表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/116

第三十五話「称号はちゃんとお仕事をしています」


「おはよーございますー」


翌朝、一階の酒場に降りてきた私は集まっていた皆に挨拶を返した。

先に部屋を出たシャルちゃんも一緒にテーブルで朝食をとっている。

ちょっと気が抜けた返しになったのは寝不足のせい。《空間魔法》は午前二時近くまで試行錯誤していたが成果はなかった。

《空間魔法》だけ難易度高くない?


「朝食だというのに眠そうですわね」

「考え事してたら眠れなくてさー」


寝ぼけ眼で運ばれてきたフレンチトーストをもそもそ頂く。あー、卵液をたっぷり吸って、とろふわ感がグットです。甘さも控えめで朝食にはいいですね。

冷たいミルクを飲んで少し、シャキッとしてきた気がする。


「今日も雨ですわね。どうしましょう」

「とりあえず冒険者ギルドに頼んである解体の受取りには行かないとなんだけど」


朝方になって再び雨が降ってきた。

行きと同様ノルディンでは一日お休みなんだけど、生憎の雨。シャルちゃんと牧場ものg‥‥いや体験でもしようと思ったりもしたんだけどさ。行きの馬車で一緒だったブラウン夫妻の牧場も見てみようと思ったんだよね。


「「うむ、二枚では足りんな。主人、もう一枚焼いて頂こう」」


あちらではガットさん達がトーストをおかわりしている。昨日もあれだけ食べたのに朝から元気です。

美味しそうに食べてくれるので、作り手としては嬉しいんだけど。そういう意味では理想よね。


‥‥‥いや、流石に三十代はナイナイ。

奥様の手料理を美味しそうに、いっぱい食べてくれる旦那さんっていいよねってだけだよ?

マッチョ系より爽やか系かクール系のが好みです。


そいういや、今回はおじ様ばっかりだし、イケメン成分、無くない?

イザークさんには、妹キャラっぽい扱いだったと思うし。あれはあれで脈がなくもないよーな気もするけど、うん、自分を弁えてます。もっとステータス上げないと友達止まりの攻略キャラだ。頑張ろう。

アークとユースは、あれだよ。女主人公のシシリーと仲の良いイケメンコンビが、お互いにちょっと意識しちゃって今の関係が壊れるのは怖いわー的な少女漫画な感じだし?

‥‥いや、その場合、主人公のライバルキャラの位置をゲットすれば、ワンチャンあるのでは!?


‥‥うん、馬鹿な事考えてないでギルドに行こう。



「ジェストさん、お久しぶりですー」

「おう、嬢ちゃん。こっちはバッチリだぜ」


ギルドに向かい、挨拶をすると解体倉庫の方に顔をだす。私が声を掛けると、忙しそうに作業をする人達の中から責任者のジェストさんが来てくれた。


そう言えば、もう一人いたよ、おじ様が。


「ん?どうかしたか?」

「いえ、何でもないです。それが例のブツですか」

「なんですの、それは」


ジェストさんに案内された部屋は、低温の魔法が維持された冷蔵庫みたいな部屋。お肉などの出来るだけ劣化を避ける為に、ギルドにもこういう部屋がある。


出してきてくれたのは、立派な枝肉。うん肉の艶も弾力も良いし、見た感じ牛肉に近そうかなー。


「ツインランサードレイクのお肉」

「ああ、頼んだ解体ってそれでしたの‥‥もしかして食べるつもりですの?」


王都のギルドで討伐した話は聞いてるシャルちゃんだが。そりゃあ、食べますとも。


「ジェストさんでしたわね、これお売りしたら幾らになりますの?」

「そうだなぁ、全部なら金貨千枚はいくんじゃないかと思うが」


シャルちゃんの問に、顎を撫でて答えるジェストさん。まあ高級和牛と思えば、丸一頭だとそうなるよね。供給者は少ないけど、金ランクならこの辺りの魔物も狩るだろうから、普通に値段は付く。


「そりゃ狩った獲物は、普通に食べるよね?」

「‥‥‥まあ、そう言うと思いましたわ」


お金は他でも稼げるけど、美味しいお肉を食べる機会を逃す訳にはいかないでしょー。勿論、シャルちゃんも食べるよね?


「まあ、こっちは持っていってくれ。問題は他の物なんだが‥‥まず内臓なんかは薬の材料になるんで売って貰いたい。あとは骨と角だな」

「立派なのが二本もありましたね」

「これも引き取るが、武器なんかの素材としても高級品だ。その様子じゃ、そのお飾りみてーな胸当てしか作ってないんじゃないか?」


ジェストさんは私の胸当てを差して言う。まあ、飾りですね。偉い人はわかってるよ。


製作用素材かー。装備って大体レアドロの骨とか角とかいるんだよね。ゲームでボス周回は物欲センサーがしっかり働いてくれて苦労したものだが、普通倒せばレアなんて言わずに骨残るよね、うん。


「装備かー。どうしようかな」

「そう言えば、結局武器は作りませんでしたわね」


今使ってるのは、二束三文とは言わないけど、極々普通の鍛冶屋さんが鍛えたもので、レア度ノーマルの小剣だ。

これ使って作れば良い武器が出来るだろうけど。


「作ってくれる伝もないんですよねー」

「王都のどこか有名ブランドにでも持ち込めばやってくれるだろうが」

「いや、なんかこう言うのって伝説の名工を探しだして作って貰うイベントじゃない?」


RPGの伝説の聖剣復活的な。まあ裏の隠しダンジョン辺りでは、その聖剣よりも強力な装備が手にはいるパターンが殆どなんだけど。


「そこまでのモンじゃねーから気にするな」


あ、そーですか。うん、金ランク様がザクザク狩ってそうですもんね。

せめて後半戦の初期装備ってくらいかも。

それなら考えるかー。

お読み下さりありがとうございますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ