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第三十七話「100メガあれば何でも入る時代もありました」


グリムの豪雨災害の報に、各ギルドと役所は慌ただしく、救援部隊の人員や食糧や薬などの物資の手配に追われる事となった。


この世界には重機等は存在しないが、スキルがある。《土魔法》などで壁や足場をを作ったり、探知系のスキルであれば、崩落に巻き込まれた埋もれた人を探し出す。

また災害時に必要なライフラインの確保だが、《生活魔法》によって水が生み出せ、浄化で衛生面も保て、点火で火を起こし暖を取れる。

上手く生き残りさえすれば、有事の際の生存率は、現代日本よりは高いかもしれない。


だが、領地間の距離があり、ヘリコプターなどで一気に現場に迎えたり出来ない為、もたもたしている訳にはいかない。ノルディンからグリムまで通常でも馬車で四日も掛かるのだ。

多分クロフォードにも連絡は行っているので、あちらからの救援も出ると思うが、物資の余裕はそれほどないだろう。


まず数時間の内に第一陣の領軍が中継拠点の確保に向かった。後続の部隊が休める天幕などを張りながらグリムを目指す。途中何かあれば連絡の早馬を出す斥候部隊でもある。

この間に、物資の確保を進めるのだが、ダグラスさん、オスカーさん以外の四人には出来る事が無く、この日は宿で待機となった。


あまり食慾はなく、軽く夕食を取り、雨が降り続く外を眺めていたが、ガットさんに「今は休め。ここはダグラスさん達の戦場だ」と言われ、早いけど就寝。私達の戦場は、災害の現場なのだから。


翌朝、ノルディン近郊はの雨止み、雲間から朝日が顔を出していた。

焼いたカンパーニュとスープで簡単な朝食を取り、ギルドに向かう。


明け方に続報が届き、グリム近郊の川沿いの村は緊急避難命令が出て、領都に移動中。山合の村も自主避難が始り、おそらく避難民の数は二千を越えるという事だった。


「ダグラスさん、これ使って貰えませんか?」

「これは‥‥‥結構な額ですね」


商業ギルドを訪れた私は、ダグラスさんを訪ね昨日のお金を渡した。避難民と救援部隊の食糧分だけでも、かなりの予算が必要で、今集まっている物はノルディンから集めた物だろうけど、これから王都で買い付けたりもしないといけないだろう。

勿論、国からの予算も出るだろうけど、とりあえずの現金はいくらあっても足りない筈だ。


開発よりも、今は復興が先だろう。父に返す分は、お小遣い枠を削れば、預かった分くらいはあるからね。増やして返せないのは残念だけど。


「私が狩った獲物の解体を頼んでおいた物の代金なんです。足りないとは思いますが、クロフォードからの支援の一部として使って貰おうかと」

「‥‥‥そうですか。分かりました、お預かり致します」


ダグラスさんは少し驚いたように私を見るが、何かに納得したようで、受け取ってくれた。


さて、私のお仕事だ。

商業ギルドの倉庫には携帯食や日保ちする物など、長距離の輸送でも大丈夫な物を中心に食糧と薬などの医療品や毛布などが集まってきている。

ノルディンで集まった《収納》スキル持ちは、私とオスカーさんの他に二人。


「鉄ランクのパウロだ。ノルディンをホームにしてる。俺は量は大した事ないんだが、こう言う時だ、少しでも足しになればと思ってね、よろしく頼む」

「銀ランク、ケイトリンよ。私は食材ハンターで偶々居合わせたんだけど、報酬も悪くなかったんで。容量はそれなりにはあるつもりだったんだけど‥‥‥流石に千人単位の物資は多いわね」


山積みの物資を見上げ、二人は肩を竦める。


「商業ギルドのオスカーと申します、よろしくお願いします。ギルドで積載用の荷馬車も用意出来ますが

‥‥‥カトレアさん、あれいける?」

「はい、カトレア・クロフォードです。鉄ランクです、よろしくお願いします。で、オスカーさん、今回は全力宣言しちゃいましたからね、やりますよ。皆さん、とりあえず入るだけお願いします」


《収納》スキルと言っても個人差があって、微妙に性能が違う。例えば、私は「手で触れる」必要があり、出す時もこれに抵触するらしく同時に幾つも取り出せたりしない。

オスカーさんは、収納からドカドカと食材出してたので、触る必要が無く一気に出せるようだ。この点ではオスカーさんの方が使い勝手いいよね。

例えるなら、オスカーさんは大きく開いて取り出しやすいタイプの収納庫で、私は広いけど入り口の出入りの設計にミスした冷蔵倉庫だ。


「カトレアさん、私もそろそろ限界ですので、お願いできますか」

「りょーかいです!」


三人がギブアップした所で私が残りの山を片付ける。面倒ではあるけど触れるだけなので、頑張って、なんとか収納完了。


最近気付いたんだけど、《空間収納》は、新しく管理フォルダーを作ってあげれば、別枠に管理出来るみたいなんだよね。今回みたいに一時預りの場合は便利です。


「本当に入った‥‥‥馬車、何台分だ、あれ」

「多分‥‥二十台くらい?」

「流石カトレアさん。噂に違わぬ容量ですね」


パウロ氏とケイトリンさんが、ポカンと私を見るし、オスカーさんは苦笑い。


でも、実は《空間収納》の表示だとメモリー使用量は0.1%未満とか書いてあるんだよねー。0.2%になった事がないので、どんだけ入るのか未だに検証が出来ていません。


お読み下さりありがとうございますm(_ _)m

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