい食事と、柔らかなベットで疲れを癒した。


翌日、第一陣のノルディン領軍の兵士さん達は、ノルディンに帰還する事となった。一度戻って報告と再編成をして、物資と共に正式な災害救援部隊として、また来るそうだ。

私達ギルドから派遣された組は、グリムのギルド預りになり、しばらく依頼として出される復旧作業の手伝いをする事にした。

ダグラスさんは、まだノルディンだし、オスカーさんはグリムの商業ギルドの方でお手伝いで忙しいらしい。


「最近は炊き出しの仕事が多いので、料理の腕が上がった気がしますわ」

「女子力アップだよ、シャルちゃん!」

「それに冒険者をやってるなら、こうして野外での調理が出来た方が良いですよー」


本日のお昼は、いも煮。

各地方で味付けや内容が異なり、何処のいも煮が正しいのかと激論が交わされ、時には乱闘にまで発展するという、アレである。


最初の内は、私達も近隣の村の調査や土砂崩れなどの対処にも出たが、大まかな部分が終わると、村人も戻り始め、主な仕事は土砂が流入した家屋などの片付けが多くなり、私達女性陣は力仕事よりも、こうして炊き出しの仕事が増えた。

ガットさんとミハエルさんは、そっちの仕事で大活躍みたいだけど。


「そう言えば、ケイトリンさんって食材ハンターでしたっけ。やっぱり幻の珍味とかみたいな感じなものを探したりするんですか?」

「あはは、そう言う依頼も無くはないんだけど、まあ、手に入れるには、ちょっと大変な食材探しってのが殆んどだよ。魔物が多い地域の山菜や茸とかの採集だったり、山奥の狩りが難しい獲物とかね」


別にギルドで食材ハンターなんて制度はない。自身の目的が、美味しい物を食べたいからっていう理由で、その手の依頼を受けている人達が、通称食材ハンターと呼ばれているのだそうだ。

彼らは、美味と言われる食材を求め、危険な森に入り、大型の海生魔物が犇めく海に乗り出す。

そう言えば、王都で深海魚の捕獲依頼とか見た気がするね。アンコウ鍋とか良いなあ。じゅるり。


「それは当然、その場でしか食べれない美味しい物があるって事なのよ!」


じゃが芋の皮をを剥きながら力説するケイトリンさん。その手付きは流石です。


ああ、あれだよ。漁師さんの鮮度が直ぐに落ちてダメになる魚は売り物にならないので、その場で頂く漁師飯とか、そーいう奴?


当面の目的はダンジョン攻略だけど、その後は食材ハンターを目指すのも良いなー。私にピッタリじゃない?



そんな日々を送っていたら、グリム領主である、ラインハウト・グリム伯爵から、私とシャルちゃんに招待状が届いた。

何だろうと不思議に思ったが、領主直々のご招待とあっては断れる訳もないので、領主邸からの迎えの馬車に乗り込んだ。

正装なんてもってないんだけどと思ったが、冒険者としての格好で大丈夫という事で、ホッとする。


そして。


「カトレア・クロフォード男爵令嬢、並びにシャロッティ・エスト男爵令嬢に、グリム領主として〈グリムの救済者〉の名とグリム紅綬褒章を与える!」


[称号《グリムの救済者》を獲得しました]


ええー、私達、頑張りはしたけど、そこまでの活躍はしてないよね?!

お読み下さりありがとうございますm(_ _)m

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