表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/116

第二十八話「ダンジョン探索講習会二日目③」


「はー、おいしかった。まさかダンジョンで屋台の出来立てが食べられるなんて」

「ユースも充分凄いけど、流石カトレアさん、収納も規格外ですね‥‥‥」

「いや、それヤバくないですか?聞いた事ないですよ、そんな収納」


三人組も満足そうで良かった良かった。


「聞いた話では、結構コレ持ってる人いそうでしたけどね。やっぱり隠してたかなー?」


転生者特典で「もれなく」って言ってたし。

まあ、状態保存はヤバいよね。現代日本でも冷凍やチルドの技術が進んで、山奥でも美味しいお刺身とか食べられるけど、その比じゃない。


「カトレアさん、是非うちのPTに」


かしっと私の手を握るカンナさん。大変嬉しいですけど、小鬼殺し(ゴブリンバスター)の称号はいらないです。そんな切実そうにウルウルしないで下さい。


「ダメですわ!カトレアさんは、わたくしとクロフォードのダンジョン攻略をするんですから!」


カンナさんに対抗してか、シャルちゃんがしがみついて来る。


「昨日、教授も言ってたけど、「出来る予兆」ってどういう事なんですか?」

「『洗礼の儀』で啓示があったんです。そして、近隣を探したら、それらしい場所が見つかって、今受け入れ準備で大変な事になってると思います」


まだ旅に出て二週間経ってないけど、帰ったら驚きそうだね。なんと言う事でしょう、あの何もなかった寂しい町が~みたいな。


「神造ダンジョンですか‥‥興味はありますね」

「レア物貰えるダンジョンだと人気有りそうだしな。行ってみるのも悪くないか」


ふむ、と思案気なアークとユース。お、脈ありですかー?



ゆっくり休憩をとって、いざ出発。

途中、追加でゴブリン五体と遭遇したけど問題なく、合流地点に到着できた。

予定の時間より、ちょっと早めくらいだったが、一組は遅れているらしく、しばらく待機。


後は帰るだけだし、講習会もやっと終わりだー、と皆の緊張も緩んでいたのだが。

もう一組はなかなか来ない。時間には結構余裕があった筈───私達もゆっくり休憩してたしね───もしかしたら何かあったのだろうかと、気になり出した頃。


────ゴゴゴゴ。


再びダンジョンの〈成長〉音が鳴る。

えー、やっぱりこれフラグじゃない?


「何かヤバくない?」


ダンジョンの〈成長〉は、そう頻繁にある訳ではないのに、少なくとも今日二回目。

予定時間になっても姿を見せないPT。

シシリーは不安そうな声に誰も答えられなかった。


そうして一時間くらいが過ぎた頃。


ようやく、最後の一組がやって来た。

誰もが安堵の溜息を吐くが。


「出口に向かう通路が塞がっている‥‥‥?」



〈紅蓮花〉の三人が集まっていたが、昨日の講習のお兄さん───セドリックが出した声に。辺りはざわついた。

もう一組は、おそらく一回目の〈成長〉の時に先に進む通路が塞がれ、引き返す事になったらしい。

しかし、最初の分岐の部屋に戻ると、出口のある方向の通路も塞がっていた、

急ぎ私達のPTが通った通路を走り、なんとか合流地点にたどり着いたらしい。


「ダンジョンの変化で完全に閉じ込められたというケースはない。どこか通路があるとは思うがな」


〈紅蓮花〉のもう一人、リーダーのグレンさんが呟くが、低階層の変化という珍しい事例だけに断言は出来なさそう。

先に書いたが、ダンジョンは人を集めリソースを獲得していると思われ、どんなに複雑な迷宮でも出入口が存在しない物はないが、一時的に塞がっている可能性だってある。


「とりあえず、手分けをして確認が必要だな。こっちの組で二階まで行ってみる。セドリックの組は、通った通路を。そっちはまだ確認できてない。カンナの組は、一階の最奥を頼む」


グレンさんの指示で、私達は奥を目指す事になった。この先は二手に分かれていて、片方は二階への階段に、もう片方は最奥と呼ばれる場所に繋がっているそうだ。

最奥は各階層でも違うが、ここではゴブリンのちょっとだけ強い上位種がいる。まあ、ゲームでいうと倒さなくても先に進める中ボス的な存在だろう。


「ちゃんと出られる‥‥よね?」

「単純にたまたま、珍しい事例に当たっただけと思いたいですけどね‥‥」


稀に階層が増えた事で、大規模な造りが変わる事もあるので、その例ではないか。

不安は尽きないが、私達は奥に進んだ。


出来れば面倒な事には首を突っ込みたくないしねー。魔王復活で魔族の暗躍とかさ、そういうのに巻き込まれる主人公とか有りがちだけど、スローライフとは言わないが、気ままなグルメ旅行くらいがいいんですけどー。


最奥までの道程には変化はなかったとカンナさん。結構ゴブリンと遭遇戦はあったけど、このメンバーでは多少数が多くても問題ない。

最奥にいたのはゴブリンファイター。強いと言っても危険度は変わらず1。装備は良くなったというだけのゴブリンなので、苦戦もせずに倒した。

ドロップが銀貨五枚と、普通のより良かったけど相場なのかなー?このくらいなら二十も倒せば結構稼げるから、このダンジョンも悪くないか。


で、結局最奥は変化なし、私達は分岐点に引き返す事になった。

お読み下さりありがとうございますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ