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第二十九話「ダンジョン探索講習会二日目④」


「結局出口見つからなかったね」

「困りましたわね‥‥」


私達が合流地点に戻ると、セドリックさんの組は既に戻っていて、間を開けずグレンさんの組も戻ってきた。

どちらも出口は見付からなかったが、セドリックさんの方は造りが変わっていた。通路がショートカットした感じになって、一部行けなくなっているそうだ。

マップで見ると、入り口付近の場所のようだ。


引率者である〈紅蓮花〉のメンバーが話合っているが、そろそろ夕飯時になりそうだなーと、私は暢気に考えていた。

ダンジョンの外には職員さんが待機していたので、帰って来ない一行をただ待っているだけな訳がない。何かしらの対策はしてくれるだろう。


それから、転送陣というものがダンジョンにはある。よくある脱出用の魔法陣で、ダンジョンにもよるけど、十階ごととかにあって、それを使って入り口に戻れる。この転送陣まで無くなっているという事はないだろうから、先に進めば出られると思う。


ここにいる受講者は駆出しも多く、危険はあるだろうけど。そこは〈紅蓮花〉と私、あと一人は鉄ランクの人がいた筈。ゴブリンの排除をすればなんとかなると思う。


問題は、日帰り予定だった為、そこまでの準備はしていない人が多く、食料なども足りるか判らない。

私は幸い買い込んであるけど、この人数を数日間賄える程の量はない。

ダンジョンご飯とかは、ちょっと興味あったんだけど、ドロップでお肉とか落ちないのかな?

‥‥あ、でもここだとゴブリン肉か‥‥それは食べたくないなぁ。


「とりあえず、スープでも作るかー」


ゴブリン程度なので直ぐ命の危険という訳ではないが、皆不安だろう。

こういう時は、暖かい美味しい物が一番だ。



部屋の隅に《土魔法》で竃と、大きな土鍋を作る。大人数の為、手持ちの鍋じゃ小さいからね。

大きな寸胴とかも買おうかなー。カレーとか大量に作る方が美味しいよね。

空気の流れもあるから、このくらいは火を焚いても大丈夫だろう。


《空間収納》から食材をごろごろと出す。二十人分くらいなので大量だ。

じゃが芋、人参、玉葱、キャベツ、ウインナーは在庫放出か。ノルディンでいっぱい仕入れなくてはっ。


「わたくしも、お手伝いいたしますわ」


シャルちゃんが申し出てくれて、次いで三人組も加わってくれた。アークとシシリーは《生活魔法》持ちなので、アークにお湯を沸かしてもらい、あとのメンバーで材料を適当に切っていく。

時間の掛かるじゃが芋から鍋に投入して、どんどん追加。ある程度煮えた所で、コンソメと生姜をすりおろして入れ、塩胡椒で味を整える。


「美味しそうな匂い‥‥」


流石に沈んでいた、他の人達も気が付いて、一人また一人と集まってきた。


「誰か《土魔法》使って深皿とか作れる方か、自前で持ってる方とかいますかー?」


数人が手を上げてくれて、お皿を用意。

食器の準備ができた頃、良い具合に煮えたようだ。


「簡単ポトフ出来上がりー!皆さん、召し上がって下さい」


次々とお皿によそって、渡していき、全員に行き渡った所で、私も一杯。うん、ホッコリしたじゃが芋が特に美味しい。コンソメくらいの素朴な味だけど、それがいい。


「暖かいな」

「うん、美味しいね」


言葉は少ないが、皆美味しそうに食べてくれた。



その後、この場を鉄ランクの私と、もう一人の剣士風の男性に任せ、〈紅蓮花〉の三人で二階の探索を行う事になった。

二階以降が変化なしなら、皆で十階まで進み転送陣を目指す方向に纏まったようだ。


暖かい物を食べて落ち着いたようで、皆の雰囲気は悪くない。私達は彼等の帰還を待った。

時々ゴブリンのリポップという場面はあったものの、交替で見張りを立てながら過ごし、時間は夜遅くなった頃か、〈紅蓮花〉が戻ってきた。


結論から言うと、十階まで行かなくとも、二階から一階の入り口まで新しい階段が出来ていて、一階はわざわざ二階を経由しないといけない造りに変化していたそうだ。


時間は遅いが、外では職員さんが夜営の準備をしてくれているようなので、ここを引き払い出発。

私達は無事、外に出る事ができた。


「うわー、すっかり夜中だね」

「まあ無事出られて良かったよ、十階までとか何日かかるか判らないし」


シシリーは大きく背伸びをし、ユースは溜息。

他の面々も、安堵の表情だ。


しかし、あのダンジョンの変化はただの偶然だったのか。たまたま運悪く一階に居たために閉じ込められた感じだったが、二階まで探索の足を延ばしていたら、特に問題も無かった気がする。何かの嫌がらせ?


うーん、まあ、相変わらず考えても解らないので、やめる。なんかのフラグは本当に止めて欲しいからね。私は、ふつーに恋愛して楽しく暮らしました、まる。という夢があるんだから!


ギルドの人達が天幕などを用意してくれて、私達は夜食にミルク粥を頂いた。急遽用意しただろうパンと牛乳、バターくらいの簡素な物だったけど、美味しく頂き、就寝。(個人的には、パンは焼いた方が香ばしいし、最後にメープルシロップなんかをかけると美味しくなると思うけど、この場では贅沢かー)


翌朝、馬車で王都に戻る。

大変な一日になってしまったが、なんとか講習会は無事終了した。

長くなったので後半部分です。


お読み下さりありがとうございますm(_ _)m

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